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らばーず・いん・きゃんぱす

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●EPILOGUE

 雪はいつの間にかやみ、雲間から再び、暖かな陽光が顔を見せていた。

 空京大の乗馬場、その小高い丘から眺める空は美しい。
 そこには、桃色ゴムとすっかり意気投合したクド・ストレイフ(くど・すとれいふ)が腰を下ろしていた。周囲にはたくさんの桃ゴムがいて、クドと同様に思い思いの格好(寝そべり方?)でくつろぎ、終わりゆく一日の光景をともに楽しんでいる。
「今回、まあ色々あって空京大学に見学に来てたお兄さんですけども、まさかこんな出会いが待っていたなんてねぇ。バカップルなリア充を憎むみなさんの心、激しく共感できましたなぁ。掛け値無しに」
 クドのすぐそばの桃ゴムが、賛意を示すようにふるふると体を揺らした。
「ふふ、そうですかあんたも嬉しいですか。お兄さん、そんな風にストレートに情愛を示してくれると嬉しくなっちゃいますねぇ」
 今日一日で、クドにはたくさんの友達ができた。「リアジュウシネ−!」と叫ぶ彼らである。ファーストコンタクト時こそ桃ゴムたちは警戒していたものの、すぐにクドの心情を知ったのか態度を軟化させたのだった。
 その後は本当に楽しかった。縛られ転がされた男女が口汚く罵りあい『元・リア充』になる(=別れた)のを一緒に見物して楽んだり、褐色ゴムが手を触れず残していったカラメル以外のお菓子を分け合ったり、輪になってバレーボールを楽しんだり……そうこうしているうちにクドは、彼らの愛嬌や情の深さを知った気がした。姿形は違えど心は同じ、友情に種族の違いは関係ないのだ。
 ぴと、と間近の桃ゴムが、伸び上がってクドに頭(?)をもたれかけさせた。
「そういえば皆さんって、雌雄……つまり性別はあるんでしょうかねぇ? もしあんたが女の子なら、お兄さんのストライクゾーンばっちりど真ん中なんですけども。好きになっちゃう……かも」
 すると桃ゴムは、恥ずかしそうに身を縮ませたのである。
「もしかして……!?」
 眼を輝かせたクドだったが、直後、悲劇に見舞われることになった。
 目の前の桃ゴムが、突然くねくねと身をくねらせ、苦しんでいるかのように地面に伸びてしまうと、そのまま動かなくなってしまったのである。
「ちょっと、しっかりして下さいよ。どうしたんです!? え……!」
 立ち上がってクドは知った。目の前の桃ゴムだけではない。彼の周囲のどのゴムもすべて、同じ状態になって息を引き取ったのだ。一様に色が黒くなり、固まって収縮していく。
 寿命が来たのだ。彼らの誕生から、ちょうど十二時間が到達したのである。
「あまりにつれないですよ……それって、ねぇ! 俺たち、友達だったじゃないですか、そんな……」
 しかし時間は決して、元に戻らないのだった。
「俺を置いて先に逝かんでくださいっ!」
 クドはゴムたちを抱きしめ、はらはらと落涙した。

担当マスターより

▼担当マスター

桂木京介

▼マスターコメント

 マスターの桂木京介です。
 お疲れ様でした。ハッピーで愉快で、少しどきどきで、それでいてシリアス……というバラエティに富んだアクションをお寄せいただきありがとうございました。楽しんでいただければ、マスターとしてこれ以上の幸福はありません。
 残念(?)ながら怪ゴムはすべて消滅してしまったようです。持ち帰る、友達になる、といった選択をされた方には少々残念な結果になってしまいましたね。一方、クランジΟ(オミクロン)はまた新たなシナリオで再登場するかと思われます。今回関わりのあった方は、再会の日を楽しみにしていて下さい。
 
 ご参加いただきありがとうございました。それでは、また近いうち、新たな物語でお目にかかりましょう。
 桂木京介でした。