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夏初月のダイヤモンド

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夏初月のダイヤモンド

リアクション

 強盗団の一人一人の過去を説明せずとも、皆似たり寄ったりだったから一人話せば十分かと思うので、一人分の人生をかるーくなぞっておこう。

 空に現れた新たなフロンティアに、世界中の人間達が沸き立っていた頃。
 後に強盗団のメンバーとなるAさんも、毎日がわくわくどきどきの連続でした。
 何時自分の前に謎の浮遊大陸パラミタの住人が姿を現わすだろうと、色々妄想していたので彼の何時も胸は期待で一杯だったのです。
「ほんわか天然系、お姉様系もいいな。いや、ベタにツンデレ系なんてどうだろう」
 妄想の中で彼女達のサポートを得ながら、颯爽と闘う自分の姿が再生されます。
「ウェヒヒッw俺かっけぇwwwwwwwwww」

 やがて、そんな彼の前に待ちに待っていた日が遂に訪れました。

 彼の目の前にパラミタの住人が現れたのです。
 淡い光に包まれたその姿は、地球人とは明らかに違っています。

 そして妄想とも違っていました。

 美少女のタイプの違いどころか、現れた相手は美少女ですらなく、オッサンだったのです。

 それも種族はオッサンには珍しい剣の花嫁達でした。
 こうしてパラミタへ移り住む事となった彼等ですが、戦いの度に毎回オッサンから剣を抜くという拷問。
 トラブルが起きればオッサンと手と手をとりあって逃げるという空しさに、彼等の心が闇に落ちて行くのには短い日々だけで十分でした。

「俺だって! 俺だって女の子とパートナーになりたかった!」
「オッサンじゃなくて女の子から武器抜いてみたかったよ!」
「戦いの後にかっこいい! 大好き! って抱きつかれてもオッサンじゃうれしくねえんだよおおおお」



 その場にいる誰もが、強盗団に同情しかけていた。
 余りの哀れさに許してやろうと考え始めていた。
 しかし話しはそこで終わらなかったのだ。
「だからせめて女の子の裸くらい見てえんだよ!!!!!!!」

 強盗達の魂の叫びの攻撃は光となり、女性達を包んで行く。

「きゃあああああああああああああ」

 女達の服が破れ、
 男たちは拳を上げた。


 完。






















 ボロボロに破れた下着を身に付けながら、女達は強盗団達を睨みつけている。
「完ですって……? 終わらせないわよ!!」
 雅羅は隣に居る美緒に向かって腕を伸ばす。
「許せませんわ」
 美緒もアリサの腰に腕を巻き付けた。
「ボコボコにしてやる」
 アリサは隣の女性に、その女性はまた隣の女性に。
 こうしてスクラムが組み上がると、女たちは一斉に吠えた。
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
 吹き飛ばされた場所からひと固まりの強盗団に向かって女体スクラムが向かって行く。
「うぁぁやべえよ」「やっ殺られる!!」「もう駄目だああああ!!」
 強盗団は女達の放つ真っ白な程純粋な威圧感に押されて、もはや1ミリも身体を動かす事が出来ない。
 そんな男達と女達の間は2メートル程に縮まっている。
「うおおおおおおおおおおおお」
 女達が男達を塵へと返そうとした瞬間だった。
「皆だめえええええええええ」
 女達と男達の前にジゼルが割って入ったのだ。
 ジゼルを守る為にそこへきていた美羽が止めようとするのも、もう間に合わない。

 ジゼルは女たちの突進に吹き飛ばされた。