リアクション
●21
イサジの山小屋。
正しくは、かつて小屋だった木材の山。
「まずは小屋の残骸をさらってみましょう。このような狼藉をなした者が、なにか手がかりを残しているかもしれません」
と言うロザリンド・セリナに応じ、七瀬歩が、
「よし、じゃあ、まずはこの大きな板をどけてみよう」と柱をどけたとき、
彼女たちは、見つけた。
死体だった。半ば以上凍り付いた死体だった。
それは最初、男女すら判別できない有様だった。肉、と呼ぶのが最も近いだろう。
赤黒い肉――それ以上詳細な描写をすることは控えたい。
「……こんな……こんな」七瀬歩は顔を逸らした。嫌悪感でもなく憎しみでもなく、こんなことを平気で成せる存在がこの世にあるということに、押さえがたい悲しみを覚えていた。
七瀬巡は自分のことより、歩が受けたショックを想って彼女の頭を抱きしめた。「大丈夫……大丈夫だから。もう、この子が苦しむことはないんだから……」と言いきかせていた。
ロザリンドは、かつてタニアだったものの前に両手をついて肩を震わせた。
「絶対に」ロザリンドは言った。「絶対にこのような非道は許せません! 必ず全員捕縛を!」