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なし

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めざめた!

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めざめた!

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    ★    ★    ★
 
「上等なメイド服が余った……」
「どうするのー?」
 唐突に言いだしたユーリ・ユリン(ゆーり・ゆりん)に、フユ・スコリア(ふゆ・すこりあ)が聞き返した。
「うーん、うーん、そうだ、メイド服による女装を布教しよう! これぞ、ボーイズメイドの本領!
 何かを思いついて目覚めたらしいユーリ・ユリンが叫んだ。
「それっていいかも。ついでにその子を石化して……。ぐふふふふふ……」
 なんだかよからぬ妄想に目覚めて、フユ・スコリアがほくそ笑んだ。
「でも、いきなり知らない人を女装させたら、空京警察に捕まっちゃうかも……」
「だったら、先輩の所に行こう。レッツゴー
 ということで、ユーリ・ユリンとフユ・スコリアの二人は、松本 恵(まつもと・めぐむ)の所に押しかけていった。
ボーイズメイド参上!」
「どうしたんだもん、ユーリ。いきなり遊びに来て……。ああっ、ちょ、ちょっと、いったい何を……」
 有無をも言わさず脱がされ始めて、松本恵が狼狽した。
「さあ、恥ずかしかったら、これを着るんだよ」
 そう言って、ユーリ・ユリンが、自分の上等なメイド服を松本恵に突きつけた。
「着ないと石化だもん」
 フユ・スコリアが脅す。
「そんなこと言ったって、サイズが合わないよね」
 ユーリ・ユリン用のメイド服では、松本恵にとってはちょっと小さい。
「じゃあ、石化だよ」
 なんだか、無理矢理にフユ・スコリアが言う。その手には、すでにさざれ石の短刀が握られていた。
「わー、僕が着られるのなら、これがあるから、これー」
 そう言って、松本恵が男の娘むけ魔法少女コスチュームを差し出した。
「なんだ、あるんじゃないかあ。もっと早く出してくれればよかったのに。そおれえっと、ちょちょいっとね。さあ、これでどうだあー!」
 有無をも言わさず、ユーリ・ユリンがフユ・スコリアと共に、松本恵を魔法少女コスチュームに着替えさせていった。
 思いっきりピンクな、魔法少女ガーディアン☆めぐむの完成である。
ボーイズメイドの大勝利ーv
 ユーリ・ユリンとフユ・スコリアが、しくしくしている松本恵の前でバンザイをする。
や、やばい……、ちょっとかわいいかも。よおし、これから空京大通りに行って、男の娘の布教だあ。いくよー」
 そう叫ぶと、ユーリ・ユリンは無理矢理松本恵の手をとって、空京のメインストリートへと飛び出していった。
 
    ★    ★    ★
 
「じなぽーん、炒飯おかわり〜。今回もネギ増し増しで」
「はいはい、おかわりでやがりますね」
 新谷 衛(しんたに・まもる)に茶碗を出されて、ジーナ・フロイライン(じいな・ふろいらいん)がわざとらしく嫌そうにおかわりを盛った。それをほとんど吸い込むようにして新谷衛がたいらげてしまう。
「じなぽーん、炒飯おかわり〜」
「ええい、どんだけ早く食いやがるですか!」
 せっかくかわいらしいメイド服姿だというのに、これでは食堂のおばちゃんと何ら変わりがない。
「そういえば、前に作ってもらったアレ、アレってなんだっけ?」
「桃饅頭ですか?」
「あ、そーそー、桃饅頭。アレ、甘くて一個食べただけでずいぶん腹持ちがいいのな! おかげで午後の訓練乗り切れたぜ、ありがとな〜」
「ふっ、ふふん。別に、アンタにだけ食べさせるために作ったのではないのです。あくまでも、樹様のついでなのですから」
 なんだか嬉しいような怒ったような、複雑な表情でジーナ・フロイラインが言い返した。
「にひひ〜。ついでと言いながらも量や中身をいっちーのと微妙に変えてるの、オレ知ってるし〜」
「な、何を……。いい気になりやがるな! ……なのです」
 真っ赤になったジーナ・フロイラインが、いきなりフライパンで新谷衛をひっぱたいて叫んだ。
「痛って〜!! じなぽん、デレるのは嬉しいけど実力行使はやめて……」
「誰がデレましたですか、誰が!」
 バンバンと連続で新谷衛をひっぱたきながら、ジーナ・フロイラインが叫んだ。
「まったく。フライパンが曲がってしまったです」
 フライパンが壊れるまでひっぱたいて少しは気がすんだのか、ジーナ・フロイラインが携帯を取りだして林田 樹(はやしだ・いつき)に電話をかけた。
「ああ、樹様ですか。買ってきてほしい物があるんですが。新しいフライパンお願いできます? あっ、そ、それとですね……。ど、どんぶりも、お願いできますでしょうか。えっ、なんに使うかですって?」
「あっ、もしかして俺の? じなぽんありが……、うぼあ」
 言葉の途中でフライパンを投げつけられて、新谷衛が後ろにのけぞった。
「なんでもありません! 気にしないでください。とにかくお願いいたします!」