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第九章  イコン戦、勃発!



《VS 石原 肥満》

「肥満が巨大化した!出番だよ、クロッシュナー!」

 【空飛ぶ箒】で偵察に当たっていた本能寺 飛鳥(ほんのうじ・あすか)から、イコンに乗るマーゼン・クロッシュナー(まーぜん・くろっしゅなー)に連絡が入る。

「了解!行くぞ、早見!」
トーテンコップ、発進!」

 早見 涼子(はやみ・りょうこ)の操縦の元、肥満の超巨大メカに突進するトーテンコップ。
 肥満メカは、巨大化する前に一度完全に破壊させたはずだが、一体どんな技を使ったのか完全に復活している。
 今まで石原 肥満と戦っていた仲間たちは、既に避難を済ませたとの連絡があったから、遠慮はいらない。
 マーゼンはその巨体に狙いをつけると、躊躇なくミサイルポッドを発射した。

 長い尾を引いて飛び、肥満メカに次々と命中するミサイル。
 だが、爆炎の向こうから現れた肥満メカに、ほとんど損害はない。

「バリアーだ!」

 飛鳥から、クロッシュナーに連絡が入る。

「何!キーのフィールドか?」
「違う、普通のエネルギーバリアーだ!今、バリアー発生装置の位置を確認する!」
「頼む!流れ弾に当たるなよ!」

 《隠行の術》で気配を消し、接近する飛鳥。
 肥満メカは、飛鳥には全く気づいていないようで、トーテンコップに激しい銃撃を浴びせている。
 一方のトーテンコップは、たまに牽制程度に攻撃するのみで、防御に徹していた。

「あった!」

 肥満メカの左右の肩口やや後方に、バリアー発生装置がある。
「発生装置発見!これより肉薄攻撃で破壊を試みる!」
「大丈夫か?」
「破壊工作は、忍者の専売特許よ!任せて!」
「分かった。頼む!」

 バリアーは常時発生している訳ではないらしく、飛鳥はすんなりとメカに取り付くことが出来た。
 飛鳥は地表すれすれから肥満メカに近づくと、機体スレスレを一気に上昇し、発生装置の前に出た。
 【リカーブボウ】を構えると、中枢部を狙って矢継ぎ早に射つ。
 何発か打ち込む内に、装置から煙が上がり、火花が飛び散った。

(やった……?)

 肥満メカを振り仰ぐ飛鳥。
 ちょうどその時トーテンコップの撃った【アサルトライフル】の弾が飛来し、メカの脚部装甲板を貫く。
 ボンッ!という音と共に、ハデな爆発が起こった。
 機体が、グラリと大きく傾く。

「ヨシッ!」

 思わずガッツポーズを取る飛鳥。

「よくやってくれた、飛鳥!後は任せろ!」

 肥満メカの脚部や、バーニアに攻撃を集中するクロッシュナー。
 脚部を破壊されて急に機体のバランスを失った肥満メカは、回避行動を取ることができない。
 あっという間に肥満メカは移動不能に陥った。

「動けなくなっちまえば、こっちのもんだ!」 

 肥満メカも必死に反撃をするが、涼子が巧みに回避行動を行うトーテンコップに対し、防御も回避も出来ない肥満メカでは、勝敗は明らかだ。
 機体をハチの巣にされ、肥満メカは完全に沈黙した。