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快晴開催! ヴァジュアラ湾の感謝祭!!

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快晴開催! ヴァジュアラ湾の感謝祭!!

リアクション

 湾内北側の「魚撃ゲーム」会場では、蒼空学園のソルジャー、影野 陽太(かげの・ようた)が真剣な目をして、スナイパーライフルに弾を込めている所であった。
「わぁ、その弾、なんか違うー」
「ちょっと魅音、止めなさい」
 陽太の手元を覗き込んだのは剣の花嫁である閃崎 魅音(せんざき・みおん)、そして魅音の手を引いたのはヴァルキリーのレイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)である。
「すみません、チャレンジ前に気を散らすような事をしてしまいまして」
「いいえ、構いませんよ。ご覧になりますか?」
「見せて見せてー」
「これは……、ゴム弾ですか?」
「えぇ、2撃で3個の的に命中させる為に用います。それから、万が一の事も考えて、薬莢内の火薬は極力減らしています」
「なるほど、兆弾と安全対策ですね」
 陽太は小さく頷いてから、レイナの手元へと目を向けた。
「君は、そのロープですか?」
「えぇ、とんちの様な方法ですけど、やってみたい事がありますの……、きゃっ」
「危ない」
 突然の大きな揺れにレイナはバランスを崩したが、陽太が咄嗟に抱え支えた。
 魅音は跳ねて喜んでいるが、レイナと陽太は顔を赤らめながらに身を寄せていた。
 地面が揺れている、それも瞬間ではなく、長いと感じてから恐怖が芽生え始めるまでの間ずっと揺れていた。揺れは黄水龍の封印が解かれた時のものに近かったのだが、それもそのはず、原因も地下の水中洞窟にあったからであった。


 葉月 ショウ(はづき・しょう)の轟雷閃が双岩の片岩を斬り抉った瞬間、洞窟内の岩が塊りになって、一行に飛び向かってきた。
「玲奈っ」
「きゃっ」
 ゆる族のジャック・フォース(じゃっく・ふぉーす) はパートナーでウィザードの如月 玲奈(きさらぎ・れいな)を抱きかかえて岩の塊りを避けた。
 大きな揺れによって洞窟内の天井が崩れ落ちているのではなく、生徒たち目掛けて飛んで来る、襲いかかってきているのだ。
 ジャックが玲奈を抱えて着地をした所に、続けて岩塊が攻めてくる。
「ジャック、後ろっ」
「チッ」
 トミーガンで迎撃する、いや、玲奈を抱えたままでは叶わない。ジャックは岩塊を避けるに意識を集中させた。
 「一体、どうなっているんだ」
 大きく避けずに両手持ちのウォーハンマーで岩塊を迎撃しているのは、和原 樹(なぎはら・いつき)である。圧し潰されそうな程に大きな岩塊はパワーブレスで強化した樹が、小さくも数が多い岩塊はパートナーのフォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)が氷術で撃ち落としていった。
「我々を狙っているようだが…… 的確だな」
「誉めてる場合か! って、くそっ、足場が無くなる」
 樹は撃ち落とした岩塊の上に飛び乗って、次なる飛岩塊への構えをとった。
「刀真…… 右、反転して左、一歩下がって右」
「右っ、反転して左、んがっ、下がって右だったか?」
「刀真…… 、言葉、汚い……」
「無茶言うな、あぁー、無茶を言わないで下さい」
 蒼空学園のローグ、樹月 刀真(きづき・とうま)は光条兵器の黒い刀身の片刃剣とバスタードソードを手に、パートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)を守護していた。
「斬っても斬っても終わらない……」
「反転して、右から左」
「了解。反転して、右から……」
「刀真の野郎、上手い事やってやがるぜ」
 月夜の指示の通り的確に動いて迎撃する刀真の姿を見て、波羅蜜多実業高等学校のセイバー、ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)は、背を向けて氷術を放っているパートナーでドラゴニュートのアイン・ディスガイス(あいん・でぃすがいす)に投げかけた。
「おぅアイン、お前もパートナーなら俺が遣り易いように指示しやがれ」
「何だぁ? テメェ、俺が大人しく指示をする姿なんか見てぇのか?」
「あぁ゛? あぁ、見たくねぇな」
「そうだろうよ。考えるだけ体の邪魔になる、本能のまま戦いやがれ」
「おぅよ、いつも通りって事だな! おらあぁぁっ」
 ラルクは自分の身長ほどもある岩塊をその身で受け止めると、飛び来る岩塊に向かって投げ飛ばした。衝突音と共に、破砕した岩の塊りがチーム「真実の探索者」の一行に向かって飛弾しようとしていた。
「オメェら、危ねぇぞ!」
「任せろ」
「はいよっ」
 ラルクの声に一早く反応したのは薔薇の学舎のナイト、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)と、パートナーでソルジャーのクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)であった。
「クマラ、炎」
「はいはーい」
 塊りの飛弾をエースがライトブレードによる爆炎波で斬断、エースの背を蹴り飛び出したクマラが細弾を火術を唱えて壁を成して防ぎ弾いた。
 エースとクマラは着地をするなり振り向いて、一行に向かって揃ってポーズを決めた。
「決まったな」
「うんっ、ヒーローみたいー、せいぎのみかたー」
「炎のコンビネーションは成功っと」
 呟きながらエースが立ち上がった時には、チーム「真実の探索者」の一行は既に固まり構えていた。