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リアクション
「たまたま近くを通りかかっただけなんだけど……パラミタオオカミってジャックに似てる! これ利用出来ないかな!」
目をキラキラ輝かせて如月 玲奈(きさらぎ・れいな)は、狼の姿をしたゆる族ジャック・フォース(じゃっく・ふぉーす)に話しかけた。
「オレが行って、いっちょ話しつけてくるぜ!」
「ゴーゴージャックー!!」
ジャックはパラミタオオカミが固まっている場所へと素手で向かう。
オオカミの場所まで到着したところで、玲奈は話合いの邪魔にならないようにと周りをアシッドミストで囲んでしまった。
「よう! オレと一緒に組んでみないか? きっと毎日が刺激的に変わるぜ? 桃なんかよりずっとな」
自分が何も武器を持っていない事を示す為に両手を上げて近付く。
オオカミ達はかなり警戒をしており、低いうなり声を上げている。
「おいおい、オレ達似てるだろう? 仲間だって」
それでも説得を続けるジャック。
「ジャック頑張れー!」
その様子をハラハラしながら見守る玲奈だった。
少し離れた森の中では紅澄 架李亞(くずみ・かりあ)とウィリアムズ・クロスフィールド(うぃりあむず・くろすふぃーるど)が久しぶりのデートを楽しんでいたのだが――。
「なんだかあちらが騒がしいようでございます。何かあったのかもしれません。先ほどは悲鳴らしい声も聞こえましたし、心配でございます。クロス兄?」
「助けに行くんだろう? 危ないからな俺様も行くぞ」
(くっそ! どこのどいつだ! デートの邪魔しやがって!!)
ホイップの悲鳴と魔物達の声にデートは魔物退治へと姿を変えてしまった。
2人が駆けつけると、そこには桃の木が動き出し、ミノタウロスと戦う姿があり、魔物が跋扈しているありさまだった。
一番近くではジャックがアシッドミストの中でパラミタオオカミの説得をまだ続けている姿が見えた。
「あんなところに、女の子と沢山のパラミタオオカミとその亜種が居るようでございます! このままではあの女の子が危ないですわ!」
「了解!」
ウィリアムズは意図を察すると直ぐにアシッドミストの中を突き進み、ジャックの側へと寄って行った。
架李亞の方はいつでも戦えるように光条兵器のロックギター「繚乱」を出していた。
そして、そのまま玲奈へと近付く。
「大丈夫でございますか!?」
「へっ? 何が?」
真剣な表情の架李亞に玲奈はきょとんとしてしまった。
「うおりゃーー! デートを邪魔された恨み、ここで晴らしてやる!!」
ジャックの背後から近づいたウィリアムズはジャックの後頭部をホーリーメイスでおもいっきりぶん殴ったのだった。
ジャックは普段なら気がついただろうが、いかんせん今は説得の任務中。
言葉に熱が入っており、更にアシッドミストを掻い潜ってまでくる魔物はいないだろうと踏んでいたのがいけなかった。
直撃を受け、倒れそうになるがなんとか踏みとどまる。
「てんめぇ! なにしやがる!」
「あれ? しゃべるパラミタオオカミなんて聞いたことがないぞ?」
「オレはパラミタオオカミじゃねぇ! れっきとしたゆる族だ!」
「……ああ、すまん」
手をぽんっと叩くと軽く謝った。
「ぐるるるるぅ!!」
「……しまった! お前のせいで説得まるまる失敗じゃねぇか!!」
さっきまでオオカミの仲間だと言っていたのを思いっきり否定したのだからパラミタオオカミ達はその矛盾に殺気だってしまった。
「……逃げるぞ!」
「お前のせいだろうが!」
結局、なんとか4人でオオカミの群れを片付けたのだった。
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