リアクション
卍卍卍 『八咫烏(やたがらす)』に協力する空京大学如月 正悟(きさらぎ・しょうご)は、灯やリュウライザーたちと連絡を取っていた。 彼はこの情報と嘆願書を携え、東光大慈院で貞継に謁見してた。 大慈院はマホロバ城ほど厳戒ではなく、『八咫烏(やたがらす』も警備を行っているだけあって、将軍の謁見は可能であった。 「マホロバの将軍と言っても、今は城を追い出された身だ。そうかしこまらずとも良い」 しかし、正悟は表情を崩さない。 「俺は……追われている身ですので」 正悟は、自分の目で見たハホロバ城での出来事と、葦原明倫館分校長{SNM9998870#ティファニー・ジーン}について話した。 「マホロバの城の地下にいる、お姉様のことはご存じですか」 「姉上に会っただと?!」 貞継の顔色が変わった。 将軍は正悟たちがマホロバ城地下の秘密を知っていることにも驚いたが、それ以上に正悟の知らせに驚愕していた。 「あえてここに来た以上、沙汰は受けます。しかし、ここで死ぬ訳にはいきません。俺も、あの場にいた仲間も、全てを良い方向に向かせたら、いつでもお受けします」 貞継はしばらく呆然としていたが、すぐに気を取り直した。 「お前の話と、楠山の話が本当であれば、姉上は鬼として地上に放たれるかも知れない……助けてやって欲しい」 そして、こう続ける。 「姉上を殺さずに連れ戻してくれたなら、城に侵入したの罪は問わない」 「ティファニーの噂の流布も許して頂けますか」と、正悟。 「……それは別だ。将軍家が長年守り続けたものを、そう簡単に許すことはできぬ。このために、どれほど多くのものが犠牲になってきたか……例外は認められぬ」 「将軍家の秘密と実姉の命とどちらが大切なのですか!」 正悟は厳しく将軍の正面を見据えて問う。 しかし、貞継も折れる気配はない。 「『天鬼神』の血の契約をしろ。でなければ、マホロバにいる限りお前達の身の安全は保証できない」 病身とはいっても、マホロバの将軍である。 権威も威光も並の人間とは異なる。 しかし、正悟は首を縦には振らなかった。 「今はお受けできません。俺の言った全てを良い方向に向かせたいの中に、その鬼の血も含まれますからね」 「そうか……姉上は強いぞ。女という理由で将軍になれなかったとはいえ、『天鬼神』の血の流れを汲む者だからな」 一礼をして踵を返す正悟を見送りながら、貞継は呟く。 「大奥も……肉親も、自らの手で救えんとはな……あの者達に頼るしかないのか……」 |
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