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四季の彩り・冬~X’mas遊戯~

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四季の彩り・冬~X’mas遊戯~
四季の彩り・冬~X’mas遊戯~ 四季の彩り・冬~X’mas遊戯~

リアクション

 〜プロローグ 12月某日〜

「やっほー。プリム君元気してたー?」
 花琳・アーティフ・アル・ムンタキム(かりんあーてぃふ・あるむんたきむ)は、ベッドに腰掛けてプリム・リリムに電話を掛けていた。脚をぶらぶらさせながら、明るく言う。
「この前は、シナリオガイドに出たのになかった事にされて残念だったね♪」
『か、花琳ちゃん!?』
 様子が目に見えるような驚きが、声に乗って伝わってくる。
『そ、そこはスルーしようよ! ガイドに26行も使ったのに結末に触れられないままマスターページにこっそり追記とか言っちゃだめだよ!』
 そこまでは言っていないのだが、テンパった為かプリムは丁寧に詳細情報を口走った。
『で、でも、オレの秘密が全世界に公開されなくて良かったかも……』
 大丈夫だ、問題ない。マスターページ<プリム・リリム>の項の下から2行目にきちんと書いてある。
「冗談だって! メタい事に本気になっちゃ、いやだよ」
 焦りながらも墓穴を掘っていく彼に、花琳は軽く笑う。
「それで本題なんだけど、24日のクリスマスイブにデートしようよ」
『えっ、デート!?』
「拒否権なんてないよ?」
 ある意味最初の話より驚いたプリムに、有無を言わさずに言葉を繋げる。
「写真がネット流出されたくなかったらデスティニーランドに来てね……。待ってるよ」
 電話を切って、画面に表示された夏の思い出写真を見る。女子のコスプレをしたプリムが、物凄く恥ずかしそうな顔をしていた。
「……待ってるよ」
 もう1度、花琳は1人呟いた。

              ◇◇◇◇◇◇

「何!? 予定が出来ただと!?」
「う、うん……」
 クリスマスに向けてホレグスリを大量生産していたムッキー・プリンプト(以下むきプリ君)は、プリムから話を聞いて目を剥いた。今年のXデーは、チッチー・プリンプトの号令で2日共、ホレグスリを売り歩くことになっている。無論、男3人で。そのむさくるしい集団から、プリムは離脱するというのだ。しかも、イブに。
 イブに。
「あ、25日はちゃんと手伝うよ。でも、イブはどうしても……」
 行かなければプリムの超露出写真及び女装写真が世界中に公開されてしまう。
「ね! オレを助けると思って!」
「まさか……おおおおおお、女とか言わないだろうな……?」
「大層素晴らしいではないか! 息子よ、心良く送ってやるがいい!」
 驚愕に震えるむきプリ君を、豪快な笑いでチッチーが制す。NPC特権を使った再登場――ではなく初登場だ。以後お見知りおきを。
「クリスマスは愛の日だ! 皆に愛を分け与えるのは2人でも出来る!」
「し、しかし……」
 そこで、むきプリ君の電話が鳴った。筋肉仲間の秘伝 『闘神の書』(ひでん・とうじんのしょ)からである。
「……25日か? 分かった。空けておこう」
 むきプリ君は通話を終えた。「……………………」と、室内に妙な沈黙が漂う。
「25日は儂と孫の2人だな! はっはっは!」
「だから、孫じゃないよ!」

              ◇◇◇◇◇◇

「遊園地にクリスマスキャンペーンかぁ」
 その頃、久世 沙幸(くぜ・さゆき)は街角に貼られたデスティニーランドの華やかな広告を見て足を止めた。
「アルバイトの募集があったらいってみようかなぁ……」
 当日は沢山の人が遊びに行くだろうし、スタッフだってきっと足りなくなるはずだ。
「友達と遊ぶ予定もふいになっちゃったし……」
 クリスマスの遊園地とくれば、“彼等”もまた、アレをばら撒きに来るだろう。