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またゴリラが出たぞ!

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またゴリラが出たぞ!

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 その隣のテーブルでは『セイニィと新年会』なるイベントが開かれていた。
 開かれていた……と言うか、より言葉に正確性を求めるならば、開かれようとしていたと言うのが正しい。
 ぐつぐつと沸き立つ鍋を前に、シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)は電話をかける。
 勿論、セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)のところにだ。
「もしもし……、セイニィですか?」
『そうだけど……、何の用よ?』
「あの、今から新年会をしようと思うんですけど……来れませんか?」
『はぁ? 新年会?』
 なんとなく電話の向こうでイラッとした感じが聞こえた。
『今、あたしに鍋の電話を掛けてくるなんていい度胸ね……、シャンバラ宮殿前のくそ寒いとこにいるってのに』
 どうもアイシャの身辺警護中らしい。
『タイミング悪いわね。空気ぐらい読めるようになりなさいよ、ったく……』
「ご、ごめんなさい……」
『あーあ、明日だったら空いてるのに……ほんと使えない!』
「え、じゃじゃあ……、また明日新年会しましょう」
『べ、別に新年会したいわけじゃないし……まぁでも、そこまで頭を下げるなら行ってやらないでもないわ』
 別に頭は下げてないのだけれども。
「はい、はい……それじゃ、また」
 シャーロットは携帯をテーブルに置いた。
「セイニィ、今日はこれないって?」
 鍋が煮えるのを心待ちにしながら、パートナーの呂布 奉先(りょふ・ほうせん)が尋ねる。
「はい、でも明日なら大丈夫だそうです」
「へぇ、良かったじゃんか。じゃあ、明日は俺は席外してたほうがいいよな?」
「そ、そんな……居てください。お願いですから……」
「ふーん……、ふたりっきりでセイニィと会うのが恥ずかしいって?」
 そう言われて、シャーロットは耳まで真っ赤になった。
 最初はともだちだった……けれども、だんだんと、近づいてくる春の足音のように、気持ちが移り変るのを感じた。
「まぁいいさ。明日も付き合ってやるよ。ただし、今日のメシはおまえのおごりな」
「もう……!」