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リアクション
★ ★ ★
「それにしても、耀助ったら相変わらずですね」
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)くんが、隣を進む龍杜 那由他(たつもり・なゆた)さんに、軽く肩をすくめて見せました。
みんながどんどんペアを決めている場所で、龍杜那由他さんがポツンとしていたので仁科 耀助(にしな・ようすけ)くんはどうしたのか訊ねてみたところ、帰ってきた言葉は「ナンパじゃないの」という物でした。まあ、仁科耀助くんとしてはいつものことですが、ひとりぼっちにしている龍杜那由他さんも気になります。
ということで、世間話をする口実でペアを組んだというわけでした。
「でも、あまり人のことを根掘り葉掘り聞くもんじゃないと思うわよ。だいたい、なんであたしと耀助のことなんか知りたがるのよ」
「好奇心に理由がいりますか?」
「好奇心は、身を滅ぼすとも言うわよ。もし、知ることが、滅びの言葉だとしたらどうするつもりよ」
「そうですね、教えてもらうのと、無理矢理聞きだすのとでは、言葉の意味も違ってくるとは思いませんか。で、那由他の言葉はどっちなんですか?」
「それを聞きたい?」
龍杜那由他さんが口を開きかけたときです。
「コノ、ばかっぷるドモメガ!」
現れました、夢宮ベアードくんです。前回失敗しましたので、今回は気合いが入っています。高笑いをあげながら、ミラージュで分裂して迫ってきます。
「誰が、カップルよ!!」
龍杜那由他さんが激怒しました。普段、パートナーの仁科耀助の女癖に困らされているため、こういう呼び方には敏感です。
「えっ、そこ怒るところなんですか……?」
何か理不尽な扱いを感じて、紫月唯斗くんがつぶやきました。
「稲妻の札!!」
問答無用で、龍杜那由他さんが呪符を飛ばしました。激しい雷光が降り注いで森の木を焼きます。
「コ、コレハ……。カエッテ、チャワンデ、オフロニ、ハイロウカナ……」
夢宮ベアードくん、あわてて逃げだします。
「待てー!!」
けれども、龍杜那由他さんは止まりません。いったん暴れだしたら終わりです。このままでは、甚大な自然破壊になります。
「ちょ、那由他、落ち着け……あいったあ……」
あわてて追いかけようとした紫月唯斗くんでしたが、いきなり足を掴まれて派手に転んでしまいました。
「ふふふふふ、怖かろう……」
隠形の術で地中に隠れていた忍者超人 オクトパスマン(にんじゃちょうじん・おくとぱすまん)くんでした。
「いや、あれが見えないのか!? このままじゃ森が……。悪いが、通らせてもらう」
闇洞術『玄武』で忍者超人オクトパスマンくんを引き剥がすと、紫月唯斗くんは龍杜那由他さんを追いかけていきました。
ほどなくして、勢い森から飛び出していった龍杜那由他さんに追いつきます。どうやら、夢宮ベアードくんを見失ったようです。森は救われました。
なんとか元の場所に戻った夢宮ベアードくんでしたが、忍者超人オクトパスマンくんが結界で痺れているそばで、ラブ・リトル(らぶ・りとる)さんにつかまってしまいました。
「まったく、情けない使い魔たちだわね!」
「誰が使い魔だ!」
「ダレガツカイマデアル!」
ラブ・リトルさんの言葉に、忍者超人オクトパスマンくんと夢宮ベアードくんが声を揃えて反論しますが、ラブ・リトルさんはガン無視です。
「情けないわねえ。お手本を見せてあげるからついてきなさい」
そう言うと、ラブ・リトルさんは夢宮ベアードくんをつまんで持っていってしまいました。
一方、夢宮ベアードくんを見失ってしまった龍杜那由他さんは、波打ち際でゼイゼイと荒い息を整えていました。
「まったく、見境なくなるんですね。これじゃ、袴が濡れてしまいますよ」
そう言うと、紫月唯斗くんが龍杜那由他さんをおんぶしました。いや、そんな色っぽいものではありません、これ以上暴れられないためです。
「さあ、とっとと行きますよ」
紫月唯斗くんが、たたたたっと波打ち際を走って行きました。
「ふふふふ、今度こそは、罠にかけてやるぜ」
冷たい海の中に突っ立ったままのアキラ・セイルーンくんが、今度こそと気合いを入れます。
「そこの方、私は全然怪しくない道案内の……こらあ、人の話を聞け!!」
無視して行こうとする紫月唯斗くんを、アキラ・セイルーンくんがジャブジャブと追いかけます。
「何か言ってるよ?」
「俺には何も見えません。気のせいですよ」
またお化け役に攻撃されてはたまらないと、紫月唯斗くんが幻のふりをしました。
「待てー!」
「ふっ、ついてこれるか?」
波打ち際と海中では、さすがにスピードが違います。龍杜那由他さんをおんぶしたまま、紫月唯斗くんは一気に洞窟に入って祠まで脇目もふらずに進んで行きました。
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