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冒険者の酒場ライフ

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最終章:エピローグ
 思い立ったが吉日。
 即日に荒野を駆け抜けて、エリュシオンに戻ったセルシウスは『蒼木屋ユグドラシル店』をオープンさせるため各方面への調整も兼ねてひたすら働いていた。
 オープンに先立って街中には、『来たれ! 女将候補者よ!』というポスターや、『ステージでの歌い手募集!』『新鮮素材調達員求む!』等の張り紙が溢れ、以前にも彼がエリュシオン初となる『コンビニ』をオープンさせた事もあってか、ちょっとした話題になっていた。
 新規出店を恐れる老舗の酒場や料理店にも、セルシウスは友人の政治家を通じて手を回し、エリュシオン特有の食器を使う、コラボした料理を出す等、エリュシオンの独自色を消さない工夫も行っていた。
 建設現場を指揮するセルシウス。施工業者へのドリンクバーの説明や、ステージの照明等を慌ただしく指示する。
「ふふふ、見ているがいい蛮族達よ!! 貴公らの全てを貰い、そして全てを凌駕する蒼木屋を私がここに作ってやるのだ!!」
 大いなる野望の火を燃やすセルシウス。
「セルシウス殿!!」
「ん?」
 馬に乗って現れた役職の高そうな男をセルシウスが振り返る。
「私はアスコルド大帝の使いである」
「おお! 大帝の!! しかし、何故今? まだ蒼木屋は出来上がっておりませんが」
「……そなた、本当に一つの事に夢中になると、残りを全て忘れる性格だな」
「は? ……と申されますと?」
「アスコルド大帝は気にしておられたぞ? セルシウスに任せた空京万博のパラミタパビリオンの建設はどうなっているか? とな」
 セルシウスの顔から血の気が引いていく。
「(しまった……蒼木屋に夢中になるあまり、完全に忘れていた)」
コホンと咳払いをしたアスコルド大帝の使いは、言葉を続ける。
「まぁ、無事に間に合えばよかろう……。もし、間に合わなんだら、その時は……」
 使いの者がチラリと目を向ける。
「ん? あれ? おい、ここにいたセルシウスは何処へ行った?」
 姿の見えないセルシウスに、使いの者は近くで工事をしていた作業員に尋ねる。
「え? セルシウスさんなら、凄いスピードで走って行きましたよ?」
「どこへ?」
「あの方角は、多分シャンバラ地方ですね」
 セルシウスはひたすらに前を向き走っていた、シャンバラへ向けて、否、空京へ向けて。
「おのれ、蛮族共め!! 私の興味を誘い、パビリオンの完成を阻む作戦だったか! だが、私は負けんぞ!! 栄光あるエリュシオン帝国のため!! 私は素晴らしく、誰もが見たことのないパビリオンを作ってやるのだッ!!」
 完全に忘れていた空京万博を思い出し、蒼木屋の工事の指示もそこそこに再びシャンバラ地方へと旅立っていくセルシウスであった。

(終わり)

担当マスターより

▼担当マスター

深池豪

▼マスターコメント

 こんにちわ、深池豪(みいけ ごう)です。まず、公開が随分遅れましたことをお詫び致します。ごめんなさい!! 尚、今回もギリギリの提出でしたので、個別コメントはございません。こちらも合わせてお詫び致します。
 今回のお話は、酒場独特の賑やかな感じを出すのに相当苦労し、 気がつけば私自身の最大執量を更新する事になりました(笑)
 書き終えた印象としては「ステージ大人気だなぁ」て事でしょうか? ここまでステージに上がるキャラが多いとは思いませんでした。
 さて、今回のお話はシャンバラの国境地帯に出来た酒場、『蒼木屋』を主な舞台にしたお話でした。ジャンルも『冒険』とあったので色々冒険されているキャラが多くて書きごたえがありました。まぁ、お酒やソフトドリンク(?)が入ったキャラの話ですから、あまり重く受け止めず『ソソウ』的な扱いで読んで頂けると幸いですし、セルシウスも恐らくそちらの方が浮かばれます(死んでませんが)
 ここで、少しアクション判定についてお話させて下さい。
 マスターにも依るかと思いますが、私の場合、未完成でも不自然でもよいので、キャラの行動と感情をなるたけ字数一杯書いて頂けると非常に執筆しやすいのです。寧ろ、あまり簡潔に書かれたり、「マスターに一任します」と書かれますと、逆にキャラを動かしにくくなってしまいます。と言うのも、あくまでマスターはアクションを描く補助的なものであり、主体はPLである皆様にあると考えているからです。
 尚、今回も一部の方のアクションは上記の様な理由で不採用になったり、少し意味合いが置き換わったりしています。ごめんなさい!!
 ですが、特に、お酒を飲まれたキャラクターのお話は、私も描いていて非常に楽しくなり、ついつい秘蔵のウイスキーがこの執筆中に半分まで減りました。機会があればまた酒場の話を描いてみたいものです。
 
 今回の称号は、話の中で目立った活躍された方を中心に付けさせて頂きました。
 付いてないよ、と言う方は、私がいいネーミングが浮かばなかっただけです。ごめんなさい! 

 今回も多くの方に参加してもらえて、私は楽しく執筆できた気がしますが、皆さんにも少しでもこのお話を楽しんでいただけたら幸いです。
 それでは、またお会いできる時を楽しみにしております。
 ※8月9日 一部修正を加え、リアクションを再提出しました