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五機精の目覚め ――翠蒼の双児――

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五機精の目覚め ――翠蒼の双児――

リアクション


・ガルーダ ニ


「まどかちゃんが、燃えてしまいました」
「マイロード、彼女の犠牲は決して無駄ではありませんわ」
「……あの、ボク、無事なんだけど」
「お前の事は、忘れるまで決して忘れないぜ」
「だから――!」
 燃えているのはではなく、アルコリアが可愛がっている(?)グールの「まどか」である。
「こんな時にグールに向かってボクの話題振らないでよ!」
 少しばかり赤面しながら円が声を張る。
 そう、決してそんな余裕がある状況ではない。
 炎に包まれ、立ちはだかるのは合成魔獣ガルーダなのだ。
「遊んでる場合じゃありませんよね。十秒ほど忘れてしまってました」
 アルコリアが再びガルーダを見据え、二本の花散里を構える。
 それと同時に、ガルーダも次なる攻撃に出る。
 掌から炎が噴出し、それがあたかも剣のような様相を帯びる。そしてそれを勢いよく振るった。
 熱風が起き、それまでの攻撃で崩れかけていた壁や天井の一部が崩壊していく。
「え――!」
 それにより、彼女達は分断を余儀なくされる。それぞれが下の階層まで飛ばされたのである。中にはこの機にあえて、下へ向かう者もあったが。
「あら、私達だけになってしまいましたか」
「アル、まだみんないるぞ」
 しかしそれはシーマのメモリープロジェクターによるものだ。
「こうなった以上は仕方ありませんね――この一撃に総てを賭けます」
 さらに、この時になってナコトが変化を感じ取る。
「魔力汚染が治まりましたわ」
 ちょうどリヴァルト達が白い機甲化兵と戦っている時と同じタイミングだった。
「これで魔法を存分に使えるのう」
 ランゴバルトがアルコリアにパワーブレスをかける。しかも、普段よりも大きな効果を発揮している。
 魔力汚染の原因は魔導力連動システムの暴走、ならばそれが安定したならばシステムの恩恵を受ける事になるのは、遺跡にいる全員だ。
「力が――みなぎる!!」
 つまり、合成魔獣であるガルーダも然り、であった。
「何!?」
 だがガルーダは身動きが取れなくなっていた。
「わたくしの力を甘くみてもらっては困りますわ」
 ナコトが奈落の鉄鎖でガルーダを地上に落していた。魔道書である彼女は、供給されるシステムの魔力によってその力を何倍にも高めていた。
 そこへアルコリアが飛び込んでいく。そうはいっても、向こうも強化されている事に変わりはない。
 疾風突きの構えでガルーダの懐へ飛び込んでいく。
 と、見せかけて飛べなくなったガルーダの足を払い、体勢を崩させる。ガルーダは巨体だ。しかも重力干渉を受けた今崩されたならば――
「終わりにしましょう、鳥さん」
 さらに金剛力で強化し、ガルーダを斬り裂いた。
「ぐ……」
 納刀。
 そしてガルーダに向けて渾身の抜刀術をお見舞いする。
 その斬撃はガルーダを縦に両断するほどの威力だった。
 
「なかなか楽しい相手でした」
 刀を納めるアルコリア。
 目の前には真っ二つになったガルーダの姿がある。
「答えは見つかりましたか?」
 物言わぬ魔獣の屍に呟き、彼女達は分断された仲間を追う事にした。

 分断されたのは、三つの組にであった。
・メニエス、ミストラル、ロザリアス、ナガン。
・円、オリヴィア、ミネルバ、緋音。
・歩、巡、エレン、プロクル、フィーリア。

「とりあえず、一番奥まで行けば誰かには会えるでしょう」
 特に気にした風でもなく、アルコリアは進んでいく。