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続々・悪意の仮面

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続々・悪意の仮面
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第六幕 仮面のアイドル〜中編〜


凄まじい光の奔流が一瞬、街の奥から昇るのをレイカ・スオウ(れいか・すおう)は見かける。
一瞬、探している人達のものかと不安になったが、すぐにそれが違う物だと判明した。
何故なら、探している人達が目の前にいたからである。
傍らを走っていた茅野瀬 衿栖(ちのせ・えりす)が彼等に向かって呼びかける。

 「ハルさん!未散さん!」

そこには仮面をつけた若松 未散(わかまつ・みちる)と彼女と対峙している彼女のマネージャーハル・オールストローム(はる・おーるすとろーむ)がいた。

戦いの熱もかくやといった緊迫の中
衿栖の隣にいた茅野瀬 朱里(ちのせ・あかり)もハルと共に戦っている友人神崎 輝(かんざき・ひかる)シエル・セアーズ(しえる・せあーず)の姿を発見し
驚きの声をあげた。

 「輝とシエルもいるって事は……危ないっ!」
 「もう遅いのです〜!」

朱里の言葉が終わらないうちに頭上から声と共に新たな砲撃がレイカ達の所に繰り出される!

 「【機晶キャノン】!やっぱり瑞樹だね!」
 「ボクもいるにゃ〜♪」

砲撃を【ブレイドガード】で防御しつつ、回避した朱里が着地した砲撃の主、一瀬 瑞樹(いちのせ・みずき)の名を呼ぶ。
瑞樹の傍に続けて降り立った神崎 瑠奈(かんざき・るな)も自分の存在をPRした。

 「未散さん…また仮面をつけられてしまったのですね」
 「申し訳ありません衿栖くん。気がついた時にはもう未散くんは……」
 「で、彼女達は一体何を?」

衿栖に謝るハルにレイカが尋ねる。
欲望のままに動く連中が揃うと言う事は共通の目的があるはず、それを知りたい彼女に輝が声をかけた。

 「闇討ちです!
  はじめは846プロ以外のアイドルを中心に襲っていたらしいのですが、今は見境無しみたいです」
 「それに瑠奈ちゃん…襲った人を仲間にしてるみたいなんだよ」

輝の説明にシエルが補足を入れる。よく見ると周りを見知らぬ仮面姿の女の子に囲まれているようだ。
彼女等を一瞥しながらハルが注意を促した。

 「気をつけてください!瑠奈くんは複製の仮面で人を仲間にできます!」
 「まるで戦闘員ですね……瑠奈さん、賑やかなの好きだから」

衿栖の困惑の呟きに呼応して一斉に仮面少女が踊り出た!

 「どいて衿栖!一気に掃除掃除!!」

衿栖の前に躍り出た朱里の【アイアナレーション】が仮面少女達に炸裂する!
数が多いとはいえ、強い戦闘能力も持たず操られている彼女達を戦闘不能にはそれで十分だった。

 「衿栖ちゃんは未散ちゃんを!私は瑞樹ちゃんの相手をします!」
 「射撃タイプ同士ってわけ?なら朱里も援護する!」

【空飛ぶ箒ミラン】で瑞樹の方に向かったレイカを追う朱里。それを確認しながら衿栖はハルと未散の方に向かう!
輝とシエルも瑠奈の仮面の破壊を開始した!

 「にゃははは〜思いっきりやってやるにゃ〜♪」
 「私も瑠奈ちゃん達を止めに行くよ!」

楽しそうに瑠奈の繰り出す【ミラージュ】の幻影をシエルの【サンダーブラスト】が一蹴する!
その迎撃の爆煙を越えて、輝の【面打ち】が瑠奈の仮面に届くかに見えた………が!?

 「……悪いなァ、瑠奈ちゃんには手ェ出さんでくれるけ?」
 「え?きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

不意の死角からの弾幕に被弾し、輝がシエルの足元まで転がった。
それを見て仮面越しに瑠奈の楽しそうな声が響く。

 「ふふふ。パートナーの手の内なんてお見通しだって」
 「……そこで、頼もしい仲間の登場なんですわ♪よしなに〜」

続いた言葉と共に銃撃のした方から由乃 カノコ(ゆの・かのこ)『仮想現実』 エフ(かそうげんじつ・えふ)が現れる。
そんな中、彼女達の仮面と在り様にシエルは驚き言葉を投げた。

 「そんな、あなたのは複製仮面……なのになんでそんな意志を!?」
 「ちっちっち。もちろん、ガンガン頭に瑠奈ちゃんの命令は響いとるよ?要は従い方やろ?」

思わぬ流れに場が止まる
静寂の中、どこからともなくオカリナの音が聞こえる中、。飄々とカノコの解答が響き渡った。

複製仮面とはいえ保有者の行動と強さはその欲望と因縁に左右される。
何も知らない連中なら命令に従うだけだが
れっきとした行動要因がある限り意志が奪われる事が無い、つまり……。

 「命令されるのが好きなんだね!?」
 「なんでやねん!!……まぁ、ちょびぃっとだけ間違っちゃおらんけどな」

実は彼女、七瀬歩の召集を受けて集まった百合園学園の潜入組だったのである。
だが、元々田舎者気質でつい誰より先に潜入して作戦まで学園を満喫しようとしたところ
仮面姿の846プロのアイドル(つまり瑠奈)に出くわし、ミーハー気分で呼び止めたところ……。

 「……襲撃され、仮面をつけられた……と?」
 「く…オトメ心の隙を巧妙につかれてしもうたわ」
 「ミイラ取りがミイラ取りになっただけ…」
 「オトメゆうとろーが!!」

随分と濃いキャラについシエルと賑やかに応酬してはいるが、新戦力である以上流れは変わる。
未散達それぞれに二人係で応戦している状態なのだ

……均衡は劣勢に変わり、レイカ達は眉を寄せる。
緊張感が自然高まる…静かな場に一層オカリナの音が響く。

 「ごめんね〜。でもこの気持ちは止まらないから…まずはみんなにも仮面を…って
  ああもう、さっきから何なの!?このオカリナの音!!」

瑠奈の言葉にようやく全員、場と関係ない音色に気がつく。
街ならオカリナ程度、どこかしらの喧騒でもおかしくは無い
…が、音色はとても近くから流れ、近づいている?

不意にオカリナの音色が止み、そして……

 「女の子が闇討ちとは…関心しないな」

声と共に姿を現したのは銀星 七緒(ぎんせい・ななお)が姿を現した。
共にいるのはシグルーン・メタファム(しぐるーん・めたふぁむ)そしてルクシィ・ブライトネス(るくしぃ・ぶらいとねす)

 「通りすがりの…退魔師だ、途中これを見つけてな。壊したはいいが、他にないか探していたんだ。
  悪意の仮面…悪いが破壊させてもらう」

仮面の欠片をかざし、七緒が参戦を宣言した。
それに続くように、今度は頭上から別の男の声が聞こえる。

 「そして!仮面の評判を貶めるのはこの俺が許しません!」

見上げるとマントをはためかせながら佇む仮面の男が一人

 「また新たな仮面の被害者が…!?」
 「違います!!お茶の間の正義の仮面ヒーローです!!」
 「……すまない、勝手についてきたんだ」

レイカの大真面目な認識に突っ込みを入れる彼の名はクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)
ここにいる理由は続けて出た七緒の言葉の通りである。
一応仮面を被る物として仮面に対しての誇りはあるらしく、マントをはためかせ高らかに叫んでいる。

 「私の耳に助けを求める女の子の声が届きました!
  聞こえたからにはお茶の間のヒーローの出番です!俺も一緒に闘いましょう!」
 「……おっかしいな〜。カノコも目立つように出てみたんだけどな〜。
  なんか随分濃いキャラ増えたんと違う?」
 「キャハハハハハ」
 「そこ笑うとこと違うわ!!」

クロセルの宣言、カノコとエフのやり取りに場が一転して賑やかになる。
そして劣勢だった場が瞬く間に一転して逆となる。

 「俺は猫娘を!シグルーンは同じ機晶姫で頼む!ルクシィ!」
 「はい!私はナオ君の援護を致しますわ」

七緒達が行動を開始し、輝達の援護に周り、再び戦闘が再開される。

 「なんだよこれ。やってられるか!」
 「!?お待ちくださいませ!未散く……?」

戦線を離脱した未散を呼び止めようとしてハルの言葉が途中で止まる。
何故なら彼女の後を追いかける二つの新たな人影を発見したからだ。

 「彼女達は……!」
 「あ、待ってください!ハルさん!!」

人影に覚えがあるハルが急いで未散の後を追う、続けて衿栖も走り出した。