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黄金色の散歩道

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黄金色の散歩道
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将来

 世界の危機が終わっても、いや、世界の危機が防がれたからこそ、シャンバラ宮殿は今日も忙しい。
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は、代王として様々な関係の使者とやりとりをこなす高根沢 理子(たかねざわ・りこ)の自主警護をしていた。
 公務に携わる理子は、今日も分刻みの忙しいスケジュールをこなしていく。
 代王としての様々な仕事は、契約者の皆が護った世界を護る為に大事なことだ。
 そんな仕事を日々頑張っている理子を、護りたい。
 陽一はそんな思いで、仕事をする理子を傍で見守っていた。
「ようやく一段落ね」
「お疲れ様です。無理しないで下さいね」
「うん、ありがとう」
 地球からやってきた要人との謁見対応の時間が終われば、西シャンバラ関連の書類の山に向き合う。
 世の中には、さまざまな問題がまだまだ残っている。
 こうした多くの書類に目を通す理子を、陽一は静かに見守っていた。
「いろいろなことが変わったんだし、書類も多くなるわよね」
 手際よく、そして真剣に書類へと目を通していく理子。
 西シャンバラに残る多くの問題を解決しようとする理子の姿勢を見ていると、陽一はその背を押して護りたいという思いがどんどん強くなっていくのを感じる。
 この書類の山を片付けた後には、諸外国の要人たちとの謁見が残っている。
 あまり根を詰めずに、頑張ってほしい。そのために自分にもできることをしたい。
 そんな思いで、陽一は理子を見守っていた。

 すっかり日が沈んだ頃、理子の一日の公務は終わる。
「今日はこれでおしまいね!」
 書類をまとめると、理子はうーんと大きく伸びをした。
「お疲れ様でした。食事をしに行きませんか?」
「そうね、すっかりお腹が空いたわ」
 また明日には新たな問題が起きるかもしれない、書類の山もまた積み上がるだろう。
 だからこそ、しっかりと体を休めてほしいと陽一は思う。
 陽一と理子が向かったのは、夜景が一望できる展望レストランだ。
「だんだんと冷え込んで来たわね。温かいものが美味しいわ」
 窓の外に広がる夜景を見ながら、理子は運ばれてくるスープを掬って口にする。
「少しずつ季節も変わっていきますね……」
 陽一は、これまでのいろいろな記憶に想いを馳せる。
 そういえば、初めて陽一と理子がキスを交わした時も、こんなふうに綺麗な夜景が広がっていた。
「この風景を護る為に、これからも、頑張ろうね」
「ありがとう。一緒にがんばりましょう?」
 陽一と理子は微笑み合って、温かくて美味しい食事を楽しんだのだった。