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プロローグ
 気がつくと、一行は空を飛んでいました。空には満天の星が輝いています。
「どれぐらい、飛んでいくの?」
 先頭を飛ぶウェンディ・アドバルーンにアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が尋ねました。ウェンディは答えます。
「あの星を目指して、朝までよ」
 ウェンディはきらめく星達の中でも、とりわけ明るく輝く二つの星の、その右側を指差しました。
 ウェンディの言葉通り、一行はひたすら星を目指して飛びました。やがて、夜が明けていきます。朝焼けに染まる空の下、一行は雲のトンネルに入っていきました。長いトンネルの途中でアゾートは眼下に宝箱が落ちているのを見つけました。
「あれ……なにかな?」
 首をかしげるアゾートに、
「きっと、海賊の宝箱だわ」
 と、ウェンディが答えました。
「海賊達は、時々、そうやって雲の上に宝箱を忘れていくのよ」
「一体、何が入っているんだろ……?」
 アゾートは宝箱を拾ってふたを開けました。中には、金色に光るサクランボがたくさん入っています。
「驚いた! 変身の実だわ」
 ウェンディが叫びます。
「それがあれば変身できるのよ……ただし、子供が好きな物に限るし、時間も限られているけど……」
 変身の実はちょうど人数分入っているようです。
「ねえねえ。これ、みんなに一つずつ分けようよ」
 アゾートの提案に「そうね」とウェンディはうなずき、みんなに一つずつ変身の実を配りました。