リアクション
第17ターン
『さあ、17ターンです。ほとんどの選手が、ゴールを射程圏内に収めています。
先陣を切ったのは……、ノーン・クリスタリア選手です。
ゴール!!
ノーン・クリスタリア選手、堂々2位で、今、ゴールしました』
★ ★ ★
「なんですって、全部わたくしに賭けてしまって、ノーンには一枚もかけていなかったですって。あれだけ勝竜券を当てたあなたが、なんというミスを……」
御神楽舞花にチケットの控えを見せられたエリシア・ボックが、ギリギリと歯ぎしりして悔しがった。
とはいえ、せっかく期待をかけられたのに途中リタイアしたのはエリシア・ボック自身である。ここで、御神楽舞花を責める筋合いではないだろう。だいたい、連勝複式でもない限りは、ノーン・クリスタリアを買っていても外れであることには変わりがない。
「うわっはははははは、やった、やったのだ!」
そんなエリシア・ボックの後ろで、マネキ・ングが一人高笑いをあげていた。結局、誰も優勝者をあてられなかったのである。親総取り丸儲けであった。
――おのれ、この招き猫が……。
外れた者たちの刺すような視線がマネキ・ングに集まる。だが、そんな物はへっちゃらなマネキ・ングであった。
★ ★ ★
『それでは、2位に入賞したノーン・クリスタリア選手のインタビューです』
『はい、こちらゴール地点です。頑張りましたねえ』
『おにーちゃん、環菜おねーちゃん見てる? わたし準優勝したよ!』
カメラにむかって、ノーン・クリスタリアがVサインをする。
『1位に続き、少女大活躍でしたあ。放送席に、マイクお返ししますう』
大谷文美がインタビューを終えると、ノーン・クリスタリアの携帯が鳴った。
見て見ると、御神楽陽太と御神楽環菜からお祝いのメールが届いている。
『とても盛り上がる良いレースでしたね! みんな、お疲れさまです』
「わーい、わーい」
それを見て、純粋に喜ぶノーン・クリスタリアであった。
もちろん、エリシア・ボックたちがどす黒くぶすぶすと腐っていることはまだ知らない。
★ ★ ★
『さあ、3位争いに目をむけてみましょう。
現在先頭を走るのは、雪国ベア選手です。その後ろ、フォン・ユンツト著『無名祭祀書』選手が4番手に抜け出てきました。ここに来て、緋桜ケイ選手、息切れか。現在5番手です。
その後方、6番手はペルセポネ・エレウシス選手。7番手はクリストファー・モーガン選手。8番手は秋月葵選手と順位は変わっていません』
★ ★ ★
『なんとか、このまま全員無事にゴールしてもらいたいものですね。
それでは現在の順位です』
1位 イコナ・ユア・クックブック
2位 ノーン・クリスタリア
3番手 雪国ベア 93
4 フォン・ユンツト著『無名祭祀書』 92
5 緋桜ケイ 89
6 ペルセポネ・エレウシス&ヘスティア・ウルカヌス 88
7 クリストファー・モーガン 86
8 秋月葵 79