天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

MNA社、警備システム開発会社からの依頼

リアクション公開中!

MNA社、警備システム開発会社からの依頼

リアクション

「C地点にこれだけの人数が来るとは、意外ね」
「それだけ防衛のしがいがあるでござるよ」
「周りの状況は? まったくフォローに入ってないけどいいのかしら」
「現状、最前線で戦ってる有人機、これが奮戦して契約者を四人ほど止めているでござる。
 そしてそれがしたちの前で戦闘を繰り広げている無人機もいい動きをしているでござるからな、故にここで機会を伺うべきかと」
「そうね。……これだけ開けた地ならば最終的には強行するほかなくなる。それを止める最後の砦となる」
「それにあまり速くに終わらせたくはないのでござろう?」
「契約者よりも力ある兵器がある。それだけでも私には貴重な情報よ」
 彩羽と話すのはパートナーであるスベシア・エリシクス(すべしあ・えりしくす)である。
「……やっぱり、動いたわね。待っていて正解だったわ」
「人一人を隠すなら容易いでござろうからな」
 二人が確認した姿とは、【フロイデ】から身を乗り出し、フラッグに向かってくるハイラルの姿だった。
「それじゃタネ明かしと行きましょうか?」
「驚く顔が見ものでござるな」
 ハイラルがフラッグの目の前まで迫り、叫ぶ。
「これで終わりだ!」
『残念ながら、そうはいかないわ』
 ハイラルの動きを読んでいた彩羽が立ちはだかる。偵察型、2人乗りの際に使用が可能となるショットガンを装備して。
「なにっ!? 伏兵かよ!」
『ここは通さないわよ?』
「見たところ、偵察型のようだが、生身の俺だけで強行できそうにねぇか!」
『なら潔く引いてくれるのかしら?』
「ああ、引いてやるさ。こいつを残してな!」
 先ほどの爆弾のあまりを放り、起爆。それに乗じて一度後退するハイラル。
 それと同時にレリウスと戦っていた無人機も後退、すれ違う形でハイラルはレリウスの元へ、無人機は彩羽たちの元につく。
「成る程、力だけじゃなくて知能の方も優秀ね。偵察型を見るや否や、後ろにくるなんてただの人形じゃできない芸当だわ。……スベシア」
「もうやっているでござるよ」
 返事も待たぬままにスベシアは無人機を、偵察型の機能である修復を使って歪んだブレード、装甲の補修を行う。
「……してやられたか」
『偵察型だけでは勝ち目は薄い。だからこそ共闘する。フラッグは奪取させないわ』
「足止めくらいになってくれればありがたいんだけど」
「契約者たちがこの程度で止まるものでござるかな?」
「……そうね。それにここに向かってきていた契約者たちの人数は全部で12人。うち10人は見たけれど、残り2名は姿を見せていない」
 もう一波乱、契約者が来ると予測をする彩羽の考えは早くも的中する。
 真正面、そこに堂々と姿を現した二人の契約者の姿があった。

「お二人とも、救援が遅れてすいません」
「ここからは一緒に戦いましょう! 遅れた分、きっちりと働くわよ!」
 彩羽の確認が取れていなかった2人、その正体は御凪 真人(みなぎ・まこと)セルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)
 少しの間、機動兵器の分析をするためにその姿を消していたのだ。
「いや、救援は助かる。もう不意をつける状態ではないからな」
「悪いね。お力頂戴ってな」
「無人機の性能の把握は大体終えました。ここからは攻めて行きます」
 【召喚獣:サンダーバード】を使用し、サンダーバードを引き寄せる。
「本来は不滅兵団を盾にしようと考えましたが、あの性能ではのれんに腕押し。なのでこちらで対処します」
「それじゃ行くわよ! 思いっきり駆け抜けてやるわ!」
 先行して飛行するサンダーバードの下を駆けるセルファ。しかし、彩羽たちは動かない。
「不用意に前には出ない。いい判断だとは思いますが、ここにおいては命取りですよ!」
 サンダーブラストを無人機に放つ真人。その攻撃を避けながらも真人に注意を逸らす無人機。
「真人っ! 今よ!」
 駆け抜けるヴァルキリー、セルファが『バーストダッシュ』、『ゴットスピード』を併用して加速を高める。
「上手く乗ってくださいよ!」
 本来攻撃スキルにもなる『風術』で風を巻き起こしてセルファを吹き飛ばす。否、セルファに更なる加速を生み出す。
『いい動きね。けれど、動を見てから反撃に移るのは容易いことよ?』
 彩羽が動く。ショットガンを盾にして、セルファの前に文字通り壁となる。
「やっぱりきたわね。だけど、目の前に立ちふさがる奴には、手痛い攻撃を用意してるのよっ!」
 加速そのままに『ランスバレスト』で彩羽が乗る機動兵器に突進、攻撃をするセルファ。

―――――ゴガシャッ!!!!

 鈍い衝撃音が辺りに響く。機動兵器の装甲に、重い一撃。果たして矛は盾を貫いたのか、盾は矛を守り抜いたのか。
『……お見事。いい一撃だわ』
 彩羽の機動兵器はそのダメージにより沈黙。鮮烈な一撃の前にショットガン、装甲がもたなかったのだ。
「やった、けど、やれてないわね……」
 彩羽の自由を奪ったもののセルファの動きも止まってしまう。
 沈黙させることはできても、貫き通すことまでは叶わなかったのだ。
「……偵察型の装甲を侮っていました。セルファ!」
「……了解よ」
 沈黙していない無人機がショットガンでセルファを牽制、ダメージを考えてセルファはそのまま一度後退。
 正に一進一退。進んでは戻り進んでは戻り。
「だが相手はあと一機です。このまま押し切るほかありません」
「そうね。それじゃもう一度……っ」
「あの手は一度きりです。これ以上セルファの体に負担をかけるのは、我慢なりません」
「……なら協力して突破するしかないわね」
「見事な一手だった。俺も負けぬように精進しよう」
「あまりの華麗な連携に手も足も出せなかったが、ここからは協力して行こうぜ!」
「ええ、お二人のお力を借りて何とかあの機動兵器を倒してフラッグを奪取しましょう。ああもフラッグ前で待機されてはそうする他ありませんから」
 フラッグの前で黙して待つ無人機。あらゆる攻撃に備えている難敵。
 この難敵に四人は引かず、戦いをする決意をする。

「……機は熟した。友よ、我等が輝く時が来た!!」
「うむ。我が小物では無いという事を証明して見せようぞ……」
 四人が動くよりも先、機動兵器が動くよりも先に動いた一機と一コンテナ。
 この乱戦で息を殺して輝く瞬間を探し、そして遂にやってきたその瞬間。
「いざ行かん!」
 上空に飛び出したの機影、それは鋼鉄 二十二号(くろがね・にじゅうにごう)だ。機動兵器にも見て取れるがれっきとした契約者側である。
「皆が成した一点突破、そしてかく乱。これらがあったからこそ我等はこうして輝ける、礼を言う。あとは任せてくれ!」
「……なにあれ?」
 セルファが率直な疑問を投げかけると、真人も少しだけ困りながらも二十二号を援護することにする。
「何にせよ地上と上空からの同時強襲は機動兵器にとってもイレギュラー。乗らない手はないです」
「その通りだ。さあ! このミサイルに乗じて奴の気を、我と共に逸らしてくれ!」
 上空からありったけの【六連ミサイルポッド】を射出。
 機動兵器もショットガンとブレードで切り落とし打ち落としながら回避行動を取るが、地上からの四人の攻撃にも対処をすることになり二十二号は完全にフリーになる。
「さあ、友よ! 勝利の為の礎となれ!」
 そう言って【コンテナ内蔵型飛行ユニット】をフラッグへ投下。凄まじい衝撃を伴ってフラッグ目前に投下される。
 そしてその中から現れた、その姿とは。
「……ふ、フラグ、ではなく、フラッグを」
 血まみれでコンテナから出てきたイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)
 コンテナから出てきたイングラハムを見た機動兵器もすぐさま向かおうとするが、その隙を見逃さなかった地上の四人組の同時攻撃を受けて機動停止。
 血まみれの体を引きずりながらもフラッグをがっちりと取り、高く掲げるイングラハム。そして、こう言うのだった。
「取った……我はいま輝いている……」
 そのまま、満足げな顔のままに倒れるのだった。手に入れたフラッグを話さぬまま。
『Cフラッグが奪取されました。残るはAフラッグ、Bフラッグです』
 各所に設置されたスピーカーから開発部オペレーターからのアナウンスが聞こえる。
 こうしてCフラッグの奪取は完了した。が。一部の機動兵器と契約者の間では未だに戦闘が続いていたがそれはまた別の話である。
『オチはどうしたオチはぁ!?』
「あっ、その隙頂き!」
「終わりであります!」
「だんなも年貢の納め時だな」
『く、くっそぉ!!!!』
 こうして、奮戦していた恭也も三人の女子力の前に落とされるのだった。