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冒険者の酒場ライフ

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冒険者の酒場ライフ

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 熾烈な料理バトルを終え、ノーサイドとなり健闘を讃え合う者達。そして、店内では、和希が持ち帰った白い巨豚の肉。猛と淳二が持ち帰ったパラミタマンモスの肉が特別に客達に振舞われていた。
 焼きたての肉と共に、また慌ただしくなる酒の注文やドリンクバー。
 肉の調理には、先程まで女将候補としてしのぎを削った候補生達が参加し、豪華な宴となっていく。

 そこに流しの歌唄いであり、自称『シャンバラ一の美声歌手』という吉永 竜司(よしなが・りゅうじ)が現れてリサイタルが始まる。

 既に夜はどっぷりと沈み、徐々に眠気と戦う客もチラホラ現れる中、とにかく自分の歌を誰かに聞かせたい竜司は、
「ヒャッハー! 冒険よりすごい音楽って本当にあるんだぜ。オレがそいつを聴かせてやるぜ、グヘヘ!」
と、まずは【驚きの歌】で驚かせて冒険者たちの注意を惹こうとし、その後【幸せの歌】で冒険者たちの気分を良くしてやろうとする。
 だが、気分が良くなった冒険者たちは皆、スヤスヤとテーブルで眠りについてしまい、
「て、てめぇら!! オレの歌を聴けっつうんだッ!!」
 と、竜司が叫ぶ羽目になっていた。
 そんな折、24時間営業ではない蒼木屋の閉店の時間がやって来るのであった。

 ここで、蒼木屋の閉店後を少しだけご紹介しよう。
 ワイルドポーカーで巻き上げたお金を勘定するナガンと天音。
「なぁ黒崎、今回ナガンの勝ちだよな?」
「僕は20回勝ったよ、ナガンは19回だよね?」
「ち、違う!! 黒崎はあのエリュシオン人に二回も勝ったの入れているだろう!」
 天音に噛み付くナガン。それをスルーした天音が戦利品のアイテムを見て、
「このアイテム、捜索願が出てる品物だった。持ち主の手元に返せそうだね」
「エリュシオン人にトーガを返したのはノーカウントだからな!!」
「はいはい。でも僕の勝ちだよね?」
「いやナガンの勝ちだって!!」

「お客さん、閉店ですよー? 起きて下さーい?」
 店内で経理の仕事を終えたルカルカが金庫に鍵をかけ、戸締りをし、そして灯りを消すため店内を見回っている際、店のカウンターで酔いつぶれているセルシウスを発見していた。
 ルカルカが揺さぶると、セルシウスがムニャと何かの歌を口ずさむ。
「ん? その歌は……」
 ルカルカが首を傾げる。
 それは先程、女将となった卑弥呼に、「自分の歌を酒場のテーマソングにしないか?」と持ちかけた竜司が披露した歌であった。
『何杯飲めば飛べるのさ? ソフトドリンク飲み放題だからってそれは無理さ
君だってわかっているんだろう? 俺はミルクが飲みたいってこと
だけどミルクはもろ刃の剣 荒くれ者が殺気立つ 運んでくる店員は皆ちっぱい
食料調達は何だかヌルヌル 警備員は月夜に舞うし 隣にはライバル店が出来る
だけど酒場に行かなくちゃ 卑弥呼の酒場に行かなくちゃ 行かせてくれよ
ポーカーで裸になってもいいし 店員にシバかれるのも乙なもんだ 
※だから酒場に行かなくちゃ 卑弥呼の酒場に行かなくちゃ 行かせてくれよ
(※リピート)』


 クワッと目を開くセルシウス。
「閃いたぞ……フハハ……ハハハハハッ!!」
 少し引いた目でルカルカがセルシウスを見ている。
「ね、ねぇ、大丈夫?」
「ああ、私はとても簡単なことを忘れていた! この文化を我がエリュシオンに取り込んで、そして蛮族達に見せつけてやるのだ!! 我が帝国の真の力をなッ!!」
「あのぅ……酔ってる?」
「世話になったな、サラバだ!!」
 そう叫んだセルシウスは疾風の如く去る。
「あ……お会計……」