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なし

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またゴリラが出たぞ!

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 ゆーこ(YuriYuriYuko) on Twitter
 プロフィール:女子高生やってる。テレビに出たこともあるよ。イモい奴のフォローお断り
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 あそこの座敷すげーうるさい

 大学病院の新年会だって

 うぜー

 @love2heatisland スーパードクター発見

 @love2heatisland イチャついてる女の子だれですか?

 @love2heatisland ポッキーゲームはちょっと恥ずかしいよ

 @love2heatisland すっとぼけないでよ

 @love2heatisland 逆ギレですか

 @love2heatisland 診察にみせかけて胸触ってたよね #kuudai




「くそ、誰だこの『ゆーこ』ってやつ!」
 スーパードクターはスマートフォンをいじりながらイライラ。
「この店の関係者じゃないのか!? 客の情報を漏らしていいのか! 最近、問題になっただろうがっ!
「どうしたんです、先生?」
「携帯なんていじってないで……、はい、先生。ポッキーあーん」
「ねぇねぇ、さっきの話を本当ですか? デートしたらバッグ買ってくれるって……」
 小悪魔ナースたちに絶賛囲まれ……厳密に言うと囲わせ中のスーパードクターはあわわわ……と動揺した。
「ちょ、ちょっと今話しかけないでくれ。何者かに私の悪行……もとい動向が探られている……!」
「えー、つまんなーい」
 ところが、スーパードクターのスーパードクタータイムを邪魔するのはゆーこだけではなかった。
 パンツドランカー末期患者、誰が呼んだかパンツ番長……の国頭 武尊(くにがみ・たける)である。
「すんません、ドクター。また診てもらってもいいですか、なんだか病状が悪化してるみたいなんです……」
「む……、君には末期を宣告したじゃないか。もう助からん、私の蜜月を邪魔しないでもらおう。
「そんなこと言わないで聞いてくださいよ……。しばらくは病気が治まっていたんだけど、『大決戦! 超能力バトルロイヤル「いくさ1」!!』P12〜14とか『これで夏ともおさらば? 「イルミンスール魔法学校〜大納涼大会〜」』P7、そして『イコンシミュレーター3 電子のプレッシャー』P9・14を経て病気が完全に再発したんです」
「……なるほど。しかし何故、君が刑務所でなくここにいるのか不思議でならない
「オレもそれはミステリーです」
 スーパードクターは余罪を追及したくなる気持ちを抑え続きを促す。
「再発した後は酷いもんです。『冥界急行ナラカエクスプレス(第3回/全3回)』P20とか『女王危篤シャンバラの決断』P46は特に。パンツのためにナラカや帝国に出向いたり。極めつけは『カノン大戦』P18〜19かな。パンツエネルギーで復活とかパラミタの愛欲の神に『パラミタパンツ四天王』に任命されるとか、もう何がなにやら……」
「なんか……君だけ違う世界に生きてるな
「先生、オレはこの先どうなっちゃうんでしょうね。もう、パンツ無しでは生きられないんですか」
「まぁ……生きられないでしょうね。パンツァー・イタチューンにご指名されちゃってるし。しかしいいんじゃないですか。どうせもうパンツドランカー症は末期なんだし、医者としてはどこまで病気が進むのか見ておきたい」
「そんなぁ……。今日だって、カリスマギャルのカリスマパンツを狙うの諦めて相談してるんですから、どうにかしてくださいよ。ホントお願いしますよ。助けて下さいよ。このままだと、2月にチョコがチョコが……」
「身のほど知りたまえ。どこの世界にパンツを頭装備と勘違いしてる奴にチョコを恵んでやる女子がいる
「う、うわぁぁぁ!!」
 親の敵のように座布団を殴る武尊……、この悔しさをバネに貴重なサンプルとして医療に貢献してほしいところである。
「あいかわらずしけた青春を送ってんなぁ……」
 瀬島 壮太(せじま・そうた)は小馬鹿にしたように哀れなドランカーを見つめた。
「せ、瀬島……!?」
 いつの間にやら新年会に潜り込んだ彼は、小悪魔ナースの間にも紛れ込み楽しくお喋りしている。
「こ、こんなところで何をしてやがる」
「決まってんだろ、ナースのうるわしーおねーさんがたと楽しく新年会だよ」
「うるわしーだってぇ、壮太くんおもしろーい」
「君、ちょうチャラいじゃ〜ん」
「全然チャラくないから。本当のオレを知るためにもアドレス交換しようぜ、えっとオレのアドレスはねぇ……」
憎しみで人が殺せたら……!
 武尊は血の涙を流して華やかな彼らを憎み、そして世をはかなんだ。
 とは言え、一見楽しそうな壮太にも不安は常に付きまとっている。
 前に診てもらった奇病がまだ完治していないのだ。
 突然長いものを股間に当てて『オレの光条兵器!』と叫ぶ、社会的に死ぬかもしれない恐ろしい病が。
「……奇病が発症しないように、長物はオレの手元から遠ざけておくようミミに言っておかねえとな」
 彼にとって鍋用の菜箸とかおたまは、爆弾よりもおそろしい兵器である。
「おい、ミミ。オレの半径3メートル以内に長物が来ないよう見張ってくれ」
「む〜、ほんとにしょうがないんだから〜」
 なんで自分がナンパのアシストをしなけりゃならないのか……。
 呆れながらも契約者と違って人間の出来てるミミ・マリー(みみ・まりー)はいそいそと片付け始める。
 しかし、片付けられないナガモノも存在するのだ。
「ちょっとあなたたち、あんまり学生の男の子をからかっちゃだめよ」
「ふぁ……ファン子さん! お、お疲れさまです!」
 ドスンと壮太の隣に腰を下ろしたアエロファン子に小悪魔ナースはいっせいに敬礼した。
 スーパードクターが医師界のカリスマなら、ファン子はナース界のカリスマ。女神担当である。
「……ん? あらあなた、よく見たらかわいい顔してるのね」
「い、いえ……そんな恐れ多い……」
 竜二頭までなら素手で殺せると噂される彼女の巨体に圧倒されビビる壮太。
 ゆっくりと離脱……もとい席を離れようとするのだが、巨体に似合わぬ俊敏な動きで腕を掴まれてしまった。
「な……、ま、万力で締め付けられてるみてえだ。に、逃げられねぇ……!」
 恐怖。今の心境を二文字に集約するならそれしかなかった。
 そして、なんの因果かファン子は象の獣人、その鼻はながく……彼の奇病を発症させるには十分だった。
うおおおおお!! オレの光条兵器!! オレの光条兵器!!
「きゃああああ!!!」
 ながいお鼻をぎゅぎゅっと股間に押し付け絶叫。
「た、たいへんだ……! 壮太が社会的に死んじゃう……!」
 ドン引きするナースをかき分けて、ミミは暴走する相棒に鉄拳制裁と言う名の優しさをプレゼント。
 えぐるように打ち込まれた右ストレートで、社会的に抹殺されかかった壮太を畳みに沈める。
「ご、ごめんなさい……、お騒がせしました。あとできつく言って聞かせますので……通報はしないでください」
 へこへこ謝りながら、ミミは壮太を引きずっていった。
「な……、なんなの、この胸の高鳴り……。いけないわ、ファン子。相手は年下の男の子よ」
 引きずられていく軟派少年をファン子はドキドキしながら見ている。
「でも……あんなことされたら……、壮太きゅん……!
 地獄。彼の今後を二文字に集約するならそれしかなかった。
「なにをやってるんだ、あいつは……」
 一部始終を見ていた椎名 真(しいな・まこと)は複雑な表情でこぼした。
 前回のお礼を兼ねて空大病院新年会の手伝いにきた真。もつ鍋に水炊き、温泉湯豆腐鍋に豆乳鍋と……さまざまな鍋を手際良くセッティングしていく。流石は執事と言ったところだろうか、バイトの店員さんより仕事ができている。
「さ、ドクター。お鍋の準備が出来ましたから、どうぞ召し上がってください」
「君は前に診察に来た……?」
「ええ、その節はお世話になりました。病気が治る気配はありませんが……まあ、なんとかやってます」
「そうか。何かあったらまた来たまえ。で、鍋がいろいろがあるがどれを食べればいいんだ?」
「今の時期は白菜と豚肉を豆乳スープで食べる鍋がオススメ……って、あれこのぞわりな感覚は……諒!?」
「?」
「……って、え? ちょいといじりたい? ちょっと待てただでさえ俺ドMとか弄られ……て……」
「ひとりでなにをブツブツと……」
 スーパードクターが眉を寄せた途端、真はガクンとうなだれ、そしてゆっくり顔を上げた。
「ククク……どうも超ドクター梅さんよ。こいつが手伝うとかつまらないことやりそうだったから診察に来たぜ」
 その顔には火傷のような痣が浮かび上がり、口調や表情が変化している。
 奈落人の椎葉 諒(しいば・りょう)が真の身体を奪って現世に現れたのだ。
「分裂症かと思ったが……、奈落人による憑依現象か」
「なかなか学のある医者のようだな。相談ってのはほかでもない、こいつの霊に憑かれやすい体質のことだ」
「ふむ」
「精神的に弱い以前に、追い詰めさせるととても面白いから霊がほっとかないんだろう。それを利用して、ナラカに来た時も自分に糸巻き付けた状態でわざと憑依させて轟雷閃とか一瞬考えたらしいからな……。む、なんだ真?」
 すると、また真に戻った。
「憑きやすいって……そもそもそれ頭の問題じゃないじゃないか」
 うなだれる。
「……そういえば願いをかなえるため、霊に自分から体を貸したこともあったけか。『闇世界の廃校舎(第2回/全3回)』の5ページから方向がおかしくなったんだよなぁ。『幽霊船を追え! 卜部先生出撃します!!』の7ページじゃこんにちは三匹のムカ……ゲフン、3体のレイスに憑かれたし……、よりによって悪霊に好かれやすいんだよなぁ……」
「まあ良い霊なら君に取り憑くこともあるまい」
「そ、それはそうなんですけど。うーん、気とかそういうのには敏感だと自覚してたけど……もしかして俺って霊の格好のまと? 先生、憑かれにくくするにはどういう考え、心構えでいればいいんですか……って、また……諒!!?」
 再び諒に戻る。
「そんなわけだ。俺以外に使わせるのが少々惜しくなってきたんでな、悪霊に嫌われるにはどうすりゃいい?」
「オカルトは専門外だが……、霊の気持ちになって考えてみればおのずと答えは見つかるはずだ」
「と言うと?」
「折角、椎名さんはドMなのだからそこを伸ばしてだな……全裸に亀甲縛り、ボールギャグ着用を基本の私服にするのはどうだろう。流石の悪霊もそんな変態に憑依するのはためらうのではないだろうか。私なら絶対に近づきたくない
「……それ、俺も被害をこうむらないか?」
 体質改善の道はながく先は見えない。