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魔法ステージ


「それじゃ……ゲームスタート」
 遺跡都市アルディリス。魔法ステージにてゲームの開始時間になった瞬間。ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は『超加速』を使い魔法ステージに参加している契約者達の速さを大きく上昇させる。
「……って、向こうもう攻撃してきたんだ」
 盾で傭兵団の魔法攻撃を逸らしながらルカルカは敵の攻撃方法を確認する。
「マジックアイテムで予備動作なしで魔法撃ってきてるんだ」
 超加速がなく、普通に魔法を使っていれば先手を取られててのはこっちかもしれない。
「ダリル、向こうの攻撃止められる?」
「愚問だな」
 ルカルカのパートナーダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)はそう言いながら二丁銃『天破』の魔力弾丸で傭兵たちの魔法攻撃を相殺していく。傭兵団と同じくこの銃撃も魔力を込めるだけのため、魔法に比べれば予備動作はないに等しい。超加速の恩恵を受けている今であれば余裕を持って迎撃できた。
「それじゃいくよ……『火門遁甲・創操焔の術』!」
 ダリルが稼いだ時間を使いルカルカは大技で傭兵団を一気に攻撃する。
「ダリル、武器を!」
「分かってる」
 ルカルカの攻撃に巻き込まれた傭兵たちは繁栄の力による影響か致命傷こそ負っていないものの、大勢を大きく崩した。そこにポイント・シフトを利用したダリルが死角へと回り込み、ニルヴァーサル・ボールに込められた磁力を開放、傭兵団達の武器を集め奪う。
「うーん……なんか簡単だった?」
 ひとまず自分たちの担当分を終えてルカルカはそう言う。
「そうだな。思ったよりかは敵も強くなかった」
 ダリルもルカルカに同意する。
「……いや、あんたら強すぎるだけだから」
 捕まった傭兵は完全に戦意を失っているのだった。


「さゆみ、あの傭兵動きが鈍っていますわ」
「了解」
 ルカルカたちがド派手な戦いをしている横で堅実に傭兵たちの戦力を減らしていく二人がいた。シニフィアン・メイデンの綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)だ。
 アデリーヌが全体を観察し、他の契約者たちが撃ち漏らした傭兵を弱ってる順から確実に無力化していく。
「……って、やり過ぎた?」
 さゆみとアデリーヌの同時攻撃を受けて動かなくなった傭兵を見てさゆみは焦る。甘いことばかり言っていられる状態ではないのはわかっているが、無駄な殺しをするというのはどうにも感情的に難しい。
「……大丈夫みたいですわね。普通の人間なら死んでるところかも知れませんが……流石は繁栄の力といったところでしょう」
 遠くからも傭兵が息をしていることを確認したアデリーヌがさゆみにそう伝える。
「よかったぁ……」
「安心したならこの調子で行きますわよ」
「分かってる。……こんなところで負けるほど、私達はやわじゃないんだから」
 ワールドメーカーとして変幻自在の魔法で傭兵たちを無力化させていくさゆみとアデリーヌの二人だった。



「正直このレベルの攻撃がマジックアイテムだけでされてるって驚きなんですが……」
 これが儀式の力なのかと御神楽 陽太(みかぐら・ようた)は思う。同時に御神楽 舞花(みかぐら・まいか)エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)が自分に助けを求めるのにも納得していた。
(このレベルの相手に万一でも失敗したくない。舞花たちにとってあの村やそこで出来た繋がりは守りたいものの一つなんですね)
 大切なモノを守りたいという気持ちは陽太にもよく分かる。ならばこそ、ニルミナスのために尽力しようという舞花たちの気持ちも痛いほどわかった。
「あの子達は傷つけさせませんよ」
 後ろから魔法で攻撃している舞花たち。彼女たちを傷つけさせないよう陽太はその身を盾にして守る。
(彼女たちにはこの戦いが終わった後にも仕事が残っているのですから)
 ニルミナスを不幸せな結果にしたくないと頑張る二人のために、体を張る陽太だった。




「ふーむ……心配して見に来たが、どうやら私の出番はないようじゃな」
 アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)は魔法ステージの戦いの様子を見てそう言う。
「この調子で行けば程なくこちらの勝ちで終わるじゃろう」
 それを確信したアーデルハイトは次のステージ、物理ステージへと向かうのだった。