リアクション
第7試合 『第7試合に移りたいと思います。 イーブンサイド、小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)パイロット、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)サブパイロットのグラディウス。 オッドサイド、グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)パイロット、エルデネスト・ヴァッサゴー(えるでねすと・う゛ぁっさごー)サブパイロットのシュヴァルツ・zwei。 ついに、選手同士の対決となりました。これは、激戦が予想されます』 グラディウスは、イーグリット・アサルトをベースとした機体で。真紅のマントを羽織った黄金騎士然としたデザインになっている。両肩のフローターバインダーはミサイルポッドでもあり、両腕のシールドと共にロイヤルガードのエンブレムが描かれていた。メイン武装のダブルビームサーベルの他にも、予備武装として氷獣双角刀とガトリングガンを装備している。 対するシュヴァルツ・zweiは、ジェファルコンをベースとし、黒騎士を思わせる漆黒の機体であった。両肩からのびたビームウイングが真紅のマントのようにちょっと不安定に広がっている。まさにグラディウスとは対照的な機体である。新式ビームサーベルとソードブレイカーは中世の騎士の決闘装備を思わせ。腰部にはレーザーバルカンとノイズグレネードが装備されていた。 ★ ★ ★ 「にしても、このコックピット回りのデザインはなんなんだ?」 グラキエス・エンドロアが、エルデネスト・ヴァッサゴーを問い質した。シミュレータとはいえ、なんだかコックピット内のデザインが、ロココ調の装飾華美な物になっている。なんで、コンソールの縁に、金飾りの象眼があったり、パイロットシートにレース飾りのついたピンクのクッションなどがおかれているのか。 「インターフェースがバージョンアップされたようですから、私としてもコックピット回りをよりあなたにふさわしく、快適になるように……」 「しなくていい!」 「そんなことを言わずに。これで、敵に勝てば、このデザインがグラキエス様にあっているということになりますから。実機に転用いたしますよ。ふふふ……」 試合前にグラキエス・エンドロアたちがもめている間に、グラディウスが低空から戦闘域に侵入してきた。ステージは、シャンバラ大荒野のようだ。 「敵を捕捉しました。ターゲット・ロックオン」 「逃がさないよ」 ベアトリーチェ・アイブリンガーの示したマーカーにむかって、小鳥遊美羽がミサイルを一斉発射した。 「ほら、来ましたよ」 エルデネスト・ヴァッサゴーが、人ごとのようにグラキエス・エンドロアをうながす。 「分かっている」 迫りくるミサイル群を捕捉したシュヴァルツ・zweiが、高速機動を行いつつレーザーガトリングで迎撃していった。 「突っ込むぞ!」 「行っちゃうよー!」 奇しくも互いに白兵戦闘を望んだグラキエス・エンドロアと小鳥遊美羽が、剣を抜いて一気に間合いを詰めていった。互いに、装甲値は決して厚くはない。敵の攻撃を受ける前に、先に倒す作戦のようだ。 「余剰エネルギー、全てダブルビームサーベルに回します!」 ベアトリーチェ・アイブリンガーが、ダブルビームサーベルにエネルギーを回してダメージを上昇させた。だが、エルデネスト・ヴァッサゴーもリミッターを解除して一撃に備える。 激しく両者が激突した。 シュヴァルツ・zweiのビームサーベルがグラディウスのシールドを破壊した。その下の左腕までをも半壊させる。だが、グラディウスの右手のビームサーベルはシュヴァルツ・zweiの左脇から頭部にかけてを斬り飛ばしていた。 「ぐっ……」 小爆発が起こり、シュヴァルツ・zweiのコックピットが激しくゆさぶられた。ピンクのエアーバックが出てくるが、予想以上の振動にグラキエス・エンドロアの意識が遠くなる。 『私の勝ちだよ!』 小鳥遊美羽が、ビームを消したサーベルをシュヴァルツ・zweiの胸部に押しあてて言った。 「そのようですね。やれやれ」 シュヴァルツ・zweiのビームサーベルを放棄して降参の意を示すと、エルデネスト・ヴァッサゴーがグラキエス・エンドロアをだき起こそうとした。 「おっと。どうせだきかかえるなら本物でないと。シミュレータのコネクトを早く切ってくださいな」 エルデネスト・ヴァッサゴーが、外にいる久我浩一にむかって告げた。 ★ ★ ★ 『勝者、グラディウスです!』 |
||