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【ぷりかる】みんなの力で祖国を救え!

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【ぷりかる】みんなの力で祖国を救え!

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対決! モルゴース

「というわけで、シェヘラザード一行よ! ここから先は、我らオリュンポスが通さぬ!」
 モルゴースを捜索していたシェヘラザード・ラクシー(しぇへらざーど・らくしー)と行動を共にしていたコントラクターたちは、幽霊城の奥、広い空間で仁王立ちしているドクター・ハデス(どくたー・はです)と遭遇した。
「またあんたなの? いい加減相手するのも飽きたんだけど」
 シェヘラザードは面倒くさそうにため息をつく。
「フハハハハ! 今回はたまたまここの警備を任されただけだったが。ここであったが百年目! 今度はこの前のようにいかんぞ! ここから先は一歩も通さん!」
 高笑いをしながらハデスはオリュンポスの戦闘員をどこからともなく呼び寄せた。
「……通さないってことは、この先にモルゴースがいるのかしら?」
「ぐ……! さあ、なんのことだか」
 指摘されてハデスは少し顔を引きつらせる。
「そ、そうですよ! この奥でモルゴースサンが怪しいことをしてるなんて全然ないですから! 見当違いも甚だしいですから!」
 アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)はわたわたと手を振って否定する。
 その姿は誰がどう見ても図星をつかれたように映り、ハデスは自分の頭を押さえた。
「あれ……? ハデス様、どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもない……それより奴らを足止めするぞ!」
「了解です! 戦闘員のみなさん! 敵の攻撃に注意してください」
「「おおおおお!」」
 アルテミスがクライ・ハヴォックで呼びかけると戦闘員は目からやる気を漲らせてシェヘラザードたちに目を向けた。
「戦闘員たちよ! 散開して敵に当たれ! 援護してやる!」
 ハデスが優れた指揮官として戦闘員に指示を飛ばすと戦闘員たちは機敏に反応してコントラクターたちに襲いかかる。
 そんな中、葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)がコントラクターたちの中から一歩前に出た。
「ここは自分に任せて行くであります!」
「その通りだ、こんなところで時間を使うほど我らに余裕はないはずだ」
 吹雪に続くようにイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)も前に出た。
「……っ。ごめん、ここは任せるけど危なくなったらすぐに逃げてね?」
 シェヘラザードが声をかけると吹雪は黙って頷き、コントラクターたちはハデスたちが塞いでいる扉に向かって突っ込み始める。
「そうはさせるか! ヘスティアよ! あいつらの足を止めるんだ!」
「りょ、了解です!」
 突然命令されたヘスティア・ウルカヌス(へすてぃあ・うるかぬす)はビクッと身体を震わせると、背中に搭載しているウェポンコンテナから、ミサイルを展開させた。
「18連ミサイルユニット、展開。発射準備完了です!」
「よし撃て!」
「かしこまりましたご主人さ……ハデス博士! 発射します!」
 ヘスティアはミサイルをスプレ―ショットでばらまくように発射し、
「あ……ああああ!」
 悲鳴をあげた。
「な、なんだ!? どうした!?」
「ターゲットのロックオンするの忘れてましたっ!」
 ヘスティアが告白した瞬間、ミサイルの弾頭がほぼ全て戦闘員に着弾した。
「「ぎゃああああああ!?」」
 コントラクターたちに襲いかかっていた戦闘員は何が起こったのかも分からず爆発に巻き込まれて地面に倒れ込んでしまう。
「い、今のうちに扉に入るわよ!」
 シェヘラザードが声をかけるとコントラクターたちは一斉に扉の向こうへと侵入し、残ったのはハデスと吹雪たちだけになった。
「これでようやく落ち着いたでありますね。さあ、『シリアスな空気』では存在できない者同士相手してやるであります!!」
「誰がだ! おのれ……! 神奈! やつらを始末しろ!」
「承知した!」
 そう言って奇稲田 神奈(くしなだ・かんな)は刀を抜いて飛び出し、
「吹雪はやりたいことをやるがいい、あれは我に任せろ」
 イングラハムも神奈の相手をすべく前に出た。
「侵入者め! これ以上の侵入させてハデス殿の顔を潰させるわけにはいかんのじゃ!」
「ほほう……神奈はそれほどまでにハデス殿のことが……」
 太刀筋をかわしながら意味深な言葉を口にすると、神奈の顔が火でもついたように真っ赤になる。
「ば、バカな事を! わらわは別にハデス殿のことなど好きでもなんでも……」
「我は惚れているなどと一言も言ってないぞ? ……墓穴を掘ったな?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
 神奈はさらに顔を赤くして、刀を無茶苦茶に振り回すがイングラハムがそれをひょいひょいと回避を続ける。
「神奈落ち着くんだ! こっちの指示を聞いて冷静に行動しろ!」
「ほら、愛しのハデス殿が神奈を心配しているぞ?」
「う、うるさいうるさいうるさい! 黙らんか! このタコが!」
 ほぼ混乱状態になりながら神奈はムキになって刀を振り回し続け、完全にハデスの命令を聞けない状態になっていた。
「よそ見をしてる暇はないでありますよ!」
 ハデスが神奈に注意を向けていると吹雪がハデスの後ろに回りこんだ。
「ふふふ、ここまで展開がグダグダになってまさかまともな決着が着くと思いましたか?」
 不敵な笑みを浮かべる吹雪にハデスは嫌な予感を覚えた。
「な、なにをするつもりだ……?」
 その質問の答えとばかりに見せつけたのは──自爆弾だった。
「さあ、綺麗に爆発オチとしゃれ込みましょうであります!」
「ば、バカな! か、考え直せ! そ、そうだ! 我がオリュンポスが世界を手中に収めたら世界の半分をくれてやるぞ!」
「世間ではそれを死亡フラグと言うんです!」
 叫ぶなり吹雪は自爆弾を起爆させ、広い部屋に爆炎と爆音が広がった! 
 衝撃で二人は壁に叩きつけられ、衣服をボロボロにしながら気を失ってしまう。
「ハデス様! ……お二人とも、ハデス様が!」
「ええい、致し方ない撤退するぞ! そこのタコ! 貴様はいずれわらわが輪切りにしてやる! 覚えておけ!」
 散々負け台詞を吐きながら三人はハデスを担ぐと慌てて広間を後にした。
「……ふ、口ほどにもない」
 たった一人残ったイングラハムは触手で腕を組むと、まるで自分の手柄のような顔をしてしばらく仁王立ちを決めていた。