天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

デーモン氾濫!?

リアクション公開中!

デーモン氾濫!?

リアクション

 ぐずぐずっとサガンの顔が牡牛から人間へと変わったのだ。
「な、なんだと!?」
「…サガンは元々は牡牛だが、後に人間に進化すると言う…おそらく、そのタイミングで傷も回復してしまうでしょう」
 眼鏡をかけてM属性に戻った大和が博識により、サガンの真実を語った。
 サガンを遠ざけるために大和が光量を下げず、さけも鏡の角度を上手く使い、エーファと恵が雷術とサンダーブラストをサガンにかけ続ける。
「こざかしき者どもめ。インプたちよ、いでよ!」
 サガンがインプを大量に呼び寄せ、自分の姿を攻撃から隠してしまう。
「まて、サガン!」
「おそらくパソコンルームへ向かうはずだ! 俺たちも追うぞ!」
「もちろんです!」
 足止めしようとするインプの群れを次々なぎ倒し、生徒達はサガンの後を追った。
 


 場所は変わって、アキバ分校のとある空き教室に集う一同がいた。
「…と言うわけで、以上が牛の部位についての説明です」
 牛肉の部位をわざわざ、図にして説明している支倉 遥(はせくら・はるか)が一旦、話を終えた。
「あそこがランプ肉…いいローストビーフの材料になるであろう」
 ベアトリクス・シュヴァルツバルト(べあとりくす・しゅう゛ぁるつばると)がうっとりとした眼差しで夢をみるかのように語る。
「夜はすき焼きか…悪くない…」
 伊達 藤次郎正宗(だて・とうじろうまさむね)がニヤリ、と不敵な笑いを見せた。
「…しゃぶしゃぶも捨てがたいのぅ」
 御厨 縁(みくりや・えにし)がうんうんと頷く。
「シチューにポトフ…」
 サラス・エクス・マシーナ(さらす・えくす ましーな)は東南アジアの踊り子風に腰をひねってみせる。
「はんばーぐ」
 シャチ・エクス・マシーナ(しゃち・えくすましーな)はそれだけ呟いた。
「さて、今夜のすき焼き談義はここまでです。危険な『牛追い』になりますが、今晩のおかずのためにもおのおの頑張りましょう」
 遥の言葉にそれぞれが配置に就く。
 ベアトリクスはディテクトエビルでサガンの位置を特定後、移動経路から予測進路などを割り出し全員に伝えると、縁は隣の建物の屋上から、サガンの動向を探り、遙に携帯で連絡することになっていた。
 
 

……3階、パソコンルーム。

「今までの喧噪はどこへやら、インプも見あたらないってのはどういうことなのだ…ん? 中に人がいるようだぞ? 犯人であろうか!?」
 レオンハルトはそっとパソコンルームを覗きこんでいる。が、レオンハルトの背後にやってきた幸ががっとレオンハルトの背を踏み越え、パソコンルームを開ける。
「ぐえ!」
「あなたが犯人ですか!」
 幸はそういうと、鬼目を発動し、しびれる程度の雷術をパソコンルームの人物に浴びせかけた。
「う、うわああ…」
 ビリビリっと感電し、震えたその人物はバタン!と床に倒れる。それは蒼空学園の制服を着た冴えない顔色の生徒だった。
「…随分と乱暴な」
 レオンハルトの言葉に幸は振り向くと
「あなた、蒼空学園の生徒ではありませんね? ホストコンピュータを狙ってきたのですか? そうはさせませんよ?」
 そう冷徹な言葉を浴びせかけると、鬼目を発動させようとする。
「…そう固いことをいうではない。俺は蒼空学園の生徒だ。ほら、制服だってこの通り」
「…当てにならない」
 幸の警戒心の強さにレオンハルトが光条兵器を取り出そうとした時だった。
 床に突っ伏していた男子生徒がガクガクと震え始める。 
「く、くそう…みんなして僕をバカにしやがって…」
 その振動は更に激しさを増し、パソコンルーム全体を揺らすほどの勢いであった。
「みんな、みんな僕をバカにしやがって…!!」
「様子がおかしいです…!」
「確かにな。ここは一時休戦するべきであろう」
「しかたありませんね」
 幸は更に雷術をかけ、レオンハルトは光条兵器を取り出すが、それでも生徒の体を通しての振動が止まらない。そしてゴウっと音がして、パソコンルームの扉が開いたかと思うと、大きな影がすうっと男子生徒の体を覆い尽くした。
 そしてその影は、サガンそのものの形を教室全体に大きく映し出していたのだ。
「サガン…! 顔が人間に変化している!?」
「そうか、サガンはこいつに憑依していたというわけだな。大体読めたぞ」
 サガンに憑依された男子生徒の体は急にありえない角度で直立すると、ホストコンピュータに向かい、パチパチとパソコンのキーを打ち始めると、壁が歪み、そこから次から次へとインプが現れてきたのだ。
 そしてサガンは壁を背後にして、二人を睨み付けようとする。
「くっ…」
 パソコンデスクの影にとっさに隠れる幸とレオンハルト。
「もう時間がない。最初に血をワインに変えられた生徒が出てから、もうすぐ10分経ってしまいます」
 幸は時計を見て、焦りを覚える。
「ははは、おろかどもが。我がおぬしら程度のこわっぱにやられるとでも思ったか」
 サガンがガハハと笑い、幸たちに攻撃を仕掛けようとする。
 丁度その時、パソコンルームの隣の部屋で一人の人物が光条兵器を剣の花嫁から取り出そうとしている。
「……行くぞ……ユニ……銀閃華を出せ……」
「……はい……分かりました。行きます……銀の炎が、この世の全てを照らし出す……銀光の華よ、開け! …銀光の輝き、【銀閃華】抜き取ってください!」
「【閃光の銀狼】の爪牙…… 見せてやろう……その身に刻め! …壁越しなら睨まれる事は無い!」
 その瞬間パソコンルームの壁の向こうで光が強く輝いた一瞬ののち、サガンの体から血が噴き出してパソコンルームを赤く染め上げた。