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リアクション
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「第八試合、五月葉 終夏（さつきば・おりが）選手対、水橋 エリス（みずばし・えりす）選手です」
「大丈夫……平常心を持って……ぅ、ぱるぱる……」
緊張のあまり身震いを続けながら、水橋エリスがつぶやいた。
「水橋選手はいらっしゃいますかあ。いらっしゃらなければ棄権ということに……」
「あっ、はい、ここにいます！」
場内アナウンスにやっと気づいて、水橋エリスはあわてて武舞台に駆けつけていった。
「イルミンスール生、水橋エリスです！ 申し訳ありませんが、私が勝たせてもらいます！！」
遅れてやってきた水橋エリスが、あわてて頭を下げて名乗った。思わず、五月葉終夏の口許に笑みがもれる。
「よかった。やっと試合の順番が回ってきたのに、また不戦勝だったらつまらないものね。それじゃ、楽しくいこうね」（Ｖ）
すでに武舞台の上で待ち構えていた五月葉終夏が、両手で横にして持っていたイルミンスールの杖を右手に持ちなおして構えた
「私の力がどこまでついているか、確かめさせてもらうよ」
五月葉終夏が、左手を掲げた。
「我が掌に浮かべ、光の標」（Ｖ）
掌の上に浮かびあがった光球を、イルミンスールの杖でコントロールして水橋エリスの頭上へとぶつける。だが、バリアにあたった光球は、一瞬の輝きを放って消滅した。
「えいっ！」
水橋エリスが、振り上げた手を思いっきり振り下ろすと共にパチンと指を鳴らす。飛び散った火花から雷球が生まれ、輝く尾を引きながら五月葉終夏の右側へと飛んでいった。
「あちゃ〜、まだまだ未熟ってことか〜。うわっ！」（Ｖ）
イルミンスールの杖で雷球を弾くも、バランスを崩した五月葉終夏が武舞台から落ちる。ぷかりと、イルミンスール水着姿で、五月葉終夏がスライムの海に浮かんだ。
「勝者、水橋エリス選手！」
★ ★ ★
「第九試合、鬼崎朔選手対、赤羽美央選手です」
「おお、朔だ。頑張れー、愛してるぞー」
「うおー、はずかしー……」
椎堂紗月の声をしっかりと耳にして、スカイフィッシュの群れの中で魔力を高めていた鬼崎朔が、耳たぶまで真っ赤になった。
「リア充ですか……」
ギランと、赤羽美央の目が光る。自分はまだ肩をならべて歩くことが目標だというのに……。
「生半可なパラディンでは使えない極大ホーリ！」
槍を思いっきり突きあげて、赤羽美央が叫んだ。目映い光球が、鬼崎朔の上から叩きつけるように降ってくる。
「我、復讐の女神と契約を交わすものなり。侮蔑と嘲笑と嘆きを耐え忍び、今こそ我にその力を……寄こせ！ アンドラス！」
まだ禁じられた言葉で準備中だった鬼崎朔であったが、あわてずにすぐ凍てつく炎の詠唱に入った。
「我が名において命ずる！ 怨敵を燃やし打ち砕け！ 邪なる氷の炎柱！ アイスファイア！」
火炎を纏った氷柱が、赤羽美央の右側のバリアにぶちあたって砕けた。
「まだまだです！」
赤羽美央が、続けて真下から光球をあてるが、これもバリアに弾かれてしまった。
「凍てつく大地、漆黒の闇、汝の行きつく所は其の地獄なり。我が慈悲なる冷気に抱かれて永久の眠りにつくがいい。凍えて眠れ！ ニヴルヘイム！」
闇術で周囲を暗くした中から冷気が迸る。ぐるりと背後に回り込んだ冷気ではあったが、赤羽美央のバリアにあっけなく阻まれてしまった。
「舞え！ 月光蝶！！ 復讐の刃と共に！」（Ｖ）
鬼崎朔が正面から光の蝶をむけてくるのを防いで、赤羽美央が槍を力強く突きあげた。
「パラディンの格をお知りなさい！」
背後に回り込んだ光球が、鬼崎朔を武舞台の外へと押し飛ばした。
「な、そんなバカな！ 私が負けるなんて！ 見るな〜」
落ちていきながら、鬼崎朔が叫ぶ。そこへ、素早く椎堂紗月の投げた毛布が、スライムの上に広がっていて、落ちてくる鬼崎朔をつつみ込むようにして受けとめた。そのまま、毛布にくるまれたまま鬼崎朔が救護室にぺっされる。
「ああっ、だから、毛布投げは私の唯一の見せ場だって言っているのに……。しかたありません。ここは雪だるま王国女王の勝利に免じて許すしか……」
出番をとられて、半分涙目のクロセル・ラインツァートであった。
「勝者、赤羽美央選手！」
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「第十試合、相田なぶら選手対、蒼灯鴉選手です」
「頑張れー」
二枚目のスケッチを一所懸命描きつつ、師王アスカが蒼灯鴉に声援を送った。
「まだ戦うのかよ。いいかげんもういいだろうが……」
思いっきり帰りたいと顔に表しながら蒼灯鴉がぼやいた。
「その願い、叶えてあげようかねえ〜」
相田なぶらが、シュトラールを掲げてそう言った。
「射ち、貫け！」
光球が、蒼灯鴉の右側のバリアに炸裂する。
「まあ、面倒なだけで、こっちから負けるっていうのもな。うるさい奴には、さっさと消えてもらうか」
蒼灯鴉が一所懸命魔力を集めて、相田なぶらの左側へと光球を放つ。
「うん、いいよ、そのポーズ。いただきー」
さささーっと、師王アスカがカンバスにコンテを走らせた。
「ああ、もうめんどい！」
蒼灯鴉がいいかげん切れかかる。
「あら、もしかしてまずいかな？」
不安を感じた師王アスカが、急いでスケッチを完成させた。
二人の放った光球が交差し、下からむかった蒼灯鴉の光球は弾かれ、相田なぶらの光球は後ろから蒼灯鴉を吹っ飛ばした。
「はいはい、お疲れさん。やっと終わったか……」
スライムに落ちた蒼灯鴉が浴衣姿で満足そうにぷっかりと浮かぶ。
「あらら、負けちゃったか……。でも頑張ったねぇ、お疲れ様♪」
カンバスをたたむと、師王アスカは蒼灯鴉を回収しに救護室へとむかった。
「勝者、相田なぶら選手！」
