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リアクション
★ ★ ★
「第三試合、ルルール・ルルルルル選手対、雪国ベア選手です」
「ふむ、ルルールの奴、しっかりといいところまで上り詰めたものだな。普段の言動はいいかげんだが、ちゃんと魔女しての研究はしていたらしい」
観客席で戦いを見守りながら、夢野久がつぶやいた。
「うまくいけば、こいつらも使わないで済みそうだな」
待機させている剛雁を軽くなでてやりながら夢野久が言った。
戦いの方は、さっそく両者が思いっきり得意の方法で攻撃を交わしている。
お互いに左からの攻撃を防がれ、今度は雪国ベアが右から、ルルール・ルルルルルが正面から攻撃をしかけた。
「ちょ、待てクマー!!」
直撃を食らった雪国ベアが凍てつく炎の直撃を食らって後ろに吹っ飛んだ。
「ふっ、たわいのない」
突き出したイルミンスールの杖を引くと、ルルール・ルルルルルが目の前の太極図を消し去った。
スライムに落ちた雪国ベアは、そのまま救護室へと運ばれていく。ゆる族の場合、中の人がすっぽんぽんでも外からではまったく分からない。
「勝者、ルルール・ルルルルル選手!」
★ ★ ★
「第四試合、泉 美緒(いずみ・みお)選手対、フィリップ・ベレッタ選手です」
これは珍しい新入生同士の対決となっている。
ただ、フィリップ・ベレッタとしては、校長の目の前では他校の生徒には負けられないというところだ。
「わたくし、魔法なんて……」
『大丈夫です。私と一緒である限り、あなたは負けません』
純白のビキニアーマーを着た泉美緒が、恥ずかしそうに身をよじらせた。彼女が着ているビキニアーマーこそ、ラナ・リゼット(らな・りぜっと)が魔鎧として装着された姿であった。
「そうなのでしょうか」
もじもじと身をくねらす泉美緒に、目の遣り場に困ったフィリップ・ベレッタが視線を逸らした。なにしろ、ラナ・リゼットを装着した泉美緒は、素肌の露出の方が鎧に被われている部分よりも圧倒的に広い。たっゆんすぎる双房やむきだしのへそとかを見せつけられては、純情少年としては戦いにくくてしょうがなかった。
「光の精さん、お願いします!」
光精の指輪を掲げると、泉美緒が大声でお願いした。
すぐさま、光の聖霊が現れてフィリップ・ベレッタへとむかって行く。
「ちょっと待って、僕はまだ準備が……」
フィリップ・ベレッタが、あわてて火球で応戦したが、ひょろひょろっとした火球は、泉美緒の左側のバリアにふれるかふれないかのうちに消滅した。逆に、一直線に上から舞い降りた光の聖霊が、フィリップ・ベレッタにドロップキックを見舞った。
「うわっ」
あっけなくフィリップ・ベレッタが、スライムの海に落ちていく……。
「無様ですぅ……」
エリザベート・ワルプルギスが、こめかみをピクピクさせながら、海パン一丁になってぺっされるフィリップ・ベレッタを軽く睨みつけた。
「勝者、泉美緒選手!」
★ ★ ★
「早くも第四回戦最終試合となりました。悠久ノカナタ選手対、赤羽美央選手です」
「ようやく出番が回ってきたか。待ちわびたぞ」
軽くあくびをしながら、魔法少女姿の悠久ノカナタが再登場した。
「大丈夫ですわ。この後はゆっくりと休んでいただきますから」
「さあ、それはどちらの台詞かな」
赤羽美央と悠久ノカナタが武舞台の上から、互いに火花を散らす。
「生半可なパラディンでは使えないホーリ」
「スカーレット・ファイア!」
悠久ノカナタが、くるくるっとマジカルステッキを回して炎を作りだす。同時に、上から落ちてきた光球をバリアのところで止めるとぎゅっと手を握りしめる動作をして消し去った。
「この程度、バリアの助けを借りるまでもない」
ふっと、勝ち誇った笑みを浮かべる悠久ノカナタに、赤羽美央が柳眉を逆立てた。その背後で、バリアに弾かれた火球がドーンと弾け散る。
「スカーレット・サンダー!」
今度はマジカルステッキを上に突きあげて悠久ノカナタが叫んだ。赤羽美央の下から真っ赤な稲妻が走ったが、バリアに阻まれて四方から上方へと一瞬にして流れ去っていった。
同様に下から光球が悠久ノカナタを襲ったが、今度はバリアによって弾かれた。
「今度は防がないのですね」
「力を見せつけるのは一度で充分」
なかなかに舌戦を繰り広げる。
「生半可なパラディンでは使えない極大ホーリ!!」
光術しか使えないのでは、どうしても攻撃が単調になる。多少の焦りを覚えつつ、赤羽美央が勝負をかけた。
「スカーレット・サンシャイン!!」
マジカルステッキをクルクル回した悠久ノカナタが、上空から強烈な光を呼んだ。
悠久ノカナタの背後に回った光球がバリアで消えるのと同時に、赤羽美央が光を浴びて武舞台から押し出された。
「汚いな、さすが魔法、汚い!」
捨て台詞を残して赤羽美央がスライムの中にドボンした。
キュロットスカート一枚になってぷっかりと浮かびあがる。
「勝者、悠久ノカナタ選手!」