天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

夏のグループシナリオ!

リアクション公開中!

夏のグループシナリオ!

リアクション


トコナッツ島水着コンテスト【5】


「雷霆リナリエッタ……やるじゃないか。あれだけ会場を沸かせるパフォーマンスをされては、俺も負けられないな」
 コンテストの舞台裏で樹月 刀真(きづき・とうま)は不敵に微笑む。
 漢の肉体美ではラルクに軍配が上がるが、細くしなやかに鍛えられた刀真の身体もなかなかのもの。この肉体の美しさを披露するため、自分の身体に合うように薔薇の学舎水着を用意してきた、のだが……。
「……ない。ない、ない、ないないない……なーい!」
「どうしたの、大きい声だして」
 黒と灰色のストライプビキニの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)が怪訝な顔を浮かべた。
「俺の水着がないんだ!」
「え、ほんとに? よく捜したの? どんな水着?」
「ほら、あれだよ。薔薇の学舎の……」
「……もしかして、あれの事?」
「ああ!!」
 月夜の指先を辿っていくと、薔薇の学舎水着を着た玉藻 前(たまもの・まえ)がステージにいるのが見えた。
『……と言うわけで、飛び入り参加の玉藻さんでーす!』
「うむ。リナリエッタと言ったか、先ほどの煽り感心したぞ。我も思わず水着になって飛び出してしまったほどだ」
『あーら、嬉しいこと言ってくれるわね。でも貴方、その水着ちょっと大胆過ぎるんじゃない?』
 玉藻は男物のビキニパンツに上半身は裸、大きな彼女の胸を隠すように左右にまとめた髪が垂れている。
『貴方、まさかリア充じゃないでしょうね……?』
 リア充へのひがみ根性の凄まじいリナは、ぴくぴくと瞼を痙攣させている。
「ああ、これか。刀真の水着を借りようと思ったのだが胸当てがなくてな。月夜の予備を借りたのだが、小さすぎて入りきらなかったのだ」
 そのエロ過ぎる姿に会場から歓声が上がった。
 男物のパンツと言うだけでそそるものがあるのに、胸が丸出しとあってはもう辛抱たまらない。
「玉ちゃん、凄い格好……。と言うか、小さすぎて入りきらないって……しくしく……」
「うわー、俺の水着どうしよう!」
 刀真は頭を抱えていると、そこに様子を見に天音がやってきた。
「ふぅん、水着がない、とそれは困ったね」
「黒崎! そうなんだ、玉藻が勝手なことして……」
「水着だったらホテルに行けば……ああ、もうそんな時間もないか……だったら、これ、使うかい?」
「なんだかわからないが是非貸してくれ!」
 天音が渡したのは先ほど拾った法螺貝だった。
「……って、法螺貝!? どうすんだよ、コレ! どう着用するもんなん……げっ、スタッフが呼びにきた!」
 刀真はもうわけがわからなくなり、貝の穴の部分に股間の棍棒を突っ込んだ。
「!?」
「思ったより外れないな。これなら動いても大丈夫……ん、どうしたんだ黒崎、黙りこくっちゃって?」
「……いや、たぶん気のせいだ。なんでもないよ」
 棍棒を貝に突っ込む一瞬、貝の内側から赤い鋏が覗いていた気がした。

『……大人の魅力をバッチリ見せ付けたステンノーラさんに続き、樹月刀真さんの登場でーす!』
「え、ええい……ままよっ!」
 ステージに飛び出すと同時に、観衆の視線は股間に雄々しくへばりつく法螺貝に向けられた。
 既にアピールを終えた参加者に混じり、玉藻もまじまじとそれを見つめた。
「……刀真よ。それでは法螺貝ではなく、ホラ(嘘)貝ではないのか? 我の見立てによると少々……のう?」
「も、元はと言えば、お前が勝手に人の水着を着ていくから……」
 抗議する刀真だったが、男の悲しい性か、視線は彼女のあられもない胸元に吸い込まれてしまう。
「……うっ!」
 法螺貝がピクピクと小刻みに震えた。
(お、おさまれ俺の股間! ここをどこだと思ってるんだ! 公衆の面前ですよ!?)
「た、大変! このままだと法螺貝がパージしちゃう!」
 月夜は慌ててステージに上がり、刀真に必殺の拳を打ち込む。
「万勇拳奥義『反転違認拳』!!」
「うおおおおっ!!」
 反転違認拳とは。技を受けた者の認識を反転させてしまうと言う万勇拳に伝わる奥義のひとつである。すなわち、技を受けた刀真は性的嗜好が女性から、男性へと反転されてしまったのだ。
「これでもう玉ちゃんで変な反応はしないはず……!」
「……うっ!」
 ところが、今度はラルクの肉体美に反応。彼の棍棒はみるみる鬼棍棒へと進化を遂げていった。
「お、俺!?」
「ああ……、な、なんて発達した胸筋なんだろうか……。はう……」
「だ、ダメだよ、刀真! こんなところでパージしたら、一生心の傷になるよっ!」
「すまない月夜。もう限界だ。先にイク……」
 とその時だった。シャキンと嫌な音が法螺貝からした。そして次の瞬間、大量の鮮血が股間から噴き上がった。
「ぎゃーーーーっ!!!」
「と、刀真! あわわわわわわ!!」
 ポトリと落ちた法螺貝から、ヤドカリが顔を出す。
「あ、う……ああ、うう……」
「し、しまった! 早く刀真の棍棒を隠さないとシナリオがR18になっちゃう!」
「その心配は無さそうだぞ、月夜。ほれ、よく見てみろ」
 玉藻の指出す刀真の股間は、噴き上がる血がモザイク代わりとなって何が何だかわからない。
 まさに奇跡……!
『……いやー、まさかステージ上で○ンコをちょっきんするなんて、気合いが違うわね、刀真さん』
 リナは感心したように、かつちょろっと見えないかなと期待しつつ、彼の股間を見ている。
『大事なイケメン○ンコが軽傷である事を願うばかりだけど、審査員の方は今のパフォーマンスはどう見たかしら?』
「法螺貝を水着にする発想の勝利ね。80年代アイドルを彷彿とさせる着こなしは今だからこそ逆に新しいわ。しかも法螺貝と思わせてからのヤドカリ、遊び心を忘れない素敵なファッションね。こういうの好きよ」
 道満は絶賛。
「こんな僻地のコンテストのために自らのそれを断つ気概、精神科医として非常に興味深い。何が君をそこまで駆り立てるのか。君の熱意に賛辞を送りたい」
 ドクター梅も絶賛だ。
「審査員に性別を超越してる人間がいることを考慮して自ら性別を超越してみせたってことか。きちんと審査員のことを考えてる証拠だな。相手に合わせるその戦略性の高さ、尊敬するぜ」
 シャウラからも賞賛の言葉が飛び出した。
『お、刀真さんは高評価みたいね。てか、ここまでして評価されなかったら泣けるわ』