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リアクション
★ ★ ★
「次の報告は、蒼空学園から、芦原 郁乃(あはら・いくの)さんです。
こんばんわ 初めてお便りします芦原郁乃です
はい、初めまして。
蒼空学園には七不思議が七セットあると噂ですが、今回は『魔の13階段』を紹介します
蒼空学園高等部の東校舎は3階建てで屋上に上がれるんです
その階段は各階とも途中で踊り場があるんだけど12段ずつ、合計で24段あるんです
なのに屋上へ続く階段の踊り場の先―、最後の階段だけが、13段になるというんです
東校舎を建設した現場監督をはじめ過去に数々の生徒や関係者の命を奪ったとか奪わないとか、不幸が降りかかるとか降りかからないとか言われているんだそうです
で、先日友人と検証したところ確かに13段あったんですが、通りかかったOBでもある先生が、『元々その階段、13段よ?』っていうんです
つまり『魔の13階段』 それは他の階は全て12段なのに、何故か最後の階段だけが13段だという不思議ということなんです
えっと……。ひい、ふう、みい……。これって、行きは十二段、帰りは十三段とかっていう訳じゃないですよね。最初から十三段で変わらずと言う?
まあ、縁起が悪い数字と言えば言えますけれど……。
段数よりも、過去に関係者の命を奪ったというところが、七不思議らしいと言えば七不思議らしいかなあ」
★ ★ ★
「あぁ……あれネタにしたんですね……ふぅ。シャレさん、困ってるじゃないですか」
ラジオを聞いた秋月 桃花(あきづき・とうか)が、諭すように芦原郁乃に言った。
だいたい、よくよく考えれば、本当にどこが不思議なんだというネタである。よく話を聞いてみると、多くの人が怪我をしたというのも、屋上に出る部分が段差になっているので、転んだ人が多かったというだけのことであるし。まあ、それが呪いかもしれないと言えば、そうかもしれないねえと言う程度のことでしかないのだが。
「でも、私には不思議だったんだよ。だって十三階段だよ。『魔の十三階段』。タイトルからして充分七不思議らしいじゃない」
「そうですね、らしいですね」
なんだか必死に力説する芦原郁乃に、秋月桃花は半ば諦めたように答えた。結局、七不思議でもなんでもなくて、七不思議らしいというところが話の着地点のようだ。
なんともコーナーの最後に落ちのない話を持ってきてしまったようで、秋月桃花は申し訳なさで一杯だった。
★ ★ ★
「まったく、手間かけさせるんじゃありません」
やっと水神誠からラジオとノートを取り戻した水神樹が言った。
「ごめんなさい」
さすがに叱られて鉄拳制裁を受けた水神誠がシュンとして答える。
「もう邪魔しないでね」
そう言って、水神樹はラジオのスイッチを入れなおした。
『以上、七不思議のコーナーでした。CMの後はゲストコーナーですので、お楽しみに』
「がーん、終わってる……」
水神樹は、がっくりと机に突っ伏した。
教えてゲストさんのコーナー
「お待たせしました、ビュリさん。CMあけるとゲストコーナーですので、スタジオ入りしてください」
影野陽太が、ビュリ・ピュリティアを呼びに来る。
「わーい、出るのじゃー」
「がががが、がんばっててててててて、きてててて、くくくくだささささい……」
まだ半解凍のアーサー・レイスの前で、先に氷を溶かしてもらった大谷文美が、下着の上にバスタオルを羽織ってブルブル震えながらビュリ・ピュリティアを見送った。
「ケストコーナー♪
今日は、世界樹イルミンスールから、ビュリさんをゲストとしてお迎えしています。
こんにちは、ビュリさん」
「こんにちはなのじゃー」
「いつも元気ですねー。うらやましいです」
「うんうん、うらやましいじゃろ。わしはいつでも元気爆発なのじゃ」
「今日はたくさん質問が来ていますので、順番に答えてもらおうと思います。覚悟はいいですか。たくさん来てますよ」
「ドンと来いなのじゃ」
「頼もしいですねー。じゃあ、さっそくいきましょう。まずは仮面の貴公子さんからの質問です。
ビュリさん、こんにちは。しばらくお姿を見てないので心配してました。何かなさっていたのですか?」
「遊んでたのじゃ」
「これはまたストレートですねえ」
「世界樹は見る所がたくさんあって飽きないのじゃ。これからももっともっと遊ぶぞー」
「頼もしい限りです。では、続いて次の質問。今度は、不撓不屈の騎士さんからの質問です。
以前はガイドさんなどバイトをされていたようですが、今でも何かバイトなどはなさっているのですか?まさかニートなんて事はありませんよね?」
「失礼なのじゃ。この偉大なる魔女ビュリは、ちゃんとお仕事はしているのじゃ。今日だって、こうやって仕事をしているのじゃ。まったく、なんだか、みんな同じような質問だのう」
「みんな、聞きたいことは一緒みたいですね。次の質問です。雪だるまのヒーローさんから。
質問です。最近、もう魔女っ子というだけでは、アイデンティティとして成り立たないぐらいイルミンには魔女っ子が増えてきていますが、ビュリさんは何か新しい方向性でアイデンティティを確立する予定はありますか?」
「わしは、偉大なる魔女なのじゃあ。決して魔女っ子などというひよっこではなあい! それにしても、このハガキ、全部イルミンスール魔法学校の公式絵葉書ではないのか? 字もほとんど同じなのじゃ。それに、ちゃんと差出人の所に、イルミンスール魔法学校学生寮枝番【シャンバラン、ダイナミック!! 悪は滅びろ(V)】と書いてあるのじゃ。みんな同じ人間なのじゃ」
「ただいま、個人情報保護のために、シャンバランが入りましたことをおわび申し上げます」
「分かったのじゃ。書いたのは【シャンバランブレード!(V)】なのじゃ。今度会ったら【スーパーヒーロータイム(V)】なのじゃ〜!!」
「過激な発言が飛び出しましたところで、次の質問に移りたいと思います。ペンネーム、魔法少女マジカル美羽さんからの質問です。
シャレさん、こんばんは。
いつも楽しく聴いています。
さて、今回はシャレさんと、ゲストのビュリさんに質問です。
私もビュリさんのように、すごい魔法を使えるようになりたいのですが……
どんなに練習しても、なかなか上達しません。
もしシャレさんとビュリさんにおすすめの練習方法があったら、ぜひ教えてください。
いかがですか、ビュリさん。何かいい練習方法ってありますでしょうか」
「もちろんあるのじゃ。まずは、こうやってドバーッと準備する。そしたらズドンと集中して、一気にババンと魔法を打ち出すのじゃ。そのときに注意しないといけないのがピキーンという感覚でな。これがあれば、シュシユッと魔力が濃縮される。間違っても、ビュビュンではいけないのじゃ。それだと、魔法がホラリラ〜になってしまうのじゃ。どうじゃ、分かったかな?」
「ううーん、全然です」
「しかたないであろう。秘技じゃからのう」
「分かる人には分かるんでしょうね。
あ、時間が来てしまったようです。短い時間でしたけれど、今日はありがとうございました。ビュリ・ピュリティアさんでした」
「またなのじゃ〜」
「さて、本日は他にもゲストを予定していたのですが、来てはもらえませんでしたので、おハガキだけ紹介したいと思います。
最初は、ペンネーム愛と情熱の可愛いもの大好き♪月光蝶仮面さん。長いお名前ですねえ。
卜部泪さんをゲストに御希望でしたが、どうしても所在が分かりませんでした。多分、何かの取材中だと思います。
お手紙です。
は〜はっはっは!卜部泪さん!ゲスト出演おめでとう!!
私はしがないダークーヒーローをしているものだが、貴方のファンでね…
朝と夜の癒しの提供をしてくれる貴方が大好きだ!
これからも視聴者のために癒しを提供してくれ!応援してるぞ!!
では、質問だ。
とある情報筋から聞いたのだが…あなたが戦場レポーターで悪鬼羅刹の如く、戦ってると聞いたんだが…それは本当なのか!?
初心者のための紹介で立っていたときの癒しを!胸を(故意に)触った時のあの恥じらいの顔を見せて怒っていた貴女が!と気になって眠れないので教えてくれませんか?
お答えがもらえなくて残念でしたが、懲りずにまた応募してくださいね。
さて、もう一通だけ紹介したいと思います。
ペンネーム、エリザベートちゃんLOVE♪さん。お名前の通り、エリザベート・ワルプルギスさんを御希望だったのですが、来てはもらえませんでした。校長先生ですから、忙しいのでしょうねえ。
愛くるしいエリザベートちゃんに質問です。
東西に分かれて建国され、イルミンスール魔法学校は東シャンバラ所属となりました。
西側ではイコンという巨大ロボットを筆頭に科学面を推して躍進し始めてると思います。
魔法を扱うイルミンスール魔法学校としては対抗して何か考えているのでしょうか。
残念ながらお答えはありませんが、もしかしたら何か企んで……、いえ、考えているかもしれませんね。期待して待っていましょう。
以上、ゲストコーナーでした」
『時は来た。今甦る古の聖像。その名は、サロゲート・エイコーン……、サロゲート・エイコーン……、エイコーン……。君も聖なる戦士になってみないか。ただいま、新規パイロット募集中。天♪御♪柱♪学♪院〜♪』
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