リアクション
1回戦第6試合 フリングホルニ・ゴールド VS フリングホルニ 「第6試合は、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)さんのフリングホルニと、おおっと、これは、エステル・シャンフロウ(えすてる・しゃんふろう)さんの本家フリングホルニだ。同型艦の対決。これは興味深いカードです」 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)の乗るフリングホルニは、コハク・ソーロッドを実質の艦長としていた。 艦全体を金メッキにするというとど派手な塗装だ。これは、小鳥遊美羽の愛機であるイコンのグラディウスに合わせたものだ。 また、なぜか、艦尾に空き缶が多数紐で結ばれていた。どうやら、新婚さんのようである。 艦載機は、データと言うことで、グラディウスの他は、金メッキを施したヤークト・ヴァラヌス・ストライカーの大隊が収納されている。これは、デュランドール・ロンバスの愛機以外はヴァラヌス・フライヤーで構成されているフリングホルニのイコン部隊よりはかなり有利であると言えた。 だが、いろいろと制限を受けていた前回の遠征とは違い、今回はフリングホルニの方も、いろいろと艤装を施している。 「そりゃあ、金の方が価値は高いわよ、古来から、きんきんきらきらと……」 「まさに、ハイパーモードの私に近い姿だ。これを倒すには、いくら本家といえども、苦労するに違いない」 話題のずれているラブ・リトルの横で、コア・ハーティオンがしきりとうなずいて見せた。 「金自体は、腐食には強いものの、強度や硬度はとても戦闘用とは言えませんからね。もっとも、敵を混乱させるという意味では、意表を突いていいかもしれませんが」 一人、真面目に解説する高天原鈿女であった。 「それでは、ど派手に開始しましょう」 ★ ★ ★ 「まずは、様子見からかな。そうだね。フィールドバリアを展開。その間に、ヴァラヌス隊を甲板へ。よろしいですか、艦長」 副長然として艦長席脇に立ったコハク・ソーロッドが、キャプテンシートに座らせたローゼンクライネに訊ねた。いちおう、このローゼンクライネが艦長という設定らしい。コハク・ソーロッドのちょっとした照れなのかもしれない。ただ、ローゼンクライネの衣装は、赤いバイコーンを被り、黒のロングコートの下にいつものようなミニスカートを穿いた姿だが。その格好で、高い位置にリフトアップしたキャプテンシートにやや斜めにもたれて、大胆に脚を大きく組んでいる。 そんなローゼンクライネが黙ってうなずくのを見て、コハク・ソーロッドがあらためて命令を下した。 「いつでも、攻撃できるように、各機甲板に上がってー」 イコンデッキ各部にある非常用リフトから甲板に上がりながら、小鳥遊美羽が言った。 今回、小鳥遊美羽がベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)と共に乗っているのは、グラディウスではなくヤークト・ヴァラヌス・ストライカーだ。それも、全身を金メッキしてしてある。 ★ ★ ★ 「なんですか、あれは……」 金ぴかの同型艦を見て、エステル・シャンフロウがちょっと絶句した。 「さすがにあれは……。沈めてしまいますか?」 少し苦笑しながら、側に控えたグレン・ドミトリーが苦笑した。 「もちろんです」 「了解しました。艦首ミサイルランチャーポップアップ。遠慮せず、叩き込め!」 エステル・シャンフロウの返事に、グレン・ドミトリーが即座に攻撃命令を発した。 「って言われても、ちょっとやりにくいよねえ」 艦首にせり上がってきたミサイルランチャーをヴァラヌス・フライヤーで保持しながら、ニルス・マイトナーがつぶやいた。さすがに、スキッドブラッドのようにシルエットの異なる同型艦ならまだしも、まったく同じ相手へ攻撃するのはやっぱりやりにくいらしい。 とはいえ、躊躇したのは、その最初の一瞬だけだ。 ミサイルランチャーのコントロール用のジョイントにヴァラヌス・フライヤーの両手を突っ込むと、回路を接続してミサイルを発射した。装填されていた36連のミサイルポッドから次々にミサイルが発射されていく。 ★ ★ ★ 「高熱源体接近。バリアで防御しますので、直後に反撃してください」 「りょーかいだよ」 コハク・ソーロッドの落ち着いた指示に、小鳥遊美羽が絶対の信頼をおいて答えた。 「各機、連動コントロール良好。ターゲットロックオン。発射指示待ちます」 サブパイロットシートに座ったベアトリーチェ・アイブリンガーが、砲台代わりに甲板にならんだヤークト・ヴァラヌス・ストライカーを管理しながら言った。 守りをかためたところへ、フリングホルニからのミサイル群が到達する。だが、前面に展開したフィールドバリアによって、すべてが船体に達する前に爆発した。 「バリア解除」 「撃ってえ〜!」 息もぴったりに、コハク・ソーロッドと小鳥遊美羽が連携する。バリア解除と共に、ヤークト・ヴァラヌス・ストライカーが一斉にショルダーキャノンを発射した。 |
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