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なし

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第六章  対天御柱学院戦線



《VS 学徒》

「近遠さん、天の御柱学院の戦線が膠着状態でございます。学徒に阻まれ、校長へ接触できない方が多数いらっしゃるようでございますわ」
「わかりました。天学戦線へ支援射撃を開始します。同戦線にいる味方に、一時退避するよう連絡を」
「かしこまりました」

 アルティア・シールアム(あるてぃあ・しーるあむ)からの報告に、前線への進出を決意した非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)は、カームリィ・ウインドの計器を手早く確認する。

「聞いての通りです。敵の迎撃機が襲来する可能性がありますので、直掩をお願いします」
「わかっている。任せてもらおう」

 イコンの外で待機していたイグナ・スプリント(いぐな・すぷりんと)から、気概に満ちた返事が返って来た。
 さぞや待ちくたびれたことだろう。

「カームリィ、行きます」

 【小型飛空艇】に乗ったイグナがやや前に出たのを確認して、ゆっくりと前進する近遠。
 味方が退避する時間を取らねばならないから、急いで前に出る必要はない。

「友軍の退避、完了した様にございます」
「照準誤差修正。何時でも撃てますわ!」

 射撃担当のユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)が、近遠を振り返る。

「よし、攻撃開始!」
「せーの、てー!」

 退避する味方を追って、やや散開気味になっている敵陣の最前列に向けて【マジックカノン】を発射するユーリカ。
 着弾が轟音を上げ、舞い上がる土煙が一刻敵を視線から覆い隠す。

「未確認飛行物体複数、接近中!」
「イグナ、出る!」

 ほぼ同時に敵にを確認したイグナが、前に出る。
 背中にコウモリのような羽根の生やした学徒の一軍が、こちら目指して飛行してくる。

「ここから先には進ません!」

 《シーリングランス》を駆使し、《オートガード》《オートバリア》《ファランクス》などで攻撃を防ぎながら、カームリィへの攻撃を少しでも減らそうとするイグナ。
 カームリィの第二波を確実に命中させるためには、今ここでカームリィに回避行動を取らせる訳にはいかない。
 最初のマジックカノンはあくまで牽制であり、第二波こそが本命なのだ。

「敵、密集隊形を取りつつあります!」
「狙い通りです!レーザーバルカン、発射!」
「バルカン発射!」

 短い光の帯が、一瞬で空を駆け、敵陣を縦に深く切り裂く。

「進撃路、確保しましたわ!」
「すぐ味方に連絡を!」
「かしこまりました」
「続けて攻撃!味方の進撃を支援して下さい。照準は任せます」
「りょ〜かい!マジックカノン、発射!」

 カームリィの援護の中、直線上に焼き払われた空間を通って、味方が校長の元へと駆けていく。

「味方が、コリマ・ユカギール(こりま・ゆかぎーる)と戦闘を開始しましたわ!」
「よし、一時後退します!イグナ、お疲れ様です。もう下がっていいですよ」
「了解した。こちらもちょうど、一掃除終わったところだ。後は任せるとしよう」

 羽根学徒たちは半数以上を失い、生き残った者も酷い手傷を追って撤退していく。
 地上では、コリマと仲間たちが、激しい戦いを繰り広げていた。



《VS コリマ・ユカギール》

「オラオラオラ!邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!」

 《ラスターブーメラン》で、立ち塞がる学徒兵を薙ぎ払うアストライト・グロリアフル(あすとらいと・ぐろりあふる)
 その一撃で、コリマ・ユカギール(こりま・ゆかぎーる)への道が大きく開く。

「行くわよ、ニセコリマ!」

 そこに御神楽 環菜(みかぐら・かんな)の格好をしたリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた) が飛び込む。
 コリマの《カクタリズム》が巻き起こす礫の嵐の中を、【ブルーラインシールド】の影に隠れるようにして突進していく。
 
「バカめ。蒼空学園の人間に変身した所で、何の効果も無いわ!」

 その突進を《鬼神力》で受け止めるコリマ。

「そうなのよね〜。私も止めろって言ったんだけど、ウチの相棒が、どうしてもアナタを倒すんだって言って、聞かないのよ〜」
「イコン復活の元凶コリマを、生かしておく訳にはいかないわ!」

 愛馬ディジーの背から、シルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)が、憎しみに満ちた目でコリマを睨む。

「いやその人、ニセモノだから……」

『将来、イコンが人間を支配するようになる』という妄想に半ば支配されているシルは、コリマが憎くてたまらないのだ。

「ニセモノでもよ!顔見てるだけで頭に来るの!」
「顔なら【呪術師の仮面】で隠れてるじゃない」
「そのハゲ頭だけで充分よ!」

 何故かそこらへんに転がっていた【消波ブロック】を、コリマ目がけて蹴りつけるシル。
 コリマは、その全てをカクタリズムで弾き飛ばしながら、一気にシルへと迫る。

「なら、その憎い相手の姿で殺してやろう!感謝するのだな!」
(かかった!)

 シルは、後ろ手にそっと隠したキーを、掌に挿した。

「キャラクターチェンジ!」
「カーーーンナァ!」

「なっ……!」

 突然現れた環菜の姿に、思わず足を止めるコリマ。
 シルがいきなり環菜に変わったので、元々環菜の姿をしていたリカインとシルが、一瞬で入れ替わったのかと錯覚したのだ。

「このマユ野郎!」

 カウンター気味に、コリマの顔面をディジーが蹴り飛ばす。

「どわっ!」

 さらにリカインが、《咆哮》で追い打ちをかける。

「グ……、グウっ!!」

 頭に少なからぬ衝撃を受け、さらに音で脳を揺さぶれて、軽い脳震盪を起こすコリマ。

「理知、行くよ!」

 《心頭滅却》し、チャンスを伺っていた北月 智緒(きげつ・ちお)は、一気に飛び出した。
 行く手を阻もうとする学徒兵を《先の先》と《殺気看破》でかわし、《神速》と《バーストダッシュ》で、一気にコリマの懐に入る。

「ハアっ!!」

 とどめの一撃とばかりに、加速の勢いを乗せた《鳳凰の拳》を、コリマのボディに叩き込む。

「グウっ!」

 呻き声を上げ、苦痛に顔を顰めながらも、コリマはその場に踏みとどまる。

(……!)

 《残心》でコリマの不穏な動きを感じ取った智緒は、咄嗟に後ろに飛び退った。
 一瞬前まで智緒がいた所を、コリマの【グリントフンガムンガ】が薙ぐ。

「逃がさん!」

 怒りに燃え、智緒に追いすがるコリマ。
 そのコリマの周囲を、突然の砂塵が取り囲んだ。
 智緒の姿を見失うコリマ。
 そこを、砂塵越しに飛んできた《サンダークラップ》が打ち据える。

「ギャアアア!」

 《迷彩塗装》で隠れていた桐生 理知(きりゅう・りち)が、辻永 翔(つじなが・しょう)のキーを使い、コリマの動きを封じたのだ。

「今だ、突っ込め!」

 それまで、【小型飛空艇】から様子を伺っていた匿名 某(とくな・なにがし)が、大谷地 康之(おおやち・やすゆき)に叫ぶ。

「よっしゃ!派手に行くぜぇ!キャラクターチェンジ!
「リーーーコォ!」
 
 高根沢 理子(たかねざわ・りこ)に変身しながら、逆落しにコリマに突っ込む康之。
 康之の動きに気づいた羽根学徒が、康之の飛空艇に殺到する。

「そうは行くか!」

 《防衛計画》で迎撃体勢を整えていた某の《ライトニングブラスト》が、羽根学徒を次々と叩き落として行く。

「跳べ、康之!」
「ハイィィ!」

 衣装をはためかせながら、コリマに飛び蹴りをお見舞いする康之。
 身体が痺れて身動きのとれないコリマは、飛び蹴りをモロに喰らい、派手に吹っ飛んだ。
 激しく地面に叩きつけられるコリマ。

「これ以上お前らの好きにはさせねぇ!覚悟しろ!」

 康之は理子の姿のまま、ビシッ!と突き立てた親指を、クイッと下に向ける。

「誰か泣かせる運命をぶった斬る――高根沢理子、参る!」

 康之は【トライアンフ】を足で蹴り上げると、《金剛力》を込め、一気に振り下ろした。

「ひぃーーーさぁつ!リコスラァァァッシュ!」

「バカな、この私がァァァァァーーー!」

 驚愕に目を見開きながら、《一刀両断》されるコリマ。
 真っ二つにされたコリマのキーが、眩い光を放ちながら暴走する。

「がァァァァァ!」

 コリマの身体が、一気に巨大化した。