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リアクション
★ ★ ★
『新たなる力! ベアド・ハーティオン登場!の巻』
「よいしょっと」
視界いっぱいに広げられた看板を、梯子を使って夢宮 未来(ゆめみや・みらい)が外して持ち去っていく。
見あげると、青空の彼方に巨大な隕石が見えた。
「これは……、どこかの野良召喚士が呼び出したメテオスウォームか。映画版(グランドシナリオ)専用をTVシリーズで使用するとは、なんという非常識な……。見捨ててはおけん。おや、あれは……」
空を見あげたコア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)は、自分よりも先に巨大な隕石にむかって行く怪物体を見つけた。
その姿は、無数の触手を持った球体だ。中央部には、瞳のような部分があり、巨大な眼球のようにも見える。
その瞳の部分がくるりと回転して、一瞬地上を見た。そこに、看板を持ったままの夢宮未来の姿が映る。
『アレ オチル……。オオクノ イノチ キエル……。ワガハイノ ムスメモ キエル……。ソレ ユルサナイ……。オオオオオ……』
聞きとりにくい振動音のような言葉を発すると、星怪球バグベアードが瞳を開いて謎の怪光線を放った。
「あれではダメだ……」
意外としょぼい攻撃に、コア・ハーティオンがフレイムブースターを装着して空に飛びあがった。
「及ばずながら、私も力を貸そう! バーニングドラゴン!」
そう言うと、コア・ハーティオンが炎を纏って流星に体当たりした。たが、その程度では、隕石を破壊するどころか減速することすらできない。
『コノ者ハ……。ソウカ……。我ガ力、ソナタニ タクソウ……。勇者ヨ……』
そう声がしたかと思うと、星怪球バグベアードから何か小さい物が吐き出されて、地上へと落ちていった。
星怪球バグベアードが写真を撮るかのようにフラッシュをコア・ハーティオンに浴びせた。一瞬の後に星怪球バグベアードが変形を始める。
「これは……。分かったぞ。ならば、共に行こう、星怪球バグベアードよ」
自分そっくりの姿に変わっていった星怪球バグベアードを見て、コア・ハーティオンが叫んだ。
『星心招来!』
コア・ハーティオンの叫びと共に、星心合体ベアド・ハーティオンの胸のクリスタルが開いた。
『行くぞ! 星心合体! ベアド・ハーティオン!』
隕石から飛び退いたコア・ハーティオンが、星心合体ベアド・ハーティオンの胸に吸い込まれていった。入れ替わるようにして、星心合体ベアド・ハーティオンが隕石を押し止める。隕石の落下速度が大幅に減速した。
クリスタルの中で固定されたコア・ハーティオンの胸に、アームの先についた星怪球 バグベアード(せいかいきゅう・ばぐべあーど)が下りてきた。
「テキゴウカクニン……。シナプス、セツゾク……」
星怪球バグベアードの本体からのびた触手が、コア・ハーティオンの身体にくっついていった。
「コントロール ジョウト……」
その瞬間、コア・ハーティオンの視界が星心合体ベアド・ハーティオンの視界と一体化する。腕を動かそうとすると、星心合体ベアド・ハーティオンの腕が動いた。
『星の心を身に纏い、愛に応えてここに推参!!』
隕石を押し戻して、星心合体ベアド・ハーティオンがポーズをとった。
『輝け! 心の力よ! コスモハート・ブラスター!!』
星心合体ベアド・ハーティオンの全エネルギーを集約したレーザーが放たれた。
その威力に、一撃で隕石が消滅する。
全てを終えて星心合体ベアド・ハーティオンが地上に降りてくると、ちっちゃな女の子が駆け寄ってきた。
「分心!」
コア・ハーティオンが、星心合体ベアド・ハーティオンから下りて地上に降り立つ。
「あの……、ありがとうございました! 誰か知らない中ぐらいの人! あたし、夢宮未来と言います!」
「オイ、ミライ……」
突然、夢宮未来の肩先から甲高い声がした。
「あっ、あのおっきい人がお父さんなんですが、本当のお父さんは小さい人で、ここにいます」
夢宮未来が、ちょこんと肩の上に載っている黒い目玉のようなポータラカ人を指して言った。どうやら、星怪球バグベアードと身体のデザインを合わせている――あるいは逆なのか――わけが分からないが、とにかくそういう姿をしている夢宮 ベアード(ゆめみや・べあーど)がお父さんなのだった。
「あ、あの……、お名前教えてもらっていいですか?」
夢宮未来が、コア・ハーティオンに訊ねた。
「名乗るほどの者では……、いや、私の名はコア・ハーティオン。蒼空戦士ハーティオン!」
そのまま立ち去ろうとしたコア・ハーティオンであったが、思いなおして名を名乗った。
「ハーティオンさんですね! お父さんと一緒に戦ってくれて、本当にありがとうございました! この御恩はなんとしてもお返しさせてください!」
「ハーティオン……。貴公ト トモニ ワガハイモ イク……。ソレ サダメ……」
夢宮親子にそう言われて、コア・ハーティオンは彼女たちとの契約に目覚めることとなる。というところで、夢宮未来が何やら書かれた小さなプラカードをこっそりと掲げた。
『つづく!』
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