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オオカミさんにご用心

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オオカミさんにご用心
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リアクション

「ねーさま、先に湯船に浸かってるね」
「ええ」
 久世 沙幸(くぜ・さゆき)はまだ体を洗っている藍玉 美海(あいだま・みうみ)にそう声をかけると、温泉の中へと体を沈めた。
(こんなに素敵な旅館……来てよかった〜)
 沙幸は夜空に浮かぶ月を眺めてにこにこしている。
「わぁ〜♪ 温泉に浮かぶ月もすてき〜……ん?」
 温泉にうつった月を見ていたら、温泉に映った自分の姿も目に留まる。
「あれ? 耳が……?」
 何か違和感があり、後ろを振り向くとお尻からしっぽも生えてきている。
「ん〜……ま、いっか! それよりも……うふふ」
 沙幸は静かに温泉から出ると、床に四つん這いになった。
(今ならいつもの仕返しが出来る気がするよ)
 まだ体を洗っている美海を見て、にやりと笑う沙幸。
 四つん這いのままゆっくりと気づかれないように美海の背後から近づく。
(気付かない、気付かない♪)
「やっ♪」
 沙幸は美海の事を床に押し倒した。
 そこでやっと沙幸に気が付いた美海。
「ふふっ、いつも変なことばっかりしてくるから、そのお返しだよーだ。だから覚悟してお仕置きされてね。ねーさま」
 沙幸はまるでいたずらっ子のような笑顔だ。
「仕返し……ねぇ。あら? この耳としっぽは一体……?」
 こんな状態だが、冷静な美海は沙幸から生えている耳を触った。
「ふにゃ!? そ、そこはダメぇ……」
 ちょっと触られただけなのだが、沙幸はあまりの気持ちよさに腰が抜け、美海の上に倒れ込んでしまった。
「なるほどですわ」
 美海は楽しそうに笑うと、力の入らない沙幸を反対に床に抑え込んでしまった。
 さっきとは状態がまるで逆。
「お仕置きは嫌いではないですが、わたくしは攻める方が良いですわ」
 美海は床に転がっている、さっきまで自分が使っていた泡のついたスポンジを手に取った。
「ね、ねーさま!? ま、まさか……!?」
 何をされるのかなんとなく察した沙幸は慌てて立ち上がろうとするが、美海に耳を触られ、阻止されてしまう。
「夜はまだこれから……この月明かりの下でしっぽり愉しませて頂きますわ。先ずは……少々汚れてしまったその身体を綺麗に洗って差し上げますわ。その敏感な所を存分に刺激しながら……ですけどね。ふふっ、今夜は寝かせませんわよ?」
「いやぁ〜! だ、ダメなんだもん! 今日は私がお仕置き――ぅあん!」
 スポンジで胸の敏感な部分を撫でられ、声を漏らしてしまう沙幸。
「ここはどうかしら?」
 美海は手に泡をたくさんつけると、沙幸のしっぽの毛をとかすように手を動かす。
「ふぁ……! ねーさま……それ以上は……ダメ……なんだから……ね」
「あら、可愛い声……もっと聞きたくなりますわ」
「はうぅ……」
 その夜、この露天風呂から沙幸の甘い声が途絶える事はなかったという。