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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第二章 大奥見学ツアーッ!3

「あーもう、つまんないー。ボクね、大奥に来たのに、大奥っぽい行動何もしてないよ? ねえ、どういうこと?!」
 百合園女学院の生徒で瑞穂睦姫(みずほの・ちかひめ)の友人として関わってきた桐生 円(きりゅう・まどか)が、爆発したようにわめいていた。
「決めた。今から大奥ごっこやるからね。ボクがお姫様で、ちかちゃんが下っ端役だよ。逆転大奥生活だよ。お姫様の言う事はなんでも聞くんだよ、わかった?」
「どうしてそうなるのよ? 私だって下っ端役なんてイヤよ」
 睦姫は抵抗していたが、円は金魚を人(?)質に配役を譲らない。
「ちかちゃんが居ない間、誰がお魚の面倒見てあげたと思ってるの? ボクが餌をあげるから、ちかちゃんお掃除してねー!」
「うう……わかったわよ。今だけなんだからね!」
 睦姫は慣れない手つきで箒を握りしめて掃いている。
 円はそれを眺めながら、上から目線であれこれ言っている。
「駄目だよー、そんなんじゃ。ちゃんと畳の目に沿って掃くんだよー。ちかちゃん、本当に不器用なんだから。あ、向こうのゴミ箱も捨ててきてね。溜まってたよ」
「……」
「あと、ご飯作って、ご・は・んー。ボク、お腹空いたよ〜、はやくもって参れ!」
「もうヤダ! 自分でやんなさいよ!」
 睦姫は箒を投げ捨てて、円にくってかかった。
「私こういうの向いてない」と、睦姫。
「最初は誰だってそうだよー。諦めたらそこで試合終了だよ」
「試合って何よ!?」
 円がニヨニヨしながら笑っていると、紫光の間の襖が開き、本郷 翔(ほんごう・かける)が顔を出した。
「すみません。大奥見学ツアーの方で姫様の生け花をご覧になりたいという方がいて、お願いできますか」
「生け花?」と、睦姫。
「はい、是非とも大奥の華道を見学したくて」
 リュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)が遠慮がちに言うと、睦姫がにやりとした。
「ああ、そうね。円姫様、ひとつお手前を。本手生(ほんていけ)で差してご覧になれば?」
「え? ボク?! 本手生って何? いや……ボクは」
「あら、円姫様。せっかくお客様がいらしてるのに、そのままお返しになるの?」
 睦姫が口に手を当てて含み笑いしている。
 円は頭の上で、両手でバッテンを作った。
「えと、今日は調子が悪いからダメ! 絶対ダメー!」
「そうですか……残念です」
 円がひどく拒否するので、仕方なくリュースたちはまた別の場所へと向かっていった。 彼らを見送り、円はむくれながら言う。
「ひどいよ、ちかちゃん。いぢわるだよ!」
「あなたが姫様になりたいっていったのよ」
「う〜、だったらゲームしようよ、ゲーム! これだったらボク、絶対負けないからね。試合に勝つからね!」
「だから何の試合よ?」
 円と睦姫は二人並んでコタツに入り、ゲーム機を設置した。
「スイッチ、かちょーオーン!」
 間も無く、男の高笑いとともに横スクロール画面が流れる。
「ねえ、マホロバってさあ。サムライの国のはずなのに、忍者しかいなくない? しかも全然忍んでないタイプの。ストライダー○竜だよ、ストライダー」
「さあ、後ろの人の趣味じゃないの? その内、イケメン侍出すかもよ。あの人わかりやすいから。あら、やだこれ面白い。『オプション』強すぎ!」
「『マホロバに忍者しかいないだと……? まっすぐ家に帰れ。今あった事はすべて忘れろ』何これー!『だから貴様は飼い猫なのさ』ふはは……おもしろーい!」
 二人はご飯を食べるのを忘れて、ゲームに夢中になっていた。