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リアクション
奇襲が始まり、工場内の人々が現場へと向っていく。
小夜子がブロウガンで、裏口の見張りを倒し、皆に合図後裏口へと走る。
事前のリーアの占いと無線機からの連絡により、ファビオは工場の建物の中、中央付近、やや北寄りの位置にいるようだと分かっている。
小夜子はピッキングで裏口の鍵を開けて、侵入し、トレジャーセンスで周囲を見回し通路を進むことを選択する。
メリッサはカモフラージュで潜みながら、超感覚で探り誰もいないことを確認し、ロザリンドにこくりと頷く。
ロザリンドは皆に手で合図をし、指示を出すと、ロザリィヌとリナリエッタが前に飛び出した。
ロザリンドと小夜子は服装や靴、音に気を払っており、ロザリィヌは光学迷彩で姿を見えにくくしてある。
ケイは指揮に従い、エノンと一緒に後ろからついていく。更にその後に、ディテクトエビルで警戒を払いながら、カナタがひっそりと続いている。カナタは引き続きキメラ対処を引き受けている黒崎 天音(くろさき・あまね)と連絡を取っているが、今のところ有益な情報は届いていない。
工場内は軽くパニックに陥っていた。
「報告に!」
肩書きのありそうな壮年男性が、そう言いながら部屋を飛び出して、階段の方へと走っていく。
「ファビオさんはおそらく地下です」
小夜子は無線機からの連絡を皆に伝える。
詳しい状況は話していないものの、ラズィーヤ主導で、ミクルに携帯で連絡を取らせてみたのだ。ファビオは電話をとりはしないが、今もミクルの電話のみ繋がるとのことだ。
「ボスも地下にいそうですね。でも、向います」
ロザリンドが指示を出し、小夜子とロザリィヌが先陣を切って、階段の方へと走る。
階段付近には武器を持った組織の者の姿も多く、身を潜ませておくことは無理だった。
「侵……」
ケイが周辺にアシッドミストを放ち、敵の声を奪う。
「急ぐぞっ」
攻撃は不本意だ。だけれど、覚悟を持ち、心を押し殺してケイは走る。
「それじゃ、私は反対に行くわぁ。最終的には、奇襲班の突入組と合流して一緒に脱出するから大丈夫よぉ」
リナリエッタはロザリンドの了承を得ると、隠れ身で姿を消し、黒檀の砂時計で素早さを上げて音を頼りに奇襲班の突入した者がいる方向へと走る。
目についたものを利用し、トラッパーの知識で潜入班がいる方向へ罠を仕掛けておく。
「何だ!? ……うっ」
銃を持ち飛び出した男を、リナリエッタは鬼眼で怯ませて、一気に接近すると黒薔薇の銃を押し付けて発射。
うめき声を上げて、男は倒れる。眠らせることは出来なかったため、武器を蹴り飛ばしておく。
姿を隠して、リナリエッタは次なる敵の下へ走る。
その間に、ロザリィヌと小夜子が階段を駆け下り、ロザリンド、ケイ、エノン、カナタも後に続いた。
「ごめん、もう少し近づきたいんだけど大丈夫かな?」
リーアが護衛をしてくれているエリスにそう言った。
「だ、だだだ大丈夫ですえ。わ、わた、わた、うちかてやれ言う時はやります」
怯えながら、エリスは沢山の掃除用具を手に一歩工場に近づいた。
リーア達と野々は、裏口付近で待機していた。身を潜めている鈴子の位置も把握している。
「汚れとりますなあ」
皆が逃げやすいように、エリスは周囲に落ちているゴミを掃いておく。
「そ、そこをどけー!」
突如、裏口から男達が飛び出してきた。
「ひーん、な、なな、なにかこちら来ますえっ来はりますえっ! ど、どどど、どないしまひょ!?」
モップを手に、エリスはパニックを起こす。
「あ〜、あたしこう言う荒事あまり好きじゃありませんのよ。お任せしますわ」
ティアは野々にパワーブレスをかけて自分は後ろに下がっておく。
「えっ? えっ? ご主人様、ご主人様ー!?」
野々も、デッキブラシを手に、キャーキャー騒ぎ出す。
「化け物がこっちにも!? ご主人様、ご主人様ー!」
キメラから逃げてきたメイドを装って、野々は狂ったように2本のブラシを振り回す。
凄い形相の男達がこちらに走りこんでくる。
「ば、化け物が……!? キャーイヤー!」
ハウスキーパーの能力で、襲い来る男を磨いてぶち飛ばしていく。
「やめておくれやすー!」
エリスは子守歌を使って、男を1人眠らせる。
「わたくしの友への無礼な振る舞いは許さないのでございますよ」
壱与がリーアを背に毅然と立ち、弓を構えて矢を放つ。
矢は男の肩を射抜いた。
「きぃひんでおくれやすぅ」
エリスはまた子守歌で眠らせる。
「あらあら、もっと他の方法もあるでしょう?」
後ろではティアが本でパタパタ自分を仰ぎながら、妖艶な笑みを浮かべている。
「こっちに来ないでーッ、イヤーッ!」
野々は残る1人をブラシで完璧に磨き倒した。
「さて」
倒れた男達にティアが悠然と近づいてロープで縛り上げていく。
「うふふ、何も見えないと感覚が研ぎ澄まされて気持ち良いでしょう?」
目と口には布を巻きつける。
手早く3人を縛り上げ、ぐりぐりと足で踏みつけた。
そして作業を終えるとティアはエリスや皆に目を向ける。
「ふふっあたし縄の扱いは得意ですのよ? 戻ったらあなた方もこうしてさし上げましょうか?」
芸術的な亀甲縛りだった。
だけど、皆一斉に首を左右に振る。
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