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湯治場を造ろう!

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湯治場を造ろう!

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第十一章 エピローグ

 深夜。
「……そろそろいいかな?」
「いい頃合いだろう……いくぞ、せーのっ!」
 カシャッ!
「え?」
 普段は仮面で隠れているパートナーエシク・ジョーザ・ボルチェ(えしくじょーざ・ぼるちぇ)が風呂に入る頃合いを見計らって、ローザマリアとグロリアーナは潜んでいた物陰から飛び出し、エシクの素顔を激写した。ぽかんとしているエシクの前に立ち、二人は目をまるくする。
「ジョー、双子座のアルディミアさんにそっくり!」
「だから素顔を隠しておったのか?」
 二人の疑問にエシクは答えない。ただ、黙って再び仮面をつけると二人に向かって対戦車ライフルを構える。
 ローザマリアとグロリアーナは笑えない空気に汗を滝のように流しながら、手を取り合って後退を始めた。
「や、顔いつも隠してたから……どっきりで見てやろうぜ!ってなって……」
「やだーやめてくださいよー!もうっ……みたいな、そういうやりとりっていうのを期待しておったのだ。悪意はないんだぞ?」
 エシクは、一言だけ答えた。
「覗き見なんて、趣味が悪いです!」
 湯治場に、ローザマリアとグロリアーナの悲鳴がこだました。

 未だ騒がしい建物の外では、ひっそりと長閑な時間が流れていた。
「綺麗だねー、真一郎さん」
「ああ。一緒に見れてよかった……」
 満点の星空の下。仲良く手を繋いでベンチに腰かけ、ルカルカは真一郎のたくましい肩に寄り添う。
 一緒にお風呂に入り、みんなと遊んで、大好きな人とゆっくり星を見る。こんなに落ち着いて過ごせるのなんて、いつぶりになるのだろう。室内から怒鳴り声や笑い声が聞こえてきて、ルカルカはつられて笑った。
「ふふ、みんなまだまだ元気だねぇ。楽しそう!」
「今のうちに、楽しんでおいた方がいいのかもしれませんね。
 戦争が本格的に始まったら、こんな時間は持てないかもしれないから」
「うん……」
「……」
「……でも、どんなことになってもルカルカは傍にいるよ。会えない時も、ずっと」
「……はい」
 二人はそのまま見詰め合って、そっと唇を重ねた。

 その頭上では、のぞき犯たちが全裸の上にロープで簀巻きにされ、逆さまにぶらさがっている。バカップルはこちらを眼中にもいれてくれそうにない。
「おれたちいつまでこの状態なんだ……?」
 答える者はいなかった。

担当マスターより

▼担当マスター

はまもさき

▼マスターコメント

 こんばんは。ごきげんよう、はまもさきです。
 こんなにも長い間、リアクションを公開することができず誠に申し訳ありません。「湯治場を造ろう!」ようやくここにお届けすることができました。今までお待ちくださったみなさま、本当に本当にありがとうございます。
 治ったと思っていた体調不良がぶり返し、書き溜めていた文章データがまさかのPCフリーズで消えてしまうというアホをやらかしてこの体たらく。「セーブはこまめに!」という偉人の言葉がこんなにも胸にしみわたったのは、学生の時以来です。

 執筆の間に、外気もすっかり温度を下げて、いい温泉日和となりましたね。
 今回建設にご協力いただいた『ヒラニプラ温泉<バグベアの湯>』はこの後、ハーレック興業さんの協力の元、教導団の新しい湯治場としてこのお話の2〜3か月後くらいを目安に完成します。
 みなさんの意見をふんだんに取り入れた宿泊・娯楽施設完備の大型の温泉レジャーランドとして完成する予定なので、他シナリオの舞台となった暁にはぜひまた遊びに来てくださいね。

 今回のシナリオは、敵として登場したバグベアに対するPCたちの考えの違いや、大勢でモノづくりするときの手間の多さとその着眼点に驚かされながら、うんうんとない頭を悩ませて書きました。全く、いつもいつもみなさんの発想の豊かさには驚かされっぱなしです。一緒にうんうんしつつ、ちょっとでも楽しんでもらえれば幸いです。
 寒い季節になりましたが、温かいものを食べたり、それこそゆっくりお風呂に浸かったりして日々の疲れを癒してくださいね。

 それでは今日はこの辺で。ここまで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。
 またどこかのシナリオで再会できる日を楽しみにしております。