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王子様と紅葉と私

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【忍者屋敷の大宴会】

 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)の忍者屋敷では、今宵大規模な宴会が行われている。
「ご招待頂きまして有り難うございますわ」
「いやー、楽しんでいってくれると嬉しい」
 招待を受けたヴァレリアが唯斗に挨拶をしていると、ドクター・ハデス(どくたー・はです)がやってきた。
「フハハハ!我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクターハデス!
 ククク、我がライバル、紫月唯斗よ! 今日は貴様の呼び出しに応じ、こうして来てやったぞ! 手土産付きでな!」
 ハデスは重箱を唯斗に手渡した。中にはハデス手作りの料理が入っている。
「くくく、今日は我らオリュンポスを招待していただき、感謝しよう!」
 ハデスたちが挨拶をしている後ろには、キロス・コンモドゥス(きろす・こんもどぅす)アルテミス・カリスト(あるてみす・かりすと)がいる。
「わあ、美味しそうです……!」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)の作った宴会料理を前にして、アルテミスは感嘆の声を上げる。
「存分に楽しんでゆくがよい」
 エクスは、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)やハデスの部下の戦闘員たちの座る前に料理の盛られた大皿を置いた。
「美味しそうなお料理がたくさんあるの!」
「賑やかだね?」
 及川 翠(おいかわ・みどり)サリア・アンドレッティ(さりあ・あんどれってぃ)は興味深そうに周囲を見回している。
「とりあえず今は大丈夫そうだけど……少し不安ね」
「温泉女子会に誘われましたけどぉ?……」
「忍者屋敷が会場って言うのが、ちょっと気にかかるわね」
 少し離れたところで、ミリア・アンドレッティ(みりあ・あんどれってぃ)スノゥ・ホワイトノート(すのぅ・ほわいとのーと)は二人きりでこっそり話をしている。
 ミリアとスノゥは紫月 睡蓮(しづき・すいれん)に、唯斗の忍者屋敷にある露天風呂で女子会をしようと誘われてきた。そこに、翠とサリアがついてきたのだ。
 だが、唯斗の忍者屋敷で開かれるという点にミリアたちは警戒をしつつも、二人で仲良く寄り添って話をしていた。


 と、なんやかんやで宴会が始まった。
「いいか、キロスよ! アルテミスとお前の仲を認めたわけではないからな! ひっく」
 一杯の日本酒で酔っぱらったハデスが、キロスに絡み始めた。
「キロスさん……どうしましょう」
「どうすっかな……」
 アルテミスとキロスは、唯斗にハデスを説得してもらって結婚を許してもらおうと考えて宴会にやってきた。
 しかし、宴会が始まって早々にハデスが酔っぱらってしまい、顔を見合わせるばかりだ。
「フッハハハ! ひっく」
 そんなことも知らず、ハデスは楽しげに高笑いをしている。なんだかんだで楽しんでいるようだ。
「ま、とりあえず飲め飲め」
 唯斗はキロスに酒をすすめつつ、コホンと咳払いをした。
「ハデスの酔いが醒めたら説得する。今は宴会だ、楽しんでいってくれ」
「……ま、こうなっちゃ仕方ねえな」
 キロスは頭を掻いて、唯斗に同意する。
「父さん、先に引き上げるね」
「ん? おお」
 紫月 暁斗(しづき・あきと)は唯斗に一言告げて、寝室へと向かっていった。
「さ、まだまだ料理はたくさんあるからのう」
 次から次へと、エクスが料理を運んでくる。
「宴会って楽しいですわね!」
 ヴァレリアもすっかり馴染んだようで、女性陣との話に花を咲かせている。
 こうして館に呼ばれた皆は、心行くまで宴会を楽しんだのだった。