天御柱学院へ

なし

校長室

蒼空学園へ

【ニルヴァーナへの道】浮遊要塞アルカンシェル(前編)

リアクション公開中!

【ニルヴァーナへの道】浮遊要塞アルカンシェル(前編)

リアクション

『どうやらあのバリアは魔法エネルギーに強いようだ。ただ、光条兵器は通過させることが出来る。物理攻撃に対しては盾のような効果がある』
 バリアの性質について調べていたクレアから、情報を求めていたシリウスに連絡が入る。
『魔法、物理攻撃の一斉攻撃。バリアがその対応反応をしている間に、突撃による破壊を目指してみてはどうだ?』
「そうだな。なら、俺は突撃を担当させてもらう」
 続いて。
『宮殿には情報を送ったが、砲台がいくつか迫り上がってきている。本格的な攻撃が始まる恐れがある』
『その前に、突入しなきゃね! 加勢するよ。タイミング教えてね♪』
 和輝と、アニスからも、シリウスに連絡が入る。
「了解。いそがねえとな。皆、備えておけ!」
 シリウスが協力を申し出た者達に、指示を出す。
『尤も有効と思える場所を割り出しました。各方面に転送します』
 分析を進めていた白竜が、導き出したポイントを記した地図データを各方面に転送する。
「全員受け取ったな? それじゃ、接近開始だ!」
 シリウスが号令を出し、協力者たちは一斉にポイントに向かって飛び立つ。
「ナナは発生装置の場所を探ります。フロッギーさん、引き続き操縦お願いいたします」
「おう、任せな! 攻撃を回避するぞ。ちと揺れるが、我慢しろよ!」
 近づいた途端、要塞からはビームや弾丸が飛んでくる。光学迷彩で姿を見えにくくしているが、感知されてしまっているようだ。
 フロッギーは一度急上昇し、飛行形態から人型に変形して急降下で回避。
「っ……」
 急降下に耐えながら、ナナはモニターに意識を集中し、要塞を見回す。
「味方機の位置を把握……要塞からの迎撃行動をこれまでのパターンから予測……要塞までのコースを策定完了! 攻撃は全て回避でいくよ!」
「うん!」
 リオはメインパイロットのフェルクレートをナビゲーターや財産管理の能力でサポートしていく。
 最適な飛行コースの指示は、精神感応で直接フェルクレートの頭に伝える。
 フェルクレートは高速機動(20)で、回避率を上げ、要塞の攻撃を躱しながら接近していく。
「出来る限りエネルギーを抑えて、一気にぶち込むよ。そろそろ弾幕を」
 リオの指示に従って、ミサイルポット、ハンドガンを撃ち込んでいく。
「フェル! これまでの鬱憤を晴らすよ!」
「うん、変形するよ!」
 そして、目標地点で間近でダイバーモデルから、ドールモデルに変形開始。
「フェル! 攻撃マニューバ、パターン04でいくよっ!!」
「わかったッ、スロットルアップ! 一気に行く!」
 フェルクレートは大形ビームキャノンを構えると、更に要塞に接近。
「死角からレーザー攻撃来ます。左右に散ってください!」
 月詠のサブパイロットを務めるサーが、砲身が一斉攻撃を狙い地上に集まる者達に向けられていることに気づき、警告。
 協力者達はすぐに左右に飛んで避ける。
「対空用のビーム攻撃も来ます」
「突入班の奴らも、ちゃんと避けろよ」
 躱しながら、カイは集まっている突入班に目を向ける。
 彼らを無傷で要塞の中に送り届けるのが自分達の仕事だ。
 カイは軽く攻撃をして、要塞の攻撃を自分の方に向けようとする。
「砲撃来ます。左に躱してください」
 戦況を見ながら、サーが言う。
「了解。撃ってきてから、回避だ!」
 要塞が自分の方へと撃ってきてから、左方向に急加速して、攻撃を回避。即座に方向を変え、要塞に急接近。
 味方機が要塞に接近し、要塞のこちら方面への攻撃が一瞬止んだその瞬間。
「今だ、撃て!!」
 シリウスが叫んだ。
「白竜、合図だ!」
「微力ですが、行きます」
 羅儀、白竜は、遠方からアサルトライフルを撃つ。
「アニス、撃つぞ!」
「うん、撃ちまくりだねっ!」
 和輝とアニスは、20ミリレーザーバルカン、ミサイルポッドをありったけ撃ち込む。
「マジックカノン行くよ!」
 クレアと共にウンヴェッタを操るエイミーは、マジックカノンを選択し、バリアに向けて発射する。
「リミッター解除! ビームキャノン、オーバーチャージ!」
「こっちの事は気にせず、最大戦速でかましてやれっ!」
「了解ッ!」
 リオは歯を食いしばり衝撃に備え、フェルクレールトが大形ビームキャノンを至近距離から撃ち放った。
 エネルギーの一部が、2人に跳ね返ってくる。
「離脱するぞ!」
 月詠(カイ)が、傷ついたピングイーン(フェルクレールト)を支えながら離脱する。
 ナナとフロッギーは20ミリレーザーバルカンで攻撃。
 しかしこの光輝属性の攻撃は、あまり効果を及ぼさない。
「ちっ、オレ達の装備じゃ火力が足りねえってか!?」
「高速起動を用い、速度を乗せたランスでの一撃を実行してみてはどうでしょう」
「よし……こいつでどうよ!!」
 ナナからの助言を受けて、フロッギーはスピアを構えて高速で突進する。
「協力するよ。空京の為にね」
 同時に、ブルタがステンノーラと共に操るイコン、へルタースケルターも、アダマントの剣、空裂刀の2本の剣を持ち、バリアへ突進する。
「こっちも、破岩突行くぜ、合わせてくれよ! 掛け声も忘れんなよ」
「はいはい……せーの」
 シリウス、サビクが大きく息を吸い込み、衝撃に備えながら大声を上げる。
『フィールドブレイクゥァァァーッ!』
 Nachtigallのスピアは一斉攻撃で弱まっていたバリアを貫通し、要塞の壁に穴を開ける。
 次の瞬間に、ヘルタースケルターが消えて、壁がさらに大きく破壊される。
 ステンノーラの神出鬼行の能力で、要塞の内部にワープし、内側から2本の剣で破壊したのだ。
 サビク、シリウスが操るオルタナティヴ13は、強い衝撃を受けたものの、壁をぶち破って、機体は中に転がり込んだ。
 ブルタは外へ飛び出し、ナナ達と共に退避した。
 ……要塞内部に興味はあったが、目立つ方法で、無理やり進んだりはしない。
「機体の損傷は激しいけど、動かないほどじゃない。ただ、サポートなしじゃ、要塞の攻撃を躱せないだろうね」
 要塞の中で、サビクが機体の状態を確かめながら言う。
 オルタナティヴ13が入り込んだ場所は格納庫のような場所だ。入口として申し分ない場所だった。
「あてて……っ、けどまあ、突入OKだぜ!」
 要塞の中で、眩暈を感じながらもシリウスは成功を知らせる。
 壁に大きな穴が開き、その先のバリアも破られている。
『バリア発生装置が特定できた。破壊作戦に移る。離れられるのなら離れろ。無理ならば、攻撃に備えろ』
 辛うじて無事だった通信機からクレアの声が響いてきた。
「一旦脱出するか。生身の方がよさそうだ」
「そうだね、頼むよ」
「ああ」
 シリウスはサビクを抱えて強化光翼で要塞から飛び降りる。
「無茶なことを……!」
 言いながら、カイは要塞の砲身を撃ち、シリウス達から攻撃を逸らさせ、援護する。
「サンキュー」
 シリウスは空飛ぶ魔法↑↑も使いながら、全速力で空を飛び、要塞から離れた。

 探索隊の突入班が穴をさらに大きく開けて、要塞の中に突入していく。
 集中攻撃により破られたバリアだが、付近のエネルギーが集まっていき、じりじりと塞がれていく。
「やはり、単身攻撃ではどうにもならんようだな」
「ガォーン(なんという硬さの要塞だ!それに、この攻撃もただ事ではないぞ! ハーティオン! 当たれば我らが装甲といえどもタダでは済まんぞ! 抜かるな!)」
「わかっている」
 コア・ハーティオン(こあ・はーてぃおん)龍心機 ドラゴランダー(りゅうじんき・どらごらんだー)は、龍心合体ドラゴ・ハーティオンで、要塞の推進機器を狙っていた。
 だが、バリアに阻まれて攻撃は届かない。
 そのため、付近を飛び回り、急接近してダブルビームサーベル、蛇腹の剣で、バリアを攻撃。
 離脱し、攻撃回避。緊急時には炎霊の盾で攻撃を防いでいた。
 ドラゴ・ハーティオンの機体はかなり傷ついているが、要塞には大したダメージを与えることが出来ていない。
『龍騎士団と共にバリア発生装置を1箇所叩く。突入部、推進機器に一番近い装置だ。協力してくれるか?』
 コアに、ケイから通信が届く。
 ケイも前線で龍騎士団の盾となりつつ、調査に当たっていたため、既に機体の状態はあまり良くはない。
「無論!」
 そう答えると、コアはドラゴ・ハーティオンを要塞の前で旋回させて、要塞の攻撃を自分へ誘う。
「ここの装置を破壊すれば、突入口を開けたままにしておけるだろう」
「噴射機も一緒に壊せるわね。……それにしても、あなたはいい加減に下がりなさい」
 コウと、マリザは、ダーク・ヤングで要塞に接近し、表面構造を探っていた。彼女達の機体に隠れながら、ファビオもまた、肉眼で要塞を探っていた。
「俺の魔法程度じゃ、外からでは役に立てなそうだ。装置破壊後、俺も中に入る。よろしく」
「よろしくじゃないってば」
 ファビオの言葉に、マリザは大きくため息をつく。
「装置に魔法で負荷を与え、我等がバリア周辺に攻撃を加える。その間に、装置を叩け」
「わかった」
 龍騎士団のルヴィルはケイに指示を出すと、強力な地の魔法をバリア発生装置に放とうとする。魔法の力はバリアに阻まれる。強大な力で歪むバリアに、龍騎士団のメンバー達が槍で攻撃を仕掛けた。
「今だ、ドラゴ・ハーティオン頼む!」
 言って、ケイは龍騎士達を庇うように、要塞のビームの前に出てシールドで攻撃を受ける。
「オオォォォッ! グレート勇心剣!! 彗星っ!一刀ォ両断斬りいぃぃっ!!」
「ガアアアアアアアアッ!」
 龍騎士が離れた直後に、ドラゴ・ハーティオンが飛び込み、空いたバリアの穴に、空裂刀を叩き込んだ。
 刀はバリア発生装置、そしてその脇の噴射口を破壊。爆発が起きる。
 ぐらりと、要塞が傾いた。