First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last
リアクション
★ ★ ★
「こ、怖くないのです。わたくしだって、肝試しぐらい、ちゃんとできるのですわ」
網に入れたスイカを提げ持ったまま、イコナ・ユア・クックブックさんが、ちょっとおっかなびっくりに言いました。
「なあに、俺様がいればお化けなんて怖くもなんともないぜ。全部任しとけって。さあ、行くぜ、ねっけーつ!」
「ねっけーつ! ああ、少し元気が出ましたわあ」
アッシュ・グロックくんと一緒に腕を高く突きあげて叫んで、イコナ・ユア・クックブックさんがちょっと元気になりました。
「来た来た。えーい」
木の上で待ち構えていた秋月葵さんが、イコナ・ユア・クックブックさんにむかってコンニャクを投げつけました。
「むっ、そこかあ!」
すかさず、アッシュ・グロックくんが火術でコンニャクを撃墜します。こんがりと、コンニャクがいい色に焼けました。ここは、味噌がほしいところです。
「はっはっはっ。コンニャクなどいくつでも飛んでこい。なんなら、あっつい、ふろふき大根でもいいぞ!」
いや、それは結構危険だと思います。
「むかつく〜。だったら、こうだよね!」
隙を見て、秋月葵さんがアッシュ・グロックくんにその身を蝕む妄執を仕掛けました。
「さあ、先に……えっ!? うわあああ!!」
振り返ったアッシュ・グロックくんの目の前で、イコナ・ユア・クックブックさんが持っているスイカが爆発しました。あっけなく、イコナ・ユア・クックブックさんの上半身がなくなります。もちろん、本物のイコナ・ユア・クックブックさんは無傷ですが、アッシュ・グロックくんの目にはそう映ったので、あわててその場から逃げだしました。
「どうしたの、待ってー」
急いで、イコナ・ユア・クックブックさんがその後を追いかけます。当然、悪夢継続中のアッシュ・グロックくんはたまったものではありません。そのまま、全速力で森を駆け抜けていきました。
「くそう、やられたあ!」
走り疲れて砂浜で大の字に倒れたアッシュ・グロックくんが、悔しそうに叫びました。
そんなアッシュ・グロックくんの目の前にスイカがゆらゆらと現れます。
「大丈夫ですか?」
「も、もちろんだぜ」
イコナ・ユア・クックブックさんを下から見あげると、アッシュ・グロックくんが強気で答えました。
気をとりなおして、洞窟にむかいます。
祠に辿り着くと、鬼龍貴仁くんが出迎えてくれました。
「お疲れ様、お茶をどうぞ」
「わーい、暖まりますわ」
素直に、イコナ・ユア・クックブックさんが、冷えた身体をお茶で温めます。その後で、持っていたスイカを祠にお供えしました。
「それじゃあ、帰るか」
ほっとしたように、アッシュ・グロックくんが言いました。
「あの、ちょっと……」
鬼龍貴仁くんが声をかけます。またもや、その身を蝕む妄執が発動です。
「まだ、何か……うわおわっ!?」
振り返ったアッシュ・グロックくんの目の前でまた幻のスイカが爆発しました。
First Previous |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
Next Last