なし

リアクション

【12】


「休日だからと朝からダラダラとゲームなどして。もう少し有意義な時間の過ごし方はないのか？」
　ブルーズ・アッシュワース（ぶるーず・あっしゅわーす）は、ノートパソコンを操作する黒崎　天音（くろさき・あまね）にお小言を言いつつ、スタンドに乗せた半熟のゆで卵、軽食（サンドイッチ）と紅茶、焼き菓子等を甲斐甲斐しく用意している。
　天音はお小言言われながらも、今日もＴＲＥＥにログインして人気の『変態コレクション』で遊ぶ。
　軽く足を組んで椅子に腰かけつつゲーム画面を操作。
　目の前のテーブルには、暖かい湯気を立てるアールグレイのミルクティ。いつもの休日の穏やかな風景。
「お金はある。時間もある。から、休日ぐらいのんびりしてても良いでしょ？」
「そんなに面白いのか、これが？」
「『探検トリランド』も結構好きなんだけど。『変コレ』はテレビＣＭ放映や深夜アニメ化の噂もあるからチェックしてるんだよ」
　卵の殻をスプーンの背でコツコツ叩いて割りながら、ブルーズに画面を見せる。
「……おや？」
　画面に映るゲームがおかしいのに気付いた。
　見たことのない変コレが大量に追加されている。アップデートのお知らせはなかったはずだが……。
　気になってネットで変コレに関する情報を集めると、美咲の作ったまとめサイトが出てきた。
　今変コレに異常が起こっている事とこれまでの経緯に目を通し、天音は微笑する。
「面倒なことになったみたいだね」
「変態がゲームに取り込まれるとはな。しかしそれなら、お前など真っ先に取りこまれていそうなものだが……」
「変態？　いえ、知らない子ですね」
　しれっと言う。
　しかしこれは面白そうだ。
　変ムスの戦闘や製造、パワーアップに必要な４つの素材（萌え、エロ、グロ？、燃料）を補給する。
　変コレ世界に存在する変ムス達のパラメータが上昇し、世界の混沌がより深まる。
「悪趣味な奴だな……」
「楽しんでもらおうと思ってね」
　それから別のパソコンで株価の動きを調べた。まだ市場に影響は出ていないようだ。
「ま、ＴＲＥＥ株はもう売り時だね」