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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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リアクション

 部屋の露天風呂で寛ぐフレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)
「ふぅ、任務で温泉に入れるなんて幸せ〜。こうしていると里を思い出すわ」
 フレンディスは里を想い、空を見上げた。
「それに今晩は月がとても綺麗」
 見上げた視線の先にあった満月を見て、そう呟いた。
「水面にも映って……」
 そこでフレンディスは止まってしまった。
 フレンディスからオオカミの耳としっぽが生えてきてしまう。
「マスターのところに……行かなきゃ……」
 フレンディスは惚けたようすで温泉を出たのだった。


 部屋の中ではベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)がため息をついていた。
(邪魔者を躱して誘えたのは良かったが……どうやって進展すればいいんだ!?)
 とりあえずお茶でも入れようかと動いたその時、フレンディスが部屋に帰ってきた。
「お、おかえり。温泉良かったよな。今、お茶いれるんだがフレンディスも――」
 ベルクが後ろを向いた途端、後ろから抱き着いてくるフレンディス。
(ええ……!? ちょ……!? ええっ!?)
 突然の出来事に動揺するベルク。
「ねぇ、マスター?」
 フレンディスはベルクの前に回り、両腕をベルクの首の後ろに回す。
「ど、どうした!?」
(嬉しい……! いやいやいや! たしかに嬉しい状況ではあるが! 何かおかしいよな!?)
 ベルクは必至に平静を装って、フレンディスに尋ねる。
「もう……襲ってくれないなら、襲っちゃいますよ?」
 フレンディスはすねたように軽く頬を膨らませると、ベルクをそのまま押し倒した。
 そして……フレンディスからキス。
 すぐに顔を離すフレンディス。
 ベルクの視界に入ってきたのはそんなフレンディスのしどけない姿。
 押し倒した拍子に浴衣が乱れ、女性らしいふくらみの間が見える。
 さらには四つん這いになっているので、太もももちらりと見えてしまっている。
(何が起きてるか解らんが、願ってもないチャンスか?)
 一瞬そんな事を考えたベルクだが、すぐに頭を振る。
(違うだろっ! 正気じゃないのなら意味なんかない!! いや……しかし、これはこれで……)
 しばらく葛藤したのち、ベルクは自分の浴衣の帯を外した。
「うがーー!」
 ベルクはフレンディスを押し倒し返すと自分の帯でフレンディスを縛って、動けないようにしてしまった。
 そして、すみっこのほうに布団を敷くと、そこにフレンディスを置いて、自分は部屋の反対側で何も見ないように体育座りをして、耳もふさいでしまったのだった。


 次の日、正気に戻ったフレンディスをベルクが解いてやると、フレンディスは真っ赤になって脱兎のごとく逃げ出した。
 フレンディスを追いかけ、必死に説得するのに半日もようしたベルクの目のしたにはくまが出来ていたという。
(せっかくの温泉旅行だったのに……全然おいしくねーーーー! ……いや、ちょっとしかおいしくねーーー!)
 ベルクはそう心の中で叫んだのだった。