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第6章 赤い幻

「はぅうううんっ、く、くすぐったいよぅ」
「あぁっ、もうダメ……っ」
「カップルだー、やれー!」
「ひゃ、な、これは……っ」
 雑貨屋ウェザーのパーティー会場。
 まき散らされたピンク色の雪のために、会場はすっかり混乱に陥っていた。
「こんな騒ぎになったんも、アレや。リア充のせいや! リア充爆発せい!」
 ちゅどーーん!
 裕輝の叫び声に呼応するかのように、爆発音。
「……お、俺のせいやないで?」
 そう。
 爆発したのは、先程ウェザーにつっこんだハデスの発明品。
 爆風と共にピンク色の雪が渦を巻き、吹き飛ばされる。
「あれ……!?」
 美羽は小さな声をあげた。
「あっ」
 柚もそれに気が付いた。
 ウェザーにいた者たちが、それを見た。
「あれは……誰?」
 渦巻くピンク色の中に、幻のように赤い姿が浮かび上がる。
 それは、少女の姿をしていた。
 くせのある長い髪をした、赤い色の少女。
 少女はこちらを見た、ような気がした。
 少女の唇が動いた。笑っているかのように。
『みんな、笑っている――よかった』
 そんな声が聞こえたような気がした。
 そして、少女の姿は霧散した。
 まるで最初から存在しなかったように。

「あれは、彼女は、ナノマシンだ」
 ピンク色の雪のことを調べていた天音が、ウェザーの面々に説明する。
「とある民家の側に赤い物体があったと聞いて調べてみた。この雪が降り出す直前に、それは消えたそうだ」
「赤い物体……まさか、それが雪に交じったと?」
 天音の話を聞いたダリルが、はっとしたように呟く。
 天音は黙って頷くと、話を続ける。
「かつて、そのナノマシンには主人と呼べるものがいたらしい。しかし、もうその存在はなくなり、命令のみがナノマシンを支配していた――」
「命令、って?」
「『人を笑顔にしなさい』ってね」
「あ……」
 天音の答えを聞いた歌奈は手を口に当てる。
 そのナノマシンは、彼女は、それを貫いたのだ。
 どんな姿になっても。
「また……会えるかな。あの子に」
 ルカルカの、いつになくしんみりした口調。
「会えるだろう。来年の冬に」
 天音は答えた。
 何の根拠もないのに、その言葉はどこか力強く聞こえた。
「ピカピカ光る赤い鼻のトナカイのように、クリスマスになれば張り切って出てくるさ」

担当マスターより

▼担当マスター

こみか

▼マスターコメント

 はじめての方ははじめまして。もしくはこんにちは、お世話になっております。
「くすぐった〜い!」を執筆させていただきました、自分へのプレゼントという誘惑に負けそうなこみか、と申します。
 雑貨屋ウェザーのクリスマスイベントへのご参加、どうもありがとうございました。
 様々なイベントへの工夫のおかげで素敵なパーティになりました。
 各種ご馳走にケーキが美味しそうで! 素敵な飾り付けもありがとうございます。
 パーティを楽しんでくださった方にも感謝です。
 そしてエロも……安定のエロOK。ありがとうございました。
 皆さまにクリスマスのひとときを楽しんでいただければ、幸いです。

 ピンク色の雪とくすぐったいの
原因となった『赤い少女』については、調査する人が一人しかいなかったのと、もう一歩真相に近づけなかったためにそのまま霧散して消えてしまいました。
 NPCにする用意もあったのですが…… また、来年のクリスマスにでも機会があれば。

 ウェザーの、ちょっとえっちな季節イベントも春、夏、秋、冬ととうとう一年目を迎えることができました。
 そして私もマスターとなって一年。20作目のシナリオとなりました。
 まだまだですねー。今後も頑張りたいと思いますので、NPCともどもよろしくお願いいたします。
 またどこかでお会いする機会があれば、とても嬉しいです。