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トキメキ仮装舞踏会

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トキメキ仮装舞踏会

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2 本音さらしまくります

 その頃、広間ではクッキーを食べた被害者(?)達がどんどん本音をさらしていました。

「山葉涼二様愛してます!」
「イケメンなんか世の中から消えてしまえ」
「現国の岡崎先生はズラざますわよーーー」
「オレは、BLが大好きなんだああああああああ!」


「なんか、みんな変じゃない?」 
 不思議の国のアリスの時計うさぎの仮装をしたセルマ・アリス(せるま・ありす)が首をかしげます。
 その横にはキョンシーの格好をした中国古典 『論語』(ちゅうごくこてん・ろんご)こと重仁(ヂュンレン)と、チャイナドレスを着た中国古典 『老子道徳経』(ちゅうごくこてん・ろうしどうとくきょう)こと小流(シャオリウ)の姿もみえます。三人は何となく面白そうという理由でこの舞踏会に参加したのでしたが……
「そうですね。みなさん賑やかなようです」
「賑やかっていうより、なんか変じゃないか?」
「面白そうじゃない♪ 私達も楽しみましょ!」
 小流はそう言うと、人の多い方に向かってどんどん歩いていきました。
「確かに。せっかくだから楽しまないといけないのは分かるけど……」
 セルマが後を追います。
 さらに、その後を
「やれやれ、私は、このような賑やかな場はあまり慣れていないのですが……」
 と言いながら重仁が付いていきます。
 その時、重仁はテーブルの上のデザートに目をとめました。
「と思ったら美味しそうなお菓子がありますね……」
 重仁は、小流達を追いかけるのをあっさりやめると、テーブルに引き寄せられるように近づいきました。

「ふむふむ。おいしそうではありませんか。ひとつ頂きましょうか」
 そして、どれにしようかなと迷った後、
「ではこの星型をクッキーを」
 と、よりによって、例のクッキーを口に入れたのでした。
「うん。ほんのり甘くて美味しいですね」
 さくさく音をたてながら重仁はうなずきます。
「舌ではなくて、頭がとろけそうなおいしさです。思わず、もうひとついただきたくなる」
 そして、もう一枚つまむと、口の中に放り込みました。
「あれ? ヂュンレンさんは?」
 セルマは重仁がいないのに気付き振り返りました。すると、クッキーを食べている重仁の姿が目に映りました。

「ありゃ立ち止まってクッキー食べてるね」
 セルマは方をすくめます。
「じゃあ。ヂュンレンさんはしばらくあそこにいるって事だな。あんまりに人が多い中で離れちゃうとまた会いづらくなるし、シャオを追いかけようか」
 そして、再び小流の後をおい始めました。
 ちょうどその時です。
 重仁が、突然小流の名を叫びました。
「老子!」
 とてつもなくでかい声です。
「? 何か呼ばれたわね」と小流が振り返りました。
「ってしげひと、いつのまにかにクッキーなんて食べてる! 私にも寄越しなさい!」
 小流は、そう叫ぶとズカズカと重仁に向かって歩いていきました。
「老子……!」
 重仁は近づいてきた小流の肩をおもきしつかんで叫びました。
「な……なによ」
 さすがの小流も驚きます。
「改めて言っておきたいことがあります。その……今ままで思っていましたが……いえ、シャオ。私は貴方の事を……」
 この雰囲気はまさか……
「あれ? ヂュンレンさんが告白!?」
 セルマはワクワクしながら二人の様子を見つめました。
「いえ。そういう事ではなく……一緒に居て安心できる存在だと……思っています……」
「なんだ。違うのか」
 セルマは少し拍子抜けしました。しかし、重仁と小流……つまり、老子と論語は、実在の書物としてその内容がよく比較対象に挙げられることもあり、腐れ縁だって聞いてるし、普段からヂュンさんがシャオにきつい態度取りがちだからてっきり嫌いなのかと思ってたけどそうじゃなかったんだね。と、何だか彼の意外な部分が見えて良かった。と少し嬉しくなりました。

 一方、重仁は内心うろたまくっています。

(口が……口が勝手に動いてしまう!?
 これは一体何ですか!?

 いえ、そう思っていたのは確かですが、

 言葉にしてしまうと恐ろしく恥ずかしい!!)


 すると、小流が答えました。
「しげひと…それは所謂ツンデレって奴かしら?」
「う……ちが……」
 小流は首をふりました。
 そして、内心叫びます。

(うう……このまま恥ずかしさで死んでしまえるのでは……)

 一方、小流はこう思っていました。

(今さら何を言ってるのよ。千年単位で腐れ縁やってる仲なのよ? 例えそう思って居たとしても口に出して言うのは野暮ってもんよね。というわけで……)

「そんな野暮な事言っちゃうあんたはしばらく私の元で玩具扱いしてあげるから覚悟するのね」
「や……野暮? ちがう、これは多分このクッキーのせい……」
「へえ。そのクッキーに何か薬が入っているってこと?」
「(コクコク)」
「へえーーーー。じゃあ、今のセリフも薬に言わされたわけ?」
「そうです。でも、シャオといると安心できるというのは、私の本当の本当の気持ちなんです……! ああ、また口が勝手に」
「ふうううん」
 小流はちょっぴり意地悪そうな笑顔を浮かべて重仁を眺めました。
 そして(何の薬か知らないけど、しげひとが面白い事になってるし、しばらく遊ばせてもらいましょう♪)と、ひそかにほくそ笑んだのでした。