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【ろくりんピック】シャンバラ版バスケットボール

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【ろくりんピック】シャンバラ版バスケットボール

リアクション

 使い物にならない山葉と、すっかり気落ちした天貴姉妹と代わったエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)はやる気に満ち溢れていた。
 東も選手を交代したが、圧倒的にちびっこが多い。
 西の安芸宮和輝(あきみや・かずき)はスリーポイントを狙うが、ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)にカットされてしまう。
「お願いします!」
 と、すぐに味方へパスをするロザリンド。
 ボールをもらったミルディアは再びドリブルを始め、ゴール近くにいた伊織へパスをする。
「もらった」
 チャンスを待っていた月夜がすかさずボールを奪い、影野陽太(かげの・ようた)へ回す。
 唯一のちびっこであるエリシアはゴール前に待機しているが、ここでまた東にボールを取られるのは避けたい。
「とにかく入れちゃって下さいっ」
 陽太は、パスを回すのに専念することにした。3ポイントを諦めた和輝があえてゴール付近へ向かう。
 和輝へ上手くパスを回すと、その流れのままにボールがバスケットをくぐり抜ける。
 ――西:4点。

 やはりちびっこが点を入れなければ追いつけないのか。
 そう分かっていながら、刀真は一気にドリブルで走り抜けると、ここぞとばかりに必殺技を発動させる。
『あれは金剛力ネ、使うと怪力になるんだネー』
 力強さを増した刀真が勢いよくダンクシュートを決めた! ――西:7点。
 連帯感を高める目的から刀真は仲間たちとハイタッチをするが、そろそろ限界を感じていた。
「やはり、小さい選手にシュートを決めてもらわなければ点差は埋められませんね」
 と、陽太は言う。
「そうですね、交代しましょう」
 自分がどんなに頑張って点を入れても、敵のちびっこにやり返されたら逆転は難しくなる。

 刀真と月夜に代わってコートへ入ったのは端守秋穂(はなもり・あいお)ユメミ・ブラッドストーン(ゆめみ・ぶらっどすとーん)のちびっこ二人だった。これで両チームとも、同じ数のちびっこがいることになる。
「はわわ、えっと、お願いしますのです!」
 と、伊織がボールを投げる。
 しっかりとキャッチした真口悠希(まぐち・ゆき)は、すぐに必殺技を発動させる。
『あらら、見えなくなっちゃったヨ。光学迷彩って技ネー。でもボールは消えないネ』
 悠希の姿はなくなっていたが、ボールがドリブルで跳ねているのは分かる。逆に狙いやすそうだが……。
「そこですっ、悠希リバウンド!」
「あ……!」
 和輝にブロックされた瞬間、悠希はボールを下へ投げた。
 光学迷彩を解いた悠希がジャンプして、跳ねたボールをキャッチ、そのままシュートへと繋げる。
『ちびっこだから5点入っちゃったヨー。西チーム、このままだと負けちゃうネ』
 ――東:18点。
「やはりここは、全員投入するしか……」
 ベンチでクレア・シルフィアミッド(くれあ・しるふぃあみっど)が呟く。
 コートに常時守備の3人だけ置き、二人ずつ飛び込んで一人ワンプレイしたら離脱、という、なかなかに無謀な作戦である。
「まだ始まったばかりですよ、クレアさん。これから逆転するかもしれないし」
 と、隣で安芸宮稔(あきみや・みのる)が言う。
「でも、すでに十点以上の差がありますわ」
「もう少し試合の流れを見ていましょう。必要な時には私も入りますから」

「わたくしが二回シュートすれば良いだけですわ」
 と、エリシアは言うと、先ほどよりもやや攻撃的に動くことにした。
「秋穂ちゃーん」
 ボールをひたすら奪うユメミが、どこか楽しそうに秋穂へパスをする。
 受け取った秋穂はドリブルでゴール近くまで行こうとするが、相手チームに追いつかれてしまった。シュートを狙うにしても、この位置からだと入る気がしない。
 行き詰まる秋穂へ声をかけたのはエリシアだった。
「こっちです!」
 ゴール近くで待機していたエリシアへ、ブロックされないようにボールを投げる。
「お願いしますっ」
 ちびっこからちびっこへのパス。
「邪魔させはしない!」
 すぐにエリシアはバスケットに焦点を合わせると、ブロックされる隙すら生まずにシュートを打った。
『西のちびっこがようやく活躍ネ!』
 ――西:12点。
 そして試合終了の合図が鳴った。
 現時点では東が6点の差で勝っている。
『この勢いで、西にはどんどん点を入れてもらわなくちゃ、試合は盛り上がらないネー』

 インターバルの最中に話合う東チーム。
「次にどのような人が来るかは分かりませんが、気は抜けませんね」
 と、ロザリンド。
「むしろ、もっと点を引き離すつもりで行った方が良いんじゃない?」
「そうねぇ、次にまたこっちが点を入れたら、西は焦るでしょうし」
「じゃあ、次行く? 出る? ばんばん打ち落としちゃうよー」
 桐生円(きりゅう・まどか)オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)が話し合う傍で、ミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)ははしゃいでいた。
「ボクが技を使って入れれば8点だしね。行っちゃおうか」
「それなら、しっかりサポートします」
 と、ロザリンドが言い、スポーツドリンクを飲んでいた悠希も言う。
「じゃあ、ボクももう一度入ります。チームワークの為にも」
 そしてにこっと笑う。今こそ、練習の成果を見せる時だ。
「うん、それじゃあ決まりだね」