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リアクション
第三章 新たな敵
「どうしたの?急に、進まなくなったけど」
「それが……『セント』を見失なっちゃったみたいなんだ」
怪訝そうな顔をする橘 舞(たちばな・まい)に、ディオネア・マスキプラ(でぃおねあ・ますきぷら)が困ったように答える。
ディオの連れている【パラミタセントバーナード】は、先程から同じ場所を行ったり来たりしている。
要塞内に潜入したBチーム、橘 舞(たちばな・まい)・ブリジット・パウエル(ぶりじっと・ぱうえる)・霧島 春美(きりしま・はるみ)
・ディオネア・マスキプラ(でぃおねあ・ますきぷら)・超 娘子(うるとら・にゃんこ)・泉 椿(いずみ・つばき)たち一行、人呼んで『春椿鰤連合』は、潜入直後に放った【パラミタセントバーナード】のセントの後を追っていたが、途中、敵兵と戦闘している内に、セントを見失ってしまった。
そこで、もう1匹のパラミタセントバーナードに、セントの臭いを覚えさせて後を追っていたのだが−−。
「ま、アレだけ派手にやれば、匂いがわからなくなるのも無理無いわね」
そう言って肩をすくめるブリジット。
おそらく、戦闘で流れた血や、火薬の臭いなどで、セントの匂いが打ち消されてしまったのだろう。
「《テレパシー》は、どうだ?」
「ダメです。また、通じなくなってしまいました。あゆみちゃんからの連絡もありません」
「クソッ!ここまで来て、手がかりナシかよ!」
椿が、腹立たしげに拳で壁を打つ。
「まだ、そうと決まった訳じゃありません。とにかく、まずはここを離れましょう。臭いの残っている場所を見つけられれば、また後を追う事が出来る筈です」
「な、なるほど」
「それと、通風口を見つめたら、必ず中を覗くようにしてください。もしかしたら、あゆみちゃんが投げたビー玉が見つかるかもしれません」
「そうにゃ!きっとセントもう、あゆみたちのトコロに着いてるにゃ!」
力強く頷く娘子。
「よし!そうと決まれば、とにかく先へ進もうぜ。娘子!」
「ニャ!」
一行はいつものツートップシフトを取ると、足早に廊下を進んで行った。
『……よし。誰もいないようだ。嬢ちゃん、こっちへ』
【ブラックコート】で身を隠しつつ、雨宿 夜果(あまやど・やはて)は、パートナーの五月葉 終夏(さつきば・おりが)に《精神感応》で呼びかけた。
仲間たちを待つ間も、周囲の見張りは怠らない。
かつての白姫岳要塞守備隊司令官、外代 沖也(としろ・おきや)を伴い、二子島へと戻って来た終夏たち。
2人は、外代の案内で、まだ味方が誰も侵入しておらず、捜索の手が回っていない中層へと向かうことにした。
島に着くまでは、中央門から侵入するつもりだったのだが、中央門ではまだ戦闘が続いているとの情報を受け、中層の秘密の入口から潜入することにした。
その秘密の入口も、ほとんどが封鎖されているようだが、幸い、こちらには外代がいる。彼は、最も封鎖される可能性の低い入口へ、2人を案内してくれた。
『わ、うわわ……っと』
『オイオイ、大丈夫か?』
『う、うん。ちょっと石に足を取られちゃって』
『嬢ちゃんも、暗闇でも目が見えるといいのにな』
《ダークビジョン》で暗闇でも目が見える夜果や外代と違い、終夏は夜目が効かない。
敵に発見されないように明かりの使用も控え、月明かりのみで歩いているため、どうにも危なっかしい。
「どう?入口、あった?」
「この辺なのは間違いないんだが、相当巧妙に隠してあるからな。実際に行ってみないと、わからんだろう」
「分かりました。ちょっと探して来ますから、嬢ちゃんと外代さんはここで待ってください」
そう言って、茂みから出ていこうとする夜果。その目の前で、山肌が音もなく開いていく。
(あれが、秘密の入口か!)
夜果は咄嗟に身を伏せた。
「え、ナニ?どこ?」
「いいから、頭を引っ込めんか!」
キョロキョロしている終夏の頭を、外代が押さえつける。
その直後、扉の中から武装した兵士が次々と現れた。
武器はライフルやサブマシンガンが多いが、中には刀で武装している者もいる。
全部で50人近くの兵士たちは、二手に分かれ、山の上と下へと移動していく。彼等は終夏たちに気づくこともなく、足早に歩き去った。
「何だか、沢山の人が出ていったみたいだけど……」
「今のは兵士たちだ。上層と下層に増援に向かったんだろう。外から回りこんで、挟み撃ちにするつもりかも知れん」
「エェ!大変だ、早く皆に連絡しないと!」
「嬢ちゃん、俺は本部と上に連絡を取る。嬢ちゃんは、AチームとBチームに連絡を!」
「は、ハイ!」
2人はケータイを手に取ると、慌ただしく電話を掛けた。
「クッ、コイツら、手強いぞ!」
「マズイですよ、ここで足止めを喰らうと、挟み撃ちに遭います!」
「右手にハンガーがあるはずよ、まずはそこに!」
「皆さん、こっちですわ!」
「大丈夫、中に敵はいないわ。急いで!」
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)とイオテス・サイフォード(いおてす・さいふぉーど)の支援を受けながら、樹月 刀真(きづき・とうま)と紫月 唯斗(しづき・ゆいと)たちは、ハンガーの中に駆け込んだ。
「奥に、もう一つドアがあります。そちらを押さえないと」
【銃型HC】の地図を元に、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)が立て続けに《防衛計画》を立てる。
「わかりました、そっちは俺たちが行きます。エクス、睡蓮」
「わかった」
「ハイ!」
唯斗が、白金の闘衣と化したプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)をきらめかせながら、ハンガーの奥へと向かう。エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)と紫月 睡蓮(しづき・すいれん)が、その後に続いた。
敵陣を突破し、中央門の爆破に成功した刀真たちだったが、要塞内に入り込んだと思ったのもつかの間、敵の伏兵に行く手を阻まれてしまった。
伏兵はまるで、こちらの進行ルートを読んでいたかのように巧みに配置されていた。
攻撃を受ける直前に《殺気看破》で気づいたために、手傷こそ追わなかったものの、驚くほど正確な狙撃と牽制射撃の連携の前に、祥子や唯斗、それに刀真までもが、一歩も敵に近づくことが出来なかった。
「アレが、例の『援軍』かしらね」
「明らかに、今までの敵とは段違いの強さですわ」
『英語を話す、地球から来たと思われる一団』の話は、皆連絡を受けている。
刀真はその話を聞いても『雑魚が幾ら増えたところで、問題ではない』と思っていたのだが、これ程腕が違うとなれば、話は別だ。
「困ったわね。勝てない相手じゃないと思うけど……」
「あまり悠長に構えてもいられないんでしょ?」
祥子の呟きに、魔鎧姿の那須 朱美(なす・あけみ)が続ける。
敵の様子を確認するが、今のところ、積極的に仕掛けてくる様子はない。
「ここの敵は、任せてくれて良いですよ。祥子たちは、先に進んで下さい」
「刀真……。大丈夫なの?結構な数よ」
刀真の言葉に、祥子が険しい顔をする。
「心配なら無用ですよ、殺す事にはそれなりに自信がありますからね。ま、それ以外は無能ですけど」
刀真は、自嘲めいた笑みを浮かべる。
「……わかった。ここは、お言葉に甘えさせてもらうわ。……くれぐれも、無茶しないでね」
「別に死にたい訳ではありませんからね。最も、仮にそうなったとしても、今まで散々殺してきたんです。今回は俺が殺される側に回った……それだけですよ」
「ダメですよ、刀真さん。そんなコトを言っては。月夜さんの事も、考えてあげて下さい」
月夜を気遣って、刀真をたしなめるイオテス。
「大丈夫。私がいる限り、刀真を死なせはしないわ」
「それに、俺たちもいますしね」
唯斗が、遠くから声をかける。
「俺も、ここに残ります。どうやら、団体さんのお着きみたいなんで。それに俺も、戦ってる方が性に合いますし」
「……勝手にしろ」
そう言って、唯斗に背を向ける刀真。
「それじゃ、決まりね」
「後は、よろしくお願いします」
「また、後でね」
エクスと睡蓮の援護の元、祥子たちは口々に別れの言葉を残し、ハンガーの外へと飛び出していく。
あっという間に、その姿は見えなくなった。
「大人しく降伏しなさい。これ以上戦っても、あなたに勝ち目は無いわよ」
傷口を抑えてうずくまる兵士に向かって、伏見 明子(ふしみ・めいこ)は、今日何回目かの降伏勧告をする。
彼が降伏することは、十中八九無いだろうとわかってはいるが、出来ることなら無駄な血は流したくない。
だが、そんな明子の願いも虚しく、兵士は刀を抜くと、叫び声を上げながら斬りかかって来た。
明子は、一直線に突っ込んでくる兵士の攻撃を躰を捌いて躱しながら、その鳩尾に【ティアマトの手甲】を叩き込んだ。
兵士は、一撃で気を失う。
数時間前、陽動として初めてこの要塞に突入してから、明子は既に3つの櫓を破壊していた。
『自分が仲間の捜索や工作活動をするよりは、敵の数を減らすことに専念したほうがいいだろう』と考えた明子は、とにかく櫓を片っ端から潰して回ることにしたのである。
明子は、全部の戦いで投降を呼びかけたものの、彼らはそのことごとくを無視して、襲いかかって来た。
中には、手榴弾を抱えて明子に突っ込んで来た者もいる。
「全く、手間を増やさないで欲しいんだけどね……」
明子は気を失った兵士を丸腰にすると、縄で縛り上げた。
明子は、改めてその兵士を見た。戦っている時には気づかなかったが、自分と大差ない年頃だ。
(一体何が、ここまで彼らを戦いを駆り立てるの?誇り?忠誠心?それとも憎しみ?)
自然と、そんな疑問が浮かんだ。
戦闘の連続で、疲れていたのかもしれない。だが、ほんの一瞬とは言え、ここが戦場であることを忘れてしまったことが、明子の反応を遅らせてしまった。
乾いた銃声と共に、明子の肩に焼け付くような痛みが走った。
歯を食いしばって痛みに耐え、咄嗟に身を低くする明子。
辺りに銃弾が2度、3度と突き刺さる。
(ドコ!?)
身を潜めたまま、素早く頭を巡らせて、敵の位置を確認する。遠くの山肌に、小さな朱い光を見つけた。
暗くて良くわからないが、少なくとも500メートル以上はあるだろう。
(あんな所から!)
常人なら、昼間でも当たるかどうか難しい距離だ。それを正確に命中させる相手の力量に、明子は驚愕する。
敵の位置が分かったことで、少しホッとしたのだろう。途端に、傷の痛みがハッキリと感じられるようになってきた。
【アーティフィサーアーマー】を脱ぎ、傷を確認する。
幸い、弾丸は鎧を半ばまで突き破ったところで止まっており、身体の刺さったのはほぼ頭の部分だけといったところだ。
もし貫通していたら、肩の骨を砕かれていたかもしれないが、明子は《超人的肉体》の持ち主だ。この程度の傷なら、放っておいてもその内回復してしまうだろう。
「今度はこっちの番よ!この私の玉のお肌に傷を付けたコト、公開させてあげる!」
《ミラージュ》の力で自分の幻影を幾つも作り出し、ワザと敵の眼に晒す。
敵はすぐさま撃ってきた。
明子は、銃撃の火点に狙いをつけると、周りに向かって《サイコキネシス》の触手を伸ばす。辺りに散らばる武器弾薬が、『フワリ』と中に浮いた。
「これでも喰らえー!!」
掛け声と共に、火点目掛けて殺到していく武器の山。
だが、その動きが、空中で『ピタリ』と止まった。
「エェ!!」
驚く明子の前で、中に浮いていた武器が、今度は明子の方へと押し寄せる!
すんでのところで飛びすざり、武器の山を避ける明子。
(マズい!)
明子は素早く周囲を見回すと、要塞内に通じるドアの向こうに転がり込んだ。次の瞬間、武器弾薬が次々と誘爆を起こす。
その爆風を、明子は《フォースフィールド》と【サイコシールド】で凌ぐが、力場は飛んでくる弾や破片までは防げない。
『ガン!ガン!』という音と共に、無数の破片が鎧を打つ。
『サイコキネシスを使う敵がいるなんて……』
驚きを隠せない明子。
その耳に、外から近づいてくる敵の声が届く。どうやら、敵はかなりの数がいるようだ。
『ここは、一旦体勢を立て直したほうが良さそうね』
ここでの防戦を諦め、明子は、廊下を素早く駆けていった。
「ん……!」
「どうしました、三船さん?」
「後ろから、誰か来る。複数だ」
「私は右に」
「なら、俺は左だな」
白河 淋(しらかわ・りん)は素早く廊下を進むと、T字路の右側の角に身を潜めた。
《超感覚》で捉えた音を逃さないようにしながら、三船 敬一(みふね・けいいち)も角の左側に陣取る。
徐々に、音が近づいてくる。三船は、今度は《殺気看破》に意識を集中した。すると、押し殺したような殺気が伝わって来る。
『間違いない、敵だ。3、4人はいる』
『姿が見えたら、私から先に仕掛けます』
『頼む』
そう《精神感応》で言葉を交わす。
遠距離では、三船は【自動小銃『ハルバード』】を、淋は《真空波》を使う。
真空波が銃の弾道に影響を与える可能性があるため、2人はいつも攻撃のタイミングを若干ずらすことにしている。
言うべきことを言ってしまうと、後は、敵の接近を待つだけだ。
じっとりとした汗が、三船の額を伝い降りる。何回経験しても、この時間は緊張する。
待ち始めて3分。ついに、廊下の向こうに武装した敵が現れた。
「ハァッ!」
気合の声と共に、淋が両手を突き出す。衝撃波が、通路にある物を吹き飛ばしながら進み、先頭の兵士に当たる。
だがその兵士の姿が、忽然と掻き消えた。
(ま、マボロシ!?)
驚く淋の目の前に、見慣れたモノがコロコロと転がって来た。
手榴弾だ。
「リンっ!」
三船が、淋に体当たりをかます。縺れ合うように転がる2人。
直後、『ドンッ!』という爆音と衝撃が、2人を襲った。
「大丈夫か、リン!」
もうもうと立ち込める白煙の中、三船は淋に駆け寄る。
身体のあちこちが痛むが、そんなコトは気にしていられない。
「み、三船さん……大丈夫です」
「立てるか?」
「はい」
淋も、所々に傷を追っているようだが、どれも軽傷なようだ。
ホッとしたのもつかの間、また背後で、何かが壁にぶつかって落ちた。
「またか!」
三船は、淋を抱えて飛んだ。
再び巻き起こった爆発に、2人は無数の瓦礫と共に、地面に叩きつけられる。
激しい衝撃。
だが2人は、歯を食いしばって無理やり身体を引き起こした。追撃は、すぐに来るはずだ。
「三船さん!
「走れ!敵は、すぐに来るぞ」
「はい!」
三船は廊下の突き当たり目指して走りながら、敵の放つ殺気を捉えていた。殺気は、どんどん強くなってくる。
その殺気が頂点に達した瞬間、三船は振り向きざきま銃を乱射した。
果たして、曲がり角から上体を覗かせた敵兵が、銃弾の餌食となる。
その隙に、三船たちは曲がり角の向こうに逃げ込んだ。今度は角から離れて、敵の様子を伺う。
『大丈夫か?』
『はい。三船さんは?』
『カスリ傷だ、心配いらない。……油断するな、いつ仕掛けてくるかわからん』
『はい』
曲がり角を凝視して、敵に備える2人。
しかし、敵も負傷者の収容に当たっているのか、すぐに襲ってくる様子はない。
三船と淋は互いに目を合わせつつ、荒い息を調えた。
「千歳、今の音、爆発音ですわ!」
「この先みたいね、急ごう!」
通路の先から聞こえてくる爆発音に、朝倉 千歳(あさくら・ちとせ)とイルマ・レスト(いるま・れすと)は廊下を駆け出した。
英語を話す男の声が聞こえる。
廊下の角の手前で、もう一度爆発音が聞こえた。今度は、さっきよりも近い。
「この先です、千歳!」
《殺気看破》で敵に気づいたイルマが、小声で千歳に話しかける。
「わかったわ!」
角に張り付き、廊下の向こうを覗く千歳。
もうもうと粉塵が舞う中に、全部で4人の兵士がいた。敵だ。
反対側の味方と戦闘中らしく、こちらに気づいた様子はない。
千歳は、イルマに目で合図する。
イルマは、【グレネードランチャー】に手榴弾を装填すると、一歩前に出た。
負傷した仲間を引きずっていた兵士の一人と目が合ったが、もう手遅れだ。
イルマは素早く発射姿勢を取り、撃った。
《シャープシューター》で狙いをつけた攻撃が、正確に敵の中心で爆発した。
三船と淋の目の前で、突然、爆風が巻き起こった。
粉塵と共に、曲がり角の向こうから、敵が吹き飛ばされて来た。
全身至る所から血を流し、うめき声を上げている。
皆、爆発のダメージで、立ち上がることもできないようだ。
2人が、さらに攻撃を加えるべきかどうか迷っていると、その内の一人が、ゆっくりと上体を起こした。
震える手に、手榴弾を握っている。
ピンは、既に抜かれていた。
「な、何を−−」
「伏せろ、淋!」
咄嗟に淋に覆いかぶさる三船。
爆発が収まった時、その場にいた兵士たちは、みな絶命していた。
「ちょっと、大丈夫!?」
曲がり角から、見覚えのある人物が現れた。
「あ、朝倉……?」
「それに、イルマさんも!」
「良かった。巻き込まれては、いないようね」
「ご無事で、何よりですわ」
2人の姿に、千歳とイルマはホッと息をついた。
「有難う。お陰で、助かった」
「それにしても、上手く敵の背後を取りましたね」
「いえ。一旦荷物を取りに本部に戻って帰って来たら、ちょうどお2人が戦っているのを見つけまして……」
「偶々(たまたま)よ、たまたま」
千歳は、照れ笑いを浮かべている。
「とにかく、本当に助かったよ。2人は、これからどうするつもりなんだ?」
「私たちは、この辺りを調べて回ろうかと思っていたのですが……」
イルマの言葉に、千歳が頷く。
「なら、目的は一緒だな。どうだ、一緒に行動しないか?」
「私からも、お願いします。幻影を使ってきたりして、だいぶ、戦い慣れしてる敵が出てきてるみたいなんです」
「もちろん、構わないわよ。私なんかは元々、戦闘は専門じゃないから、味方が増えた方が心強いわ。いいでしょ、イルマ?」
「はい。三船さん、淋さん。千歳共々、よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしく頼む」
「よろしくお願いします」
メイドらしく、慇懃に頭を下げるイルマに、三船と淋もつられて頭を下げる。
「これで、パーティー結成、ね」
千歳の笑顔に、3人も笑顔で応えた。
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