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【ろくりんピック】シャンバラ版バスケットボール

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【ろくりんピック】シャンバラ版バスケットボール

リアクション


3.

「グリちゃん、パス!」
 秋月葵(あきづき・あおい)の投げたボールを易々とキャッチしたのは月美芽美(つきみ・めいみ)だった。ちびっこの葵をマークするのは簡単だ。
「悪いわね、こっちも勝ちたいの」
 と、芽美はボールを下へ投げた。葵の悔しそうな顔を見てにこりと笑う。
 リバウンドしたボールを手にしたのは芦原郁乃(あはら・いくの)だった。
「行くよっ」
「させないわ」
 妨害してくる四方天唯乃(しほうてん・ゆいの)をドリブルで交わす。
 バスケットゴールまではもう少しだった。迫って来る東チームから逃れるようにしてボールを投げ上げる。
『あーっと、これは入らないネ!』
 しかし、ボールは狙いを外れて飛んで行ってしまった。クレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)が手を伸ばすと、背後から現れたアンタル・アタテュルク(あんたる・あたてゅるく)に先を越されてしまう。
「あっ!」
 体格の差だった。
 軽い動きでボールを奪ったアンタルは、すぐに荀灌(じゅん・かん)へパスをする。
「荀灌!」
「はいっ」
 受け取った荀灌が勢いよく動き出す。戦の時のように、阻まれても怯むことなくゴールへ向かう。
「お願い、入って!」
 バスケットへ放り投げられたボールがリングにぶつかる。
『入る!? それとも、入ら……入ったー! 西の得点ネ!!』
「やるじゃない、荀灌!」
 と、郁乃が背を叩く。荀灌は嬉しそうに頷くと、少し笑った。
 ――西:36点。

「私も負けてられないわね」
「あたしも頑張らなきゃっ」
 それぞれ別の場所で気合を入れる郁乃と葵。
「そんなディフェンスで、イングリットを止めれると思っているのにゃー!?」
 先に点を入れられたことが悔しいのか、さらに気合の入った様子でイングリット・ローゼンベルグ(いんぐりっと・ろーぜんべるぐ)が叫ぶ。
「イングリットは止まらないにゃ!」
 と、立ちはだかるアンタルを交わし、突き進む。
「そうはさせないわ」
 横から出された郁乃の手がボールを弾き、イングリットははっとする。
「なんてことにゃ」
 すかさず本郷涼介(ほんごう・りょうすけ)が「もらうよ」と、ボールを奪い、流れは東チームへ戻る。
「んなわけないよねっ」
 と、霧雨透乃(きりさめ・とうの)が邪魔をしてきたが、涼介はボールをバスケットへ向かって投げた。
「えっ」
「入るかどうかは運次第、だ」
 アンタルの背丈も越えた空中を飛んでいくボール。しかし、バスケットまでもたなかった。
「今こそ、あたしの出番!」
 と、ジャンプした葵が落ちかけたボールを受けとる。狙うはダンクシュートだ!
 ゴール近くで待機する唯乃に見守られながら、葵が先ほどよりも高く跳ぶ。
「行けぇ、ハイパーダンクシュート!」
『ちびっこなのにあの跳躍力! 綺麗に決まったネー』
 ――東:44点。

「このままじゃ負けちゃう……」
「次、絶対に入れて見せる! だからみんな、私にパスをちょうだい」
 再び引き離された得点を見て、郁乃が言う。チームメイトは頷いた。
 芽美は葵にぴったりとマークして、シュートを入れさせないよう張り付く。透乃は涼介のマークだ。残りのちびっこはアンタルの担当だ。
「私だって点を入れたいのよ」
 自分にマークが付いていないことを良いことに、唯乃はボールを手にした荀灌へ突っ込んだ。
「はっ」
 ボールを取られそうになって、荀灌は焦る。床を転がるボールを取ろうとして、唯乃が先に触れる。
「もらった!」
「それはこっちの台詞よ」
 ちぎのたくらみを使用して一時的に幼女と化した郁乃がボールを奪う。
「うそっ」
 小さい子の登場に油断してしまったではないか!
『ちょっとずるいネー。でも地祇のためのルールだから、問題ナッシング!』
 郁乃はバーストダッシュと超感覚で素早くドリブルをすると、そのままバスケットへボールを投げた。
「入れ!」
 リングを通過し、床へ落ちるボール。――西:44点。
『同点ネ! さて、第3ピリオドはまだ半分残ってるヨー』