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嘆きの邂逅(最終回/全6回)

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嘆きの邂逅(最終回/全6回)
嘆きの邂逅(最終回/全6回) 嘆きの邂逅(最終回/全6回)

リアクション

「それじゃ役割を確認するよ」
 闇組織本部である工場近くにて、レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は仲間達を集めて、最終確認をしていく。
 この作戦に参加する白百合団員の中ではレキが一番長く所属をしていることと、あらかじめ団長に幾つか提案を行っていたことから認められ、リーダーを任されている。
「本部の周囲は人海戦術で封鎖を行うよ。経験の少ない団員と白百合団に所属していない百合園生はこっちを担当してね。で、本部に連絡係の人がいるから、何か連絡が必要な時にはそちらに連絡してね」
 はいと、白百合団員達が返事をしていく。
 出発前に百合園生とは分かり難い服を着てくるよう指示を出してあった。勿論、白百合団員専用の武具などもまとっていない。
「あと、さっき聞いた話では後から合流する班もあるみたいだから、同じように本部を攻撃する人達は仲間だと考えてね。今のところ関係者以外には極秘にされてるんだけど、襲撃開始後はヴァイシャリー軍にも連絡を入れてくれるそうだから、軍人さんも援護してくれるはずだよ」
 はいっ、と百合園生達が小さく可愛いらしい返事をする。
「白百合団員以外の人も、この周辺で援護お願いね」
 レキの言葉に、高務 野々(たかつかさ・のの)と、清良川 エリス(きよらかわ・えりす)ティア・イエーガー(てぃあ・いえーがー)邪馬壹之 壹與比売(やまとの・ゐよひめ)が頷く。
 鈴子やリーアとの同行を望んだ4人は、白百合団員達と共に援護と護衛を担当することになっていた。
 無線機のヘッドセットを嵌めたリーアの姿もそこにあった。
 隆光が彼女に目と留める。
 彼はリーアや百合園の皆を守りたいという気持ちで協力を申し出て、この作戦に志願した。
 闇組織に協力していたのも、元々組織を内部から潰すつもりだったからであり、潰すという気持ちにも変わりはない。
 リーアがふと、隆光の方に目を向けた。
 隆光は軽く微笑んだだけで、何も言わずにそのまま視線を逸らそうとした。
「あの……」
 声を発したのはリーアだった。
「こんな時に言うことじゃないかもしれないけど……ごめんね」
「何がだ?」
 隆光の返答に軽く視線をさまよわせた後、リーアはこう言った。
「私には価値がない……って言ったこと。利用されたくなかったから、嘘ついた。皆に託したっていう言葉も、託した相手を特定されたくないから、ついた嘘。だから、ごめんなさい。嘘で助けてもらっちゃってごめんなさい。でもありがとう。本当に感謝しています」
 そう言って、リーアは頭を下げた。
「そのお陰でキミが助かったのなら、謝ることは何もない。俺の方が百合園の皆にもっと酷いことをしたからな。……互いに頑張ろう。だけど、無理はするなよ?」
 優しい声で、隆光はリーアに声をかける。
「ありがとう。ファビオ、助かってほしい……本当に」
 リーアは工場の方に切なげな目を向けた。
 隆光も武器を準備し、工場に目を向ける。
 リーアの小さな手にそっと、手が重ねられる。
 ……隆光ではなく、壹與比売――壱与だ。
「大丈夫、今回は小さくとも嵐の中でも消えぬ炎のような運命を感じたのでございますよ」
「価値は兎も角として、やるべきこと私にもまだあったってことよね」
 リーアは壱与に微笑みを向けた。

「この辺りは幸い建物は密集していない」
 早川 呼雪(はやかわ・こゆき)はレキと作戦を詰めていく。アレナのこともとても気がかりだったが、互いに最善を尽くそうと会議中に目だけを合わせて頷き合っただけで、言葉を交わすことはなかった。
「地上からの逃走は目立つだろうが、地下から逃げられる可能性もないとはいえないな」
 だが、そこまで対処する方法はなさそうだった。
「隠密行動や情報収集が得意な者がいたら、ボスや幹部の逃走経路が隠されていないか確認を頼みたい」
「……こちらにはいないようだから、潜入班に連絡を入れておくわね」
 リーアがそう答えて、侵入班の方に無線で連絡を入れる。
「あの時を思い出すね……」
 ファル・サラーム(ふぁる・さらーむ)がぽつりと呟いた。
 神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)の呼びかけに応じて、闇組織の大きな拠点を襲撃した時のことを、ファルは思い出していた。
 でもあの頃より成長した筈だ。自分だってみんなを守れるように頑張る。
 そうファルは気合を入れていく。
「それでは、行こうか」
 呼雪が灼骨のカーマインを手に言い、頷いた後レキが手を上げて合図をし、一斉に武器を構えた。
「いくぜィ!」
 真っ先に機関銃を乱射したのは、ネクタイスーツ姿のナガンだ。
 正面の門を攻撃し、門と壁を破壊していく。
 門番の男が悲鳴を上げて、応援を呼び、工場の中にサイレンが響いていく。
「開けてもらうぜィ!」
 ナガンは容赦なく、門番、集まる者達に銃弾を浴びせる。
「いっくじゃ〜ん」
 クラウン ファストナハト(くらうん・ふぁすとなはと)が、火炎放射器で火炎を放射する。
 敵兵が後方に退く中、白百合団と協力者達は正面から突入をする。
「中に入るよ! ミア、フォローお願いね」
「うむ。数は多いようじゃが、頭を落とせば烏合の衆じゃ」
 レキと一緒に敷地内に突入したミア・マハ(みあ・まは)は、子守歌で警備兵から眠らせていく。
「眠っててね!」
 眠らなかった者をレキがシャープシューターで狙いを定めて、足を撃ちぬいた。
「なかなか素早い対応だな。だが……っ」
 隆光が窓から銃身を覗かせる相手を、シャープシューターで狙い撃つ。
 窓ガラスが割れて降り注ぎ、地上の敵兵が避けるために離れた。
「熱いじゃ〜ん!」
 途端、クラウンの火炎放射により、敵兵は体を焼かれていく。
「大きく開けてもらいましょうかねェ!」
 ナガンが機関銃の攻撃を入り口に浴びせる。
 崩れかけたドアに、体当たりをして隆光が突入し、レキ、ミアが続く。