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黄金色の散歩道

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黄金色の散歩道
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日常

 とある日、白波 理沙(しらなみ・りさ)雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は空京へショッピングに出かけていた。
「先ほどから何かと騒がしいですねえ」
 理沙たちの後ろを歩くノア・リヴァル(のあ・りう゛ぁる)が、周囲を見回す。
「さ、騒がしいというか、尋常ではない意図が働いているような気がするのですが……」
 呑気なノアに、早乙女 姫乃(さおとめ・ひめの)が背後に倒れている店の巨大看板を怖々と眺めつつ、控えめに突っ込む。
 雅羅と一緒に過ごしていればハプニングに出会わないはずはないのだが、その不幸体質に慣れていないノアと姫乃からしたら既に大騒動である。
「工事中で少し回り道になってしまったけど、ようやくお店についたわね」
「そうね、……あら?」
 雅羅の目的の店に辿り着いた理沙たちだったが、店の扉には『店内改装のため臨時休業中』と書かれた札がかけられていた。
「もう……本当に毎度ながらついてないわ!」
「そういうこともあるわよね。他のお店も回りましょ」
 何事もなかったように雅羅と共に歩き出す理沙。
「あらあら」
 そんな二人の背をノアがぽかんと見る。
「こんなに連続してハプニングが起きるなんて、どういうことなの……」
 姫乃は首を傾げつつ、理沙と雅羅の後ろをついていくのだった。
「じゃあ次はあっちの店に……きゃっ!」
 雅羅が道を曲がった時、突風が吹いた。
「びっくりした……って、ああっ!!」
「どうしたの? あっ」
 ちょうど曲がり角にあった建物の壁がペンキ塗り立てで、雅羅のスカートの裾にペンキがついてしまっていた。
「またなの! もう、どうしよう……」
「そうね……それじゃあ、スカートも見に行きましょ」
「ありがとう、そうするわ」
 理沙と雅羅は、何事もなかったように洋服を買いにやってきた。
「これなんてどうかしら?」
「いいと思うわ」
 雅羅が選んだスカートを手にした瞬間、突如、店の中に入ってきた怪しい男が雅羅を捕まえた。
「金を出せ! こいつがどうなってもいいのか?」
 何と、強盗が雅羅を人質にとったのだ。
「何だか大変な事になったようだけど……大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫もなにも、強盗……!?」
 ノアが困ったような表情をして姫乃がオロオロしているが、雅羅と理沙は慣れたものである。
「はいはい、お約束お約束……」
 理沙は慣れたもので、姫乃とアイコンタクトを取った。
 タイミングを見計らい、男が店員から金を受け取ろうとした隙に、理沙と姫乃は両側から一斉に攻撃した。
「うお!?」
「はい、捕まえたわ」
 理沙と姫乃が手早く強盗を無力化し、雅羅が手早く男を捕まえて通報した。
 その間、数分の出来事だった。
「さて、一件落着ね」
 男が連行され、辺りはまだ騒然としているものの、強盗騒動は収まった。
 安心したように、雅羅は先ほどのスカートを再度手に取った。
「あら……えっと、もう終わったの? 皆、対応が早いのですねぇ……」
「て、いうか銀行やコンビニでもないのに強盗ってのもレアケースよね……」
 と、そんなこんなで無事に(?)理沙たちは買い物を再開した。
「まぁ、今日もハプニングがあったけどいつもよりは少なかったからラッキーだったわね!」
「?!」
 安心したように笑顔を見せる理沙に、姫乃が口をポカンと開く。
「そうね。長く歩き回っていた割には少なかったわ」
「うふふ、そうなんですか〜。それは良かったですね♪」
「えっ!? これでいつもより少ないというのですか!?」
 呑気に納得するノアと、最早ついていけていない姫乃。
「まあいいわ、このスカートを買いましょう……あら?」
 まだ強盗騒ぎの件であたふたとしているレジにスカートを出そうとした雅羅は、ふと、カバンを覗き込んだ。
 しばらくカバンの中を漁った後、雅羅は黙って理沙を見た。
 理沙は何となく察知したように、小さく頷く。
「財布を落としたみたい……」
「どこまで持ってたか覚えてる? 探しに行きましょ」
「……どうだったかしら。最初に寄ったお店では持っていたはずだけど……」
「普段どれだけ大変な目にあっているのでしょうか、って言ってる間にもまた……!」
「あらあら……」
 結局、姫乃とノアは、理沙と雅羅の日常に驚き続けた、そして理沙と雅羅に取ってはいつも通りの一日となったのだった。