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第5章 新必殺技を生み出す修行だぜっっっっっっっっ!!

「おやっさん!! お願いします!!」
 桐ヶ谷煉(きりがや・れん)は、崖の上で鉄球を用意しているおやっさんに向かって叫んだ。
「おう!! まあ、死ぬ気でやるんだな!!」
 おやっさんは、どこでどうして手に入れたかわからない鉄球をひとつずつ押して、崖の下に転がし落とし始めた。
 ごろん、ごろん
「とあー!!」
 崖を転がり落ちてくる鉄球に向かって、煉は走った。
 剣を抜き、白刃を陽光にきらめかせる。
「せいっ!!」
 煉は、剣で鉄球を斬り裂いた!!
 すぱっ
 見事に二つにわかれた鉄球が、それぞれ別方向に転がって、倒れる。
「続けていくぞ!!」
 おやっさんは叫んだ。
「お願いします!!」
 煉も叫んで、また走っていく。
 次々に鉄球を斬り捨てていく、過酷な修行が始まったのである。
「うーん、すごいもん☆ みんな、素晴らしいもん☆ 詩穂も、負けてられないもんもんもんっ」
 騎沙良詩穂(きさら・しほ)は、スカートの裾をがしっとまくりあげて、アクティブな状態でニカッと笑った。
 パンツがみえそうになっても、気にしない。
 というか、鉄壁のスカートなので、大丈夫なのだが。
 詩穂は、全身から女性フェロモンをモンモンと放ち、色気全開となった!!
「さあ、詩穂のパンツのシミを拝見したいという愚かな男どもを駆逐するべく、今日も必死の修行を続けるもん☆」
 だだだっ
 詩穂ははしった。
 鉄球を斬っている煉に近づいていく。
「うん? 何だ?」
「くすくす☆ 絶対領域の練習だもん☆」
 詩穂は、露出した部分がピカッと光る脚をひけらかして、華麗な蹴りを放った。
「勝負を挑むつもりか? いまは一人で修行中だというのに」
 煉は顔をしかめたが、詩穂の攻撃を前に怖じ気づくつもりもない。
 スカートとブーツの間に光る白い肌は気になったが、いまは女よりも優先するものがある!!
 煉は、剣を詩穂に向けて斬り払った。
「わわっ、いきなり失敗だもん☆ なかなかやるねー」
 ぽーん
 詩穂は、空高く跳躍した。
 煉は、一瞬、スカートの中身が丸見えになるように思って、視線をそらすべきかどうか、戸惑ってしまった。
 まさに、修行の妨害であった。
「うーん、おかたいねー」
 詩穂は、ニコニコ笑いながら、煉に抱きつこうとする。
 そこに。
「おう、いいことやってるじゃねえか!! どうせやるなら、俺にやれコラァ!!」
 ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)が、ちょっとうらやましげに怒鳴りつけた。
 ゲブーもまた、おやっさんに鉄球を投げてもらって修行していたのだが、詩穂が邪魔で、イラッとして怒鳴ったのである。
「ふーん☆ それじゃ、あなたにお仕え☆ みてみて、飲んで、舐めて、この色香ー☆」
 詩穂は、天高く宙を舞うと、ゲブーに抱きつこうとした。
「ふん!! いくぜ、GEBUキーック!!」
 ゲブーもまた跳躍すると、いきなり新必殺技を詩穂に決めようとした!!
 だが。
 詩穂にキックが届く前に、ゲブーは勢いを失って、落下してしまった。
 どさっ
 頭から地面にめり込んでしまうゲブー。
「ぐう。失敗か。まだまだ!! もっと練習だ!!」
 起き上がったゲブーは、再び鉄球に向かっていこうとする。
「あれ☆ 詩穂は、ただ技の練習台にしたかっただけ?」
 詩穂は、きょとんとした。
「ああ。邪魔するなよ!! 今日はエッチするわけにはいかねえんだよ!!」
 ゲブーは、傷だらけの身体をふるいたたせ、必死の形相で駆けていく。
 これぞ、漢(おとこ)の世界であった!!
「もう、ひどーい☆」
 詩穂は怒って、ゲブーに再び抱きつこうとした。
「おいおい、修行だけでも大変だってのに、余計なプラスアルファつけるなってんだよ」
 柊恭也(ひいらぎ・きょうや)が、ぼやいていった。
「そーんなこといって、君も抱きつかれて欲しいんじゃないかだもん☆」
 詩穂は、笑って柊に向かっていった。
「妨害か。どれ」
 柊は笑って、詩穂に駆けていく。
 ささっ
 目にも止まらぬ動きで詩穂の背後にまわりこむ柊。
「とあーっ」
 爆炎をあげる剣の一閃を、詩穂に叩き込んだ。
「もう、また練習台かだもん☆」
 詩穂は跳躍して攻撃を避けると、柊の首根にまとわりついた。
「くっ、失敗か。まだまだ!!」
 柊は舌打ちする。
 新必殺技は、そう簡単に完成したいのだ。

「日比谷殿。特訓をみせて欲しいでござる」
 日ノ本二十日(ひのもと・はつか)は、日比谷皐月(ひびや・さつき)に頼みこんだ。
「うん? 何だっておまえを、そんなものをみたいんだ?」
「みて、拙者も、すごい技を編み出せるようになりたいでござる!!」
 二十日は、鼻息を荒くしていった。
「そうか? じゃあ、それなら、おまえが修行すればいいだろ。教えてやるからさ」
 皐月は、笑っていった。
「む。そうでござるか。しからば、おやっさん殿!! 拙者にも鉄球を投げて下され!!」
 二十日は、皐月の背後に隠れて、おやっさんに呼びかけた。
「おう。お前にもやってもいい。だが、そういうことは、堂々というんだ。誰かの背中に隠れていうことじゃない!!」
 おやっさんは、愛想よく答えた。
「む。そ、そうでござるか」
「ほら、そういうことだから」
 皐月は、ためらう二十日を押して、おやっさんからよくみえる場所に立たせる。
「おやっさん!! お願いするでござる!!」
 二十日は、顔を真っ赤にして叫んだ。
「そう。それでいいんだ」
 おやっさんはニッコリ笑うと、鉄球を二十日に転がしていった。
 ごろん、ごろん
「くっ、きたでござる」
 二十日は、身を硬くした。
「おいおい、身体は柔らかくしておくんだ。コンディションは整えてな。この場の状況、全て読んでジャストフィットした動きをとるんだぜ。天候、気温、地形、周囲の環境、時間帯、全てよくみろよ。それで、自然に、しなやかに動くんだ。でなきゃ、鉄球に潰されちゃうぜ」
 皐月はそういって、二十日の修行を温かく見守った。
「いくでござる。どあー!!」
 二十日は、鉄球に向かって刀を振るった。
 ばきっ
 刀が折れてしまう。
「むう」
「うーん、動きはよかったけど、何で木刀なんだ? それじゃ、鉄球には対抗できないぜ」
 皐月は、ため息をついた。
「まあ、素手でもいいから、鉄球にうちかかってみな。何か得られるものがあるだろう」
「わかったでござる。おやっさん、もう1度!!」
「よし、いくぞ!!」
 おやっさんはうなずいて、再び鉄球を二十日に転がした。
 ごろん、ごろん
「いくでござる!!」
 二十日は、鉄球に向かって走った。
 がっちり組みついて、その動きを止めてみるつもりだった。
 だが。
 ぐりっ!
 ごろん
 鉄球は、地面に転がっていた何かにぶつかって、進路を変えてしまった。
「あ、あいたー!!」
 なぜか簀巻きにされて転がっていた五十嵐睦月(いがらし・むつき)は、鉄球が思いきり身体に乗りあげたので、激痛から悲鳴をあげてしまっていた。
 その顔は、鉄球が乗ったせいでぺしゃんこになっている。
「ナイン、そんなところで何をしているでござるか」
 二十日が、驚いて尋ねた。
「どうもこうも、ここで修行している人に絡んだら、修行の妨害だとか因縁をつけられて、簀巻きにされてしまったんだ。まったく、荒っぽい連中なんだから」
 睦月は、ぺしゃんこになりながらも憤慨していた。
「はーい☆ ここで、詩穂が、お仕えするよ☆」
 騎沙良詩穂(きさら・しほ)が、そんな睦月に馬乗りになってきた。
「うわー、何だ、何だ、君は」
 睦月は、焦った。
 意識しないでも、詩穂の絶対領域の露出に自然と目がいってしまう。
 この相手は、技の練習にもってこいだ。
 詩穂は、ほくそ笑んだ。
「いくもん☆ 新技、メイドインヘブン☆ そーれ、お仕えー」
 詩穂は、簀巻きから解き放った睦月の身体をマッサージしてダメージを和らげると、その衣を剥いで、顔を押しつけていった。
「わー、何をする、うひっ」
 睦月は、くすぐったいとも何ともつかない感触に、異様な声をあげた。
 ちゅうちゅう
 詩穂は、何かを吸うような仕草をしている。
 詩穂の全身から放たれるフェロモンが、睦月の鼻腔を刺激して、ムラムラとさせた。
「うはっ、これは、これは要するに、これこそ妨害では!? あー!! でも、また鉄球がくる!!」
 睦月は、悲鳴をあげた。
 ごろん、ごろん
 おやっさんの転がした鉄球が、睦月と詩穂にいる場所に迫ってきていた。
「あと、もうちょっと!! 技の完成まで待つもん☆」
「うわー!!」
 ぐしゃん
 結局、睦月と詩穂は、二人とも鉄球に押しつぶされて、一体化したまま、ぺしゃんこになってしまった。
「おお。あれはあれですごいな。あの状態で押しつぶされると、そう簡単には二人を引き剥がすことはできないな。うーん、困った。二十日、技であの肉の塊を斬って、二人をもとの姿に戻すんだ」
 皐月が、二十日にアドバイスした。
「えー、それは無理でござる。でも、詩穂殿の絶対領域は、なかなかに眩しかったでござるな」
 二十日は、顔をしかめながらも、詩穂の美しさを讃えるのだった。