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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(前編)

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【ニルヴァーナへの道】崑崙的怪異談(前編)

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【2】奇奇怪怪……7


「なんだこれは……?」
 メルヴィアは瓦礫の下に白骨化した人間の腕を発見した。
 残ったキョンシーを全滅させ、堂内の探索を再開させた彼らだが、思いのほか早く発見があった。
 だが、出てくる骨はどれも一部分だけの欠損死体。並べてみると8人分の亡骸になる。
「8人か……」
「大尉。衣服や武器と思われるものも出てきました」
「道袍と護符……。随分ボロボロだが、パイロンの着ているものと同じ材質に見えるな」
 おそらく死体は亡くなったパイロン一派のもので間違いないだろう。
 欠損している理由は……あまりそのシーンを想像したくないが、喰われた以外に考えられない。
 ただ一点、奇妙な点があった。
「死体と衣服の痛みが激し過ぎる……」
「どういうことですか?」
「つい最近のものではないと言うことだ。目算になるが、死後10、いや20年は経過しているぞ……
 思案を巡らす大尉だったが、次の瞬間、唐突に起こった爆発の所為でそれどころではなくなった。
 激しい爆音と共に壁が崩れ落ち、土煙が部屋いっぱいに舞い上がった。
「見つけたぞー! ここだ、ここがお宝の部屋だーっ!!」
 続いて聞こえたのは、聞き慣れない男の声だった。
「な、何が起こっている……!?」
 土煙の所為で、状況把握が不可能となったメルヴィアは後ずさる……がそこへ、何者かが下半身に抱きついてきた。
「手に入れた、ヴァラーウォンドだ!」
「は、放せ!」
「うお、コイツ喋りやがる! しかも、結構なんかくびれちゃって艶かしい形状してるじゃないか!!
「ええい、放せと言っている!」
 メルヴィアの鉄拳が、ガンッと何者かの顔面にクリーンヒット。
 ぎゃあと悲鳴を上げて何者かが離れたあと、しばらくして煙が晴れた。
 あらわれたのは、割れたサングラスと鼻血を流して仰向けになった国頭 武尊(くにがみ・たける)の姿だった。
「あ、あれ? 探索隊がなんでここに……? ヴァラーウォンドは?」
 きょとんと目をパチクリさせる彼も……実は探索隊のメンバーである。
 しかし、別段指示もなかったので、パートナーと一緒に単独で探索をしていたのだ。
 不意にきたトレジャーセンスへの反応。機晶爆弾で壁を吹き飛ばし、お宝ゲットと喜んでみればこの有様である。
「言っておくが、大尉の尻に反応したわけじゃねぇ。反応したのは身に付けてるパンツのほうだ、誤解すんなよ!」
「黙れ!」
 正座させた彼に、ピシャリとメルヴィアは言い放つ。
「貴様、パンツとウォンドの区別も出来んのか!」
「……あの、武尊さんもマジメに探してたんですよ」
 相棒のシーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)がおずおずと助け舟を出す。
 光条石を片手に持ち、更に光条兵器の斧槍を発現させ、更にスキルサポートデバイスも作動させた。
「こうして光条兵器へのイメージを高めて、ヴォラーウォンドの反応を辿っていたんです」
「そうなんだよ、別にパンツ探してたわけじゃないんだよ。まぁ……結果的にパンツに行き着いちまったけど」
 はぁとため息。
「……あれ? でもおかしいですよ、武尊さん?」
「はぁ何が?」
「だって、私も同じようにしてトレジャーセンスを使いましたよね?」
「だからなんだよ?」
「よく考えて下さい。私のトレジャーセンスが大尉のパンツに反応するわけないじゃないですか」
「……ああっ!!」
「と言うことは……ヴァラーウォンドは近くにあると言うことか?」
 メルヴィアの言葉にシーリルは頷く。
「おおっ! 見ろよ、あれ!」
 武尊は爆弾で吹き飛ばした壁を指差し……。
「ああ、違う違う! その横!」
 爆発の衝撃のため、隣りの壁もすこし崩れていた。隙間をのぞくと奥に部屋らしきものが見える。
「この向こうに何かあるのか……!」
「うおおお!! これは間違いなくオレの手柄だよな! 褒美に大尉のパンツを一枚くれぇ!!
「ええい! 結局、狙っているではないか!!」
 再び、メルヴィアの右が顔面に突き刺さった。