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リアクション
刹那たちが去り、ぽつんと棒立ちしていた夜灼瓊禍玉に、リネンが話しかける。
「踊りに興味あるんでしょ。一緒に、やろっか?」
「……いいの?」
「やりたい事をやる。人に迷惑かけないなら、それはとてもいいことよ」
敵対してたことなんて意識もしていないというふうに、リネンは手を差し伸べた。夜灼瓊禍玉は、そんなリネンに、優しくて強い天殉血剣の面影を重ねていた。
忍者である刹那がいなくなったので、ナターシャの暴走も止まる。役目を果たしたミリアがふぅっと肩の力を抜いた。
「夜灼瓊禍玉さん……でしたっけ。この度は、うちのナターシャが迷惑をおかけしましたわ」
「ううん。いろいろと手伝ってくれて、ありがとうなの」
夜灼瓊禍玉が、ぺこりと頭を下げた。
「あ、あとね。わたしの名前、長いから……。タマって呼んでほしいな」
「わかったわ、次からはそう呼ばせてもらうわね。タマ」
ミリアもまた、彼女に手を差し伸べる。ファーストネームを呼び捨てにするのは、ミリアにとって親しさの証であった。
「私も、タマちゃんと仲良くなりたいのーっ」
翠が大きなハンマーをぶんぶんと振りまわしていた。武器である巨大ハンマーといい、外見年齢といい、あらためて並んでみると、翠と夜灼瓊禍玉は似ていることがよくわかる。
「タマちゃん。私といっしょに踊ろっ!」
「うん!」
夜灼瓊禍玉がはじけるような笑顔で応えた。翠との似ている出で立ちに、夜灼瓊禍玉もまたシンパシーを感じていたのだ。
「私もっ。私もっ。友達なのっ!」
サリアが、ひょこひょことついてくる。左腕のギフト形態を解いてしまえば、彼女はただの可愛らしい女の子であった。
夜灼瓊禍玉を引き連れた一同は、そろって裸踊りの会場に戻ってきた。
「おーっ。おいでなすったか」
フェイミィ・オルトリンデがみんなを出迎える。
「待ってたぜ、ヤサカニ! お前のためにとっておきの衣装を用意してんだ!」
うきうきしながら、夜灼瓊禍玉用の衣装をとりだそうとするフェイミィ。そんな彼女に、ユーベル・キャリバーンが助言する。
「裸体の美を見せるにはただ脱ぐだけではダメですわ。あえて見せないことで、秘められた部分を想像させる……。そう、ニホンでは『パンチラ』や『ゼッタイリョウイキ』と呼ぶのでしたっけ?」
上品な口調でそんなことを言う。
へたをすれば翠たちから変態淑女と認定されてしまいそうだが、無論ユーベルは大真面目である。光条兵器を使うたび破れてしまうからという理由で、普段から面積の狭い服を着る彼女は、露出の極意を知り尽くしていた。
そんなユーベルの監修のもとで、フェイミィが選んだのはカナンの民族衣装だ。
「試してみるか? オレの故郷の衣装さ。昔はえらい人専用だったんだぜ?」
「ほえ〜。あ、ありがとうなの……」
衣装を受け取る夜灼瓊禍玉。やはり露出度は高いが、由緒ある衣装なのであまり恥ずかしいとは感じなかった。
さっそく着替えた夜灼瓊禍玉は、【アクロバット】なダンスを魅せるリネンに合わせて、踊りはじめる。
翠やサリアと手を取りながら、夜灼瓊禍玉はくるくると跳ねまわった。躍動するたびに布が翻って胸元や脚がちらりと見える。高貴な衣装をまとった少女の舞は、みじんも猥褻さを感じさせず、もぎたての果実みたいな健康的なエロスが匂い立っていた。
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